- トレンド転換シグナルの見極め方を知りたい
- トレンド転換シグナルを利用した手法をマスターしたい
- 利益の最大化、損失の最小化を目指したい
トレンド転換分析は、チャートリーディングの中核を担う必須スキルです。
上級トレーダーは、トレンド転換を早期に見極めることができるので、
『利益の最大化』
『損失の最小化』
を可能にしています。
逆に利益の残らないトレーダーは、トレンド転換を見極めることができないことが理由で、損切りが続き損失を出してしまいます。
よって、この記事では、『トレンド転換シグナルの見極め方』を分かりすく解説しています。
さらに、
- トレンド転換シグナルの種類と特徴
- トレンド転換の5つの判断方法
- トレンド転換のタイミング|6パターン
- 実践的なエントリーポイントの見極め方
- トレンド転換に使えるツールとインジケーター
など、かなりのボリュームの内容になっています。
トレンド転換をマスターすることで、今まで以上に
『利益の最大化』
『損失の最小化』
につながることは間違いありません。
そのことによって、プロフィットファクターが向上し資金が増えることにつながります。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。
目次
- 1 トレンド転換シグナルとは?
- 2 ダウ理論:トレンド転換シグナルの判断基準
- 3 チャートパターンによるトレンド転換の見極め方
- 4 テクニカルツールを利用したトレンド転換の見極め方
- 5 トレンドラインを使ったトレンド転換の見極め方
- 6 ローソク足の組み合わせでトレンド判断を見極める
- 7 トレンド転換の種類と転換タイミングの見極め
- 8 実践!トレンド転換シグナルを活用したトレード戦略
- 9 トレンド転換シグナルを見つけるためのツールとインジケーター
- 10 トレンド転換シグナルの全知識:総まとめとQ&A
トレンド転換シグナルとは?
FXで勝ちたければトレンド転換分析は必須
FXで勝率や利益率を向上させて、安定した収益を手に入れるためには、「トレンド転換」を見極める分析力が必須です。
その理由は、2つあります。
トレンド転換を分析する理由
- 利益の最大化
- リスク管理
①利益の最大化
トレンド転換を正確に把握することで、相場が転換する初期段階でエントリーすることができます。
また、すでにポジションを保有している場合は、トレンドの終わりで利益を確定させることが可能になり、利益を最大化することができます。
②リスク管理
トレンド転換のサインを見極めることで、最速で損切りの決断ができるようになり、リスク管理に役立ちます。
トレンド転換シグナルの種類と特徴
「トレンド転換」といっても、分析方法にはいくつか種類があります。
それでは、トレンド転換シグナルの種類と特徴を簡単に解説します。
(※解説後、それぞれのトレンド転換シグナルの解説をします。)
1.ダウ理論
ひとつめは「ダウ理論」です。
ダウ理論は、価格の動きを理解するための王道的な分析方法です。
相場のトレンドが3つの段階(先行期・追随期・利食い期)を経て形成されます。
この理論は、相場の市場心理と供給・需要のバランスに重点を置いています。
チャートの値動きで、トレンドの継続や反転を判断することができます。
2.チャートパターン
チャートパターンは、チャートの形状のパターンのことです。
チャートの形状で、価格が反転するのか、継続するのかをひと目で判断することができます。
形状がきれいであればあるほど誰が見てもわかりやすくなり注目度が増します。
3.移動平均線
移動平均線は、一定期間の価格の平均を結んだ線です。
移動平均線を表示させることで、トレンドを可視化するだけではなく、トレンドの方向性や強さを判断することができます。
分かりやすくて汎用性があることから、最も多くのトレーダーが使用するインジケーターです。
4.トレンドライン
トレンドラインは、主要な高値と安値を結ぶ直線で、サポートラインやレジスタンスラインとして機能します。
これらのラインは、相場のトレンドの方向や強さを示し、重要なトレードのポイントを特定するのに使用されます。
5.ローソク足プライスアクション
ローソク足プライスアクションは、ローソク足単体の形状、複数の組み合わせで、相場の継続・反転を分析することができます。
ローソク足プライスアクションは、ローソク足数本で分析するため、ピンポイントでトレンド転換点を特定することができます。
それでは、それぞれの「トレンド転換シグナル」について詳しく解説していきますね。
ダウ理論:トレンド転換シグナルの判断基準
まずは、相場分析の王道である「ダウ理論」のトレンド転換と継続について解説していきますね。
ダウ理論の上昇トレンドと下降トレンドの判断方法
皆さんご存じのダウ理論は、1884年にチャールズ・ダウによって提唱された分析方法です。
100年以上前からテクニカル分析の王道として知られています。
すごいですよね。
ダウ理論によるトレンドの定義
ダウ理論の中心となるのは、『トレンドの定義』です。
トレンドとは価格がどの方向に進むかということですね。
価格は一方向に直線的に動くわけではなく、上昇や下降を描きながら動きます。
トレンドは、波の動きからトレンドの方向性を大きく3つに分類されます。
以下の画像をご覧ください。
【上昇トレンド】
【下降トレンド】
【レンジ相場】
ダウ理論|トレンドの定義
- 上昇トレンド:高値と安値が連続して切り上げ、上昇する状態
- 下降トレンド:高値と安値が連続して切り下げ、下降する状態
- レンジ:高値と安値がトレンドのような連続的な更新がなく、方向感なく水平に推移する状態
このようにダウ理論は、トレンドの定義を波の動きだけで分かりやすく定義付けしています。
ダウ理論によるトレンド転換―第6法則
ダウ理論|6つの法則
- 平均株価はすべての事象を織り込む。
- トレンドには3種類ある。
- 長期トレンドは3段階ある。
- 相関関係にある通貨ペアは相互に確認されなければならない。
- トレンドは出来高でも確認されなければならない。
- トレンドは転換の明白なシグナルができるまで継続する。
以上のようにダウ理論にはこの6つの法則から成り立っています。
ダウ理論について、以下の記事で分かりやすく解説しています。
その中の第6法則ではトレンドの持続性について説明されています。
この法則によれば、一度形成されたトレンドは、『明確な転換のシグナルが出るまで継続する』とされます。
つまり、高値安値の切り上げ・切り下げが継続する限り、相場はトレンドが継続する。
逆に、上昇トレンドの中で新たな高値を作らずに安値が更新されたり、下降トレンドの中で新たな安値を作らずに高値が更新される場合は、『明確な転換シグナル』としてトレンドの転換と判断でるということです。
チャートパターンによるトレンド転換の見極め方
チャートパターンは、ダウの理論のトレンド転換の一部です。
チャートパータンの最大の特徴は、特定の波の形で判断するので、誰でも簡単に判断できる点です。
よって、多くのトレーダーが注目するトレンド転換シグナルとなっています。
ここでは、相場の天井圏でのチャートパターンを中心に解説を進めます。底値圏近辺ではこれらの説明の逆の状態になります。
すべてのチャートパターンは以下の記事で詳しく解説しています。
ヘッドアンドショルダーとその変形パターン
ヘッドアンドショルダー(三尊天井)が有名で最も効果的なチャートパターンです。
そのベースにはトリプルトップというチャートパターンがあります。
まずはトリプルトップから解説を進めていきますね。
トリプルトップ
トリプルトップは、上昇トレンドの相場で3回の高値を形成するパターンを指します。
これはダブルトップの2回の高値に比べて、さらに1回高値をつけるが特徴です。
よって、トリプルトップはダブルトップよりも信頼性が高いとされます。
ヘッドアンドショルダー
そして、トリプルトップよりも信頼性が高いのがヘッドアンドショルダーです。
ヘッドアンドショルダーは、「三尊天井」「ヘッドアンドショルダーズトップ」など様々な呼称があります。
上昇トレンド相場で、中央の高値が最も高く、両側の高値が中央の高値より低い形状を持つパターンです。
ヘッドアンドショルダーが形成され、ネックラインと呼ばれるサポートラインを下回れば、ヘッドアンドショルダーの成立です。
ヘッドアンドショルダーは、トリプルトップの応用形とも言えます。
3回の高値を形成する点はトリプルトップと同様ですが、ヘッドアンドショルダーの特徴は中央の高値が最も高く、その脇の二つの高値が肩のように見えることから、この名前がつけられました。
ヘッドアンドショルダーは出現頻度は低いですが、特徴的な形状であることから重要な転換のシグナルとして機能します。
そのため、ヘッドアンドショルダーが出現した際には、大きなエントリーチャンスになる可能性があります。
ネックラインを割った後には、急いでエントリーせずに、価格が再びネックライン付近まで戻り「ロールリバーサル」を待ちましょう。
ネックラインタッチで再度下降する際にエントリーすることで、より有利なポジションを保有することができます。
ロールリバーサルについては、以下の記事で分かりやすく解説しています。
ダブルトップ/ダブルボトムの信頼性
ダブルトップは、上昇トレンドの相場でほぼ同価格の高値を2回付けたのち、ネックラインを下回った時に成立します。
ダブルトップは、上昇トレンドの終焉を示唆するシグナルになります。
つまり、トレンド転換ですね。
テクニカルツールを利用したトレンド転換の見極め方
テクニカルツールつまりインジケーターを使用したトレンド転換の判断方法があります。
その中でも移動平均線は、トレンド転換が見つけやすく分かりやすいので、詳しく解説します。
なお、他のインジケーターについては後述します。
移動平均線を使ったトレンド転換の確認方法
移動平均線を使うことで、トレンド転換のサインを視覚的に簡単に見極めることができます。
移動平均線の組み合わせのパターンによって、さまざまな分析が可能になります。
1本の移動平均線だけでなく、2本、3本の組み合わせを使うことで、より詳細なトレンド分析が行えます。
1本の移動平均線のトレンド転換の判断
まずは、1本の移動平均線を使ったトレンド判断方法を解説しますね。
まずは、以下のチャートをご覧ください。
移動平均線をローソク足が上から下に突き抜けたら、上昇トレンドから下降トレンドに転換としたと判断することができます。
ただし、これだけでは信頼性にかけます。
移動平均線の角度や、先ほど解説したダウ理論などを組み合わせることで信頼性の高い分析をすることができます。
次のチャートをご覧ください。
1本の移動平均線だけで、トレンド転換の分析をする場合は、
『意識されている移動平均線』を見つけることで精度がグンッと高くなります。
価格が何度も移動平均線にタッチしたのちに、移動平均線でロールリバーサルが起きればトレンド転換した可能性が非常に高いです。
2本の移動平均線のトレンド転換の判断方法
2本の移動平均線でのトレンド転換の判断は簡単です。
短期移動平均線と長期移動平均線が交差することでトレンド転換したと判断することができます。
転換サイン | 名称 | 状況 |
---|---|---|
上昇トレンドに転換 | ゴールデンクロス | 短期線が長期線を上抜けする |
下降トレンドに転換 | デッドクロス | 短期線が長期線を下抜けする |
3本の移動平均線のトレンド転換の判断方法
3本の移動平均線を使う場合は、トレンド転換点を探るものというよりは、移動平均線の順序がトレンドの方向性・強弱を測る指標として有効です。
種類 | 移動平均線の順序 |
---|---|
上昇のパーフェクトオーダー | 上から短期>中期>長期の順 |
下降のパーフェクトオーダー | 下から短期<中期<長期の順 |
さらに、移動平均線の傾きと価格の関係を観察することで、トレンドの強さや転換の可能性を読み取ることができます。
傾きが急であればトレンドが強いのに対し、緩やかになりさらに角度がなくなってくるとトレンド転換の予兆と判断することができます。
パーフェクトオーダーの手法については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
トレンドラインを使ったトレンド転換の見極め方
トレンドラインの活用もトレンド転換の見極めに有効です。
トレンドラインは、ローソク足チャート上で形成される主要な高値や安値を結ぶ線です。
直接で引くことで相場のトレンド方向を分析することができます。
トレンドラインにはサポートラインとレジスタンスラインの二種類があり、それぞれ上昇トレンドと下降トレンドの確認に使われます。
上昇トレンドを見極めるためには、安値を結んで形成されるサポートラインを利用します。
トレンドラインの上にローソク足が位置する限り、上昇トレンドが継続していると判断できます。
一方、下降トレンドであれば、主要な高値を結ぶレジスタンスラインが用いられます。
トレンドラインが下向きに傾いている場合、下降トレンドが強まっていると判断されます。
トレンド転換のサインは、以下の2パターンです。
- 上昇トレンド中にサポートラインを下抜け
- 下降トレンド中にレジスタンスラインを上抜け
このようなブレイクは、新たなトレンドの始まりを示す兆候ですが、「ダマシ」にも注意が必要です。
理由は、ラインの弾き方が水平線に比べトレーダーにより差異が生じやすいからです。
そのことが理由で、必ずしも多くのトレーダーが見ているとは言えず、その信用性は慎重に判断しなければいけません。
一時的なブレイク後に元のトレンドに戻る場合もあるため、ブレイクが本物かどうかは、他のトレンド転換分析と合わせて見極める必要があります。
トレンドラインの引き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
ローソク足の組み合わせでトレンド判断を見極める
ローソク足の単体または複数による特定の形状のパターンもトレンド転換のシグナルになることがあります。
他のシグナルと組み合わせて判断の補強材料として使いましょう。
ローソク足単体でのトレンド転換シグナル
トレンド転換の可能性を示す一般的なローソク足単体の形状には、寄引同時線(よりひけどうじせん:始値と終値が同じ価格のローソク足)があります。
有名なパターンは、寄せ線(足長十字線)、トンボ、トウバなどが有名です。
このようなローソク足がチャートに現れた場合、トレンド転換の可能性が高まっていると考えることができます。
複数のローソク足でのトレンド転換シグナル
また、トレンド転換を示唆する複数ローソク足の組み合わせとして、「明けの明星(モーニングスター)」と「宵の明星(イブニングスター)」があります。
代表的な「明けの明星」は、大陰線の後に十字線が現れ、その後に陽線が形成されるパターンで、上昇トレンドへの転換サインとされます。
一方、宵の明星は、大陽線の後に十字線が現れ、その後に陰線が形成されるパターンで、下降トレンドへの転換サインとされます。
パターンの名称 | 状況 | 転換方向 |
---|---|---|
明けの明星(モーニングスター) | 大陰線の後に十字線が現れ、その後に陽線が形成されるパターン | 上昇トレンドへの転換サイン |
宵の明星(イブニングスター | 大陽線の後に十字線が現れ、その後に陰線が形成されるパターン | 下降トレンドへの転換サイン |
トレンド転換の種類と転換タイミングの見極め
トレンド転換のサインを見極めるためには、いくつかのパターンを理解し、それぞれの特徴を把握する必要があります。
そのうえで、ダウ理論によるトレンド転換の段階的な見極め方を解説します。
6パターンのトレンド転換
トレンド転換は大きく6つのパターンに分類されます。
6パターンのトレンド転換
- 上昇トレンドから下降トレンドへの転換
- 上昇トレンドからレンジへの転換
- 下降トレンドから上昇トレンドへの転換
- 下降トレンドからレンジへの転換
- レンジから上昇トレンドへの転換
- レンジから下降トレンドへの転換
それでは、ひとつずつ解説していきますね。
1.上昇トレンドから下降トレンドへの転換
この転換は、高値の更新が止まり、安値を更新することによって起こります。
上昇トレンドが終焉を迎える可能性のある重要なサインです。
2.上昇トレンドからレンジへの転換
高値と安値が更新されなくなると、相場は方向感がないレンジ状態に転換していると判断できます。
この段階ではトレードに慎重な姿勢が求められます。
3.下降トレンドから上昇トレンドへの転換
安値の更新が止まり、高値を更新することで下降トレンドは終焉を迎えたと判断できます。
さらに、新たな上昇トレンドの始まりを意味することがあります。
4.下降トレンドからレンジへの転換
下降トレンドの過程で、新たな高値と安値が更新されない場合、相場はレンジに移行しています。
次のトレンドの方向性が決定するまで様子見が推奨されます。
5.レンジから上昇トレンドへの転換
レジスタンスラインを明確に上抜けることで、レンジから上昇トレンドに移行したと判断できます。
レンジブレイクは、蓄積されたエネルギーが解放されるので急伸することがあります。
6.レンジから下降トレンドへの転換
サポートライン(支持線)を明確に下抜けると、レンジから下降トレンドへの転換となります。
先程と同様、レンジブレイクなので売りが強まり急落することがあります。
このように、トレンド転換のパターンを把握し、いずれのパターンに該当するかを想定しつつチャートを分析することで、相場の変動を先読みし適切なトレード判断を下すことができます。
トレンド転換を見逃さないための考察手順―2段階のチェックポイント
これまで、以下の5つのトレンド転換の見極めについて解説してきました。
- ダウ理論
- チャートパターン
- 移動平均線
- トレンドライン
- プライスアクション
この中でも、明確なトレンド転換のベースになるのは『①ダウ理論』です。
②~⑤は『①ダウ理論』の補助として併用するといいでしょう。
個人の場合は、トレンド転換のシグナルとしては①の他、特に②④を重視しています。
さらに、③⑤もあればさらに自信をもってエントリーできます。
ここでは、ベースとなるダウ理論の中で、先述した第6法則について掘り下げ、より細かな考察を加えてみたいと思います。
ダウ理論第6法則『明確な転換シグナル』とは?
ダウ理論の第6法則
『トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する』
ダウ理論によってトレンドの継続や転換を見極めるには、「押し安値」と「戻り高値」という考え方を知る必要があります。
これらは、トレンドの動きを読み解く上で非常に重要な意味をもつ高値と安値ですので、必ず覚えておきましょう。
名称 | 意味 |
---|---|
押し安値 | 最高値を付けた波の起点となる安値 |
戻り高値 | 最安値を付けた波の起点となる高値 |
それでは具体的に、上昇トレンドから下降トレンドへのトレンド転換を例に解説します。
チェックポイント第1段階
上昇トレンド中に、価格が最後の「押し安値」を下回った場合、トレンドが変わる可能性を示唆しています。
これは「転換の明確なシグナル」発生のチェックポイント第1段階と言えます。
しかし、重要なポイントは、この段階ではトレンド転換の単なる「可能性」に過ぎないということです。
上昇トレンドの終了を意味していても、すぐに下降トレンドに転換するわけではありません。
チェックポイント第2段階
その後、ダウ理論の定義通り安値と高値が共に下降しいくことで、「高値と安値の切り下げ」が確定し、下降トレンドが始まったと判断できます。
これが「転換の明確なシグナル」発生のチェックポイント第2段階です。
ダウ理論におけるトレンド転換のパターン
ダウ理論におけるトレンド転換のシグナルの発生にも、パターンがあります。
詳細に値動きを確認すると2つのパターンがあります。
- フェイラースイング
- ノンフェイラースイング
この2つの値動きパターンも非常に重要ですので、覚えておきましょう。
下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる場合を例に解説していきますね。
1.フェイラースイング
(第1段階)波動が新しい安値を作ろうとしますが、1⃣切り下げに失敗し安値がきりあがります。
(第2段階)その後、2⃣高値を切り上げる動きを見せます。
このシグナルは、2⃣高値を切り上げる瞬間、つまり新しい高値が以前の高値をブレイクして更新する時に発生します。
ポイントは押し安値をまだブレイクしていたい段階で、トレンドを形成している点です。
次に解説するノンフェイラースイングより早い段階でシグナルが発生しますが、ノンフェイラースイングに比べると信頼性は劣ります。
2.ノンフェイラースイング
(第1段階)
まず波動が上昇し1⃣高値を切り上げます。
(第2段階)
その直後の動きで、2⃣安値の切り下げに失敗し安値が切り上がります。
次いで3⃣高値も切り上がります。
この転換シグナルは、3⃣で前の高値を次の高値が超えた時に発生します。
ただし、最初の高値更新時点1⃣ではまだトレンド転換とはみなしません。
これはトレンドが崩れつつある兆候ではありますが、完全な転換シグナルとは異なります。
この段階ではまだ市場の動向を慎重に観察し、今後の展開を見極めることが重要です。
しかし、戻り高値をすでにブレイクしているので、反転する可能性がグンッと高くなります。
念のため、上昇トレンドから下降トレンドに転換するときの「フェイラースイング」と「ノンフェイラースイング」を画像で確認しておきましょう。
以下の画像をごらんください。
先ほどの解説の反対で考えれば簡単ですね。
このようにダウ理論のトレンド転換シグナルを理解し活用することで、相場の動きをより深く分析することが可能になります。
ダウ理論によるトレンド転換の見極めの落とし穴とその対策
ダウ理論を用いたトレンド転換の判断は、市場の動きを理解する上で有用ですが、エントリータイミングが遅れることがあるので注意が必要です。
大きな波を用いてトレンド転換を判断する場合、転換点が確認できるのが遅くなり、トレンド転換だけを根拠にエントリーしても大きな利幅が狙えない場合が多々あります。
しかし、大丈夫です。
その場合の対策を解説していきますね。
以下の画像をご覧ください。
上図のように、前回安値の下抜け更新でエントリーをすると、売りのタイミングが遅くなり大きく利幅を得ることができない場合があります。
解決策は、簡単です。
監視する時間足を下位足に落として、高値と安値を判断する波を小さくすることです。
この図は1つ前の図の最後の山を拡大したイメージです。
下位足の小さな波(ピンク色)を使ってトレンド転換を判断すると、下降トレンドへの早期の転換を把握し、より早いタイミングでエントリーすることが可能になります。
ただし、注意すべき点として、小さな波を用いると上位足のトレンドが継続するにもかかわらず、転換シグナルが誤って発生するケースがあります。
つまり、『だまし』です。
例えば、上位足が下降トレンド中で、下位足も下降トレンドへの転換を示すシグナルが発生しても、再び上昇することもあります。
このように、波の規模を小さくするほど、トレンド継続における「だまし」のリスクは高まります。
このため、ダウ理論を活用する際は、このバランスを考慮し、過去検証などを通じて自分に合った波のサイズを見極めることが重要です。
実践!トレンド転換シグナルを活用したトレード戦略
この項目は、今まで解説してきたトレンド転換の集大成になります。
さまざまなトレンド転換分析を駆使して総合的なエントリーポイントを考察していきます。
それでは、解説していきます。
まずは、以下のチャートをご覧ください。
AYDNZD1時間足です。
トレンドが上昇から下降に変化したのは明らかですね。
それでは、どこでエントリーするのがもっとも安全なのか?
様々な転換シグナルごとに分析し、総合的に判断していきましょう。
1.ダウ理論による場合
まずは、押し安値を割り込んだ①のローソク足確定の時点で上昇トレンドが否定されます。
下降トレンドが開始したと判断できるのは②ローソク足確定の時点です。(ノンフェイラースウィング)
よって、ダウ理論によるトレンド転換分析でのエントリーポイントは、▼のポイントでエントリーすることになります。
2.チャートパターンによる場合
チャートパターン分析をすると、2つ目の山が高くなっているのが確認できますね。
明らかなダブルトップです。
ダブルトップは①で完成していますが、リターンムーブでいったんレジサポ転換のあった②の時点でエントリーをするのがベターです。
点線のネックラインタッチ後、陰線確定の時点です。
しかし、その後③上昇ダウを作り2度にわたって戻りの波が形成されています。
損切ラインを浅くに置いていたとしたら損切されてしまいますね。
3.トレンドラインによる場合
何度も価格が反応しているトレンドラインとチャネルラインに挟まれた平行チャネルがあります。
これだけ価格が反応していると、明確に抜ければ大きく下落する可能性があると考えられます。
①の時点で下抜けしたので、②小さなロールリバーサルが起きたところでエントリーできますね。
平行チャネルラインの引き方や手法については以下の記事で分かりやすく解説しています。
4.移動平均線による場合
チャートの3本の移動平均線はそれぞれ20EMA・75EMA・200EMAです。
3本の移動平均が存在するので、複数のエントリーポイントが考えられます。
①
一番早いのは20EMAと75EMAのデッドクロスです。
しかし、このポイントは、トレンド転換と判断するのはまだ早くリスクが高いです。
②
画面にはありませんが、200EMAは直近の過去で意識されています。
価格が反応することの多かった200EMAでのロールリバーサルが起きたポイントでエントリーができます。
③
ローソク足が3本のEMAを全て下抜けしたポイントでエントリーも考えることができます。
④
一番遅いエントリーポイントは、75EMAと200EMAのデッドクロスでパーフェクトオーダーが完成したポイントになります。
5.総合的な判断でトレンド転換のエントリーポイントを決める
総合的に判断して、最も安全なエントリーポイントは、②④です。
なぜ、②④がエントリーポイントに適しているのかを理解するためにも、もう一度、それぞれのエントリーポイントをまとめてみましょう。
エントリーポイント | エントリー根拠 |
---|---|
① | ・トレンドライン下抜け |
② | ・200EMAでのロールリバーサル ・ダブルトップのネックライン ・ロールリバーサル ・インサイドバー |
③ | ・価格が3本のEMAを全て下抜けしたポイント ・プライスアクション(上ヒゲが長いアウトサイドバー) |
④ | ・ダウ理論による明確なトレンド転換完成のシグナル |
①と③でエントリーしないのは、根拠が少なくトレンド転換と判断するのは早いからです。
②でエントリーする理由は、最もエントリー根拠が多く安全だと判断できるからです。
エントリー根拠が重複することを『クラスター』と呼びます。
『クラスター』が多いほど安全度は高くなります。
『クラスター』については、以下の記事で分かりやすく解説しています。
④でエントリーする理由は、明確なトレンド転換が確認できたからです。
ダウ理論・チャートパターン・トレンドライン・移動平均などすべてトレンドが反転を示唆したことにより、安全だと判断できます。
トレンド転換シグナルを取り入れたリスク管理
トレンド転換シグナルをエントリーの決定材料として利用すること以外にも、リスク管理戦略に組み込むことで、以下の2点のとおり、ポジション決済する際の利点を得ることができます。
1.損切ポイントとしての使用
反転箇所が分かれば、損切りポイントとして活用することができます。
よって、逆指値注文など予約注文で、トレンド転換シグナルをもとに損失を最小限に抑えるための損切の根拠として使用できます。
これにより、急激な価格変動による大きな損失を防ぐことができます。
2.利益確定
トレンド転換が確認された場合、早期の利益確定のポイントを決定することができます。
早期にトレンド転換を確認することで、利益を最大限まで伸ばすことが可能になります。
トレンド転換シグナルを見つけるためのツールとインジケーター
最後に、トレンド転換を自動的に検知してくれるツールや、トレンド転換の判断に役立つインジケーターなどをご紹介します。
市場のプロが愛用するトレンド転換シグナルツール
おすすめシグナルツール
トレーディングセントラル
XMの「トレーディングセントラル」は、AI分析とアナリストの専門知識を組み合わせたサービスです。
ファンダメンタル、テクニカル、ニュース、センチメント、経済分析など多角的な視点から分析を行い、FXだけでなく株式、株価指数、コモディティなど多様な資産クラスに対応しています。
XMの口座開設は、以下の記事で分かりやすく解説しています。
中級者向けシグナルツール
『TMサイン』(人工知能・シグナルツール)
TMサインは、自然言語解析(テキストマイニング)と機械学習を組み合わせて、ドル/円相場の方向を予測します。
マーケットニュースと為替レートを解析し、売買シグナルを配信します。
このツールはテクニカル指標やチャートパターンに基づかないため、トレンド転換とは直接関係ありませんが、新しい視点から市場を分析することが可能です。
このツールはみんなのFXやLIGHTFXで採用されています。
上級者向けシグナルツール
『オートチャーティスト』
サクソバンク証券やOANDA Japanが提供するオートチャーティストは、チャートパターンを自動的に検出し、重要なレベルやフィボナッチ水準を提示してくれます。
これにより、取引のチャンスや目標価格、予想レンジなどが明確になります。
トレンド転換シグナルツールは、トレーダーのスキルレベルや取引スタイルに合わせて選びましょう。多くのツールは口座保有を条件にしている場合があるため、利用前に各社のサイトで詳細を確認してください。
トレンド転換を感知するのに役立つインジケーター
今までの解説で紹介した移動平均線以外にトレンド転換の判断に使えるインジケーターがありますので、最後にまとめておきますね。
パラボリックSAR
パラボリックSARは、価格の上下に点で表示されるインジケーターです。
パラボリックSARは、トレンドの方向や転換点を示す指標として使われます。
パラボリックSARの点が価格の下にあるときは上昇トレンド、上にあるときは下降トレンドと判断します。
また、パラボリックSARの点が価格の上下に移動したときは、トレンド転換のサインとなります。
MACD
MACDは、サブチャートにヒストグラムとラインで表示されるインジケーターです。
MACDは、トレンドの強さや転換点を示す指標として使われます。
MACDのヒストグラムが0より上にあるときは上昇トレンド、下にあるときは下降トレンドと判断します。
また、MACDのライン同士がゴールデンクロス・デッドクロスしたときや、ヒストグラムが0を上下に超えたときは、トレンド転換のサインとなります 。
<h4>3.RSI</h4>
- RSIは、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」の相場の過熱感を示唆してくれるインジケーターです。
- 価格が天井圏にあり、RSIが70%を超え、かつ価格とRSIの間でダイバージェンスが生じていたら上昇トレンドの終了
- 価格が底値圏にあり、RSIが30%を下回り、かつダイバージェンスが生じていたら下降トレンドの終了とみることが可能です。
もっとも、RSIを使う際、横ばい相場や穏やかなトレンドの相場で有効ですが、強いトレンドが発生した場合は、RSIが買われすぎや売られすぎの水準に張り付いてしまい、信頼性が低くなります。
ほかのインジケーター以上にチャートや他の指標と併用してトレンドの強さや方向を確認することが大切です。
以上、トレンド転換を感知するのに役立つインジケーターについて紹介しました。
他にも、DMIや、最近ではスーパートレンド(Trading View)などのインジケーターもトレンド転換の判断に使えます。
トレンド転換シグナルの全知識:総まとめとQ&A
まとめとして、今回の記事の重要なポイントをQ&Aで振り返ります。
よくある質問と答え:トレンド転換シグナルの解説
-
Q: トレンド転換シグナルとは何ですか?
-
トレンド転換シグナルは、為替レートの動きが変わる可能性が高いと示唆する市場の兆候です。これを正確に把握することで、有利なトレードのタイミングを見極めることができます。
-
ダウ理論とはどのようなものですか?
-
ダウ理論は、市場のトレンドが蓄積期、公開参加期、過熱期の3つの段階を経て形成されると説明する理論です。これはトレンド転換を見極めるための基本的なアプローチの一つです。
-
ダブルトップやヘッドアンドショルダーなどのチャートパターンはどのようにトレンド転換を示しますか?
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チャートパターンは、価格変動によって形成される波動の視覚的表現です。特定のパターンは将来の市場動向を予測する手がかりとなります。例えば、ヘッドアンドショルダーやダブルトップは上昇トレンドの終了・下降トレンドの開始を示唆します。
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移動平均線を使ってトレンド転換をどのように判断しますか?
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移動平均線の傾きや交差点を分析することで、トレンドの強さや方向性、転換点を判断することができます。
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トレンドラインの役割は何ですか?
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トレンドラインは、トレンド転換の重要な指標です。価格のピークや谷を結ぶこれらの線がブレイクされると、新しいトレンドの開始を示唆します。例えば、上昇トレンドラインの下方ブレイクは下降トレンドへの転換を、下降トレンドラインの上方ブレイクは上昇トレンドへの転換を意味します。
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プライスアクション分析とは何ですか?
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プライスアクション分析は、ローソク足の形状や組み合わせを分析し、市場の感情や参加者の行動を理解する手法です。これは特にトレンド転換点を特定する際に有用です。
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トレンド転換を見極める際の重要なポイントは何ですか?
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トレンド転換を見極める際には、高値と安値の動き、チャートパターン、テクニカルインジケーターの分析を組み合わせて、市場の動向を慎重に観察することが重要です。
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ダウ理論に基づくトレンド転換の判断にはどのような落とし穴がありますか?
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ダウ理論に基づくトレンド転換の判断は、大きな波を用いるため、転換点の確認が遅れることがあります。小さな波を用いることで早期の転換を捉えることは可能ですが、偽のシグナルのリスクも高まります。
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リスク管理にトレンド転換シグナルをどのように取り入れるべきですか?
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トレンド転換シグナルをエントリー時と同様にストップロスや利益確定のポイントとして利用することで、リスクを管理し、収益を安定させることができます。
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トレンド転換シグナルを提供するツールにはどのような種類がありますか?
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トレンド転換シグナルを提供するツールには、初心者向けのシンプルなものから、中級者・上級者向けのより高度な分析を提供するものまで様々です。例えば、初心者向けには「各業者のシグナルツール」などがあり、これらは使いやすく視認性も高いため、取引初心者にも理解しやすいです。
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自動売買でトレンド転換を捉える際のポイントは何ですか?
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自動売買では、トレンド転換が予期される場合には運用を停止することが有効です。多くの自動売買ツールは、荒れた相場や大きなトレンド転換を苦手とするので、それが予期されるような場合には運用を停止したほうが良いということになります。
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トレンド転換を捉えるのに役立つインジケーターは何ですか?
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トレンド転換を捉えるのに役立つインジケーターには、パラボリックSAR、MACD、RSIなどがあります。これらのインジケーターは、トレンドの方向や転換点を示すのに役立ちます。
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FXトレードでトレンド転換を見極めるための基本的なアプローチは何です
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トレンド転換を見極める基本的なアプローチには、ダウ理論、チャートパターン分析、トレンドライン、移動平均線などのテクニカルインジケーターの使用、プライスアクション分析が含まれます。一つの身に頼りすぎず、これらの方法を組み合わせて、市場の動きを正確に捉えることが重要です。
トレンド判断とトレンド転換の分析は、トレードの中核を担う必須スキルです。
トレンド反転を正確に分析して、適切なタイミングで売買することができれば、安定した収益を得つつ、時にビッグチャンスをつかむことが可能になります。
この記事を通じて、トレンド転換のサインを見極め、リスクを管理することで、FXトレードでの勝率と獲得pipsを高めることができます。
かなりのボリュームの記事となりましたが、何度も読み返し今後のトレードに役立てて頂ければ幸いです。
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