- MACDの見方や使い方をマスターしたい
- MACDを使った実践的な手法を学びたい
- 自分ぴったりのMACDの最適な設定値を知りたい
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、FXトレーダーが利用しているインジケーターの中で最も人気のあるテクニカル指標のひとつです。
その理由は、MACDだけでトレンドやエントリーシグナルなどわかりやすく分析できるからです。
よって、多くのトレーダーの助けとなっています。
MACDは、分かりやすく使いやすいインジケーターですが、使い方の幅も広く、パラメーター設定値もたくさんパターンがあります。
ですので、この記事では、
- MACDの計算式や見方・使い方
- 自分にあったMACDのパラメーター値
- 有名トレーダーのMACD設定
- 実践的な他のインジゲーターとの組み合わせ手法
- MACD使用上の注意点
など、この記事を読むだけでMACDを完全にマスターすることができます。
MACDを理解し、使いこなせるようになれば強い武器があなたに備わります。
そのことによって、手に取るように相場の変化を感じれるようになります。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。
目次
MACDとは:基本から始める理解
まずは、MACDの構成やMACDを使った売買シグナルやトレンドの見方を理解しましょう。
MACDとは
MACDとは
- 「Moving Average Convergence Divergence」略
- 日本語訳で「移動平均線収束拡散」という意味
MACDは市場のトレンドや売買タイミングを判断するインジケーターで、短期と長期の指数平滑移動平均線(EMA)の差を示すMACD線と、その移動平均を示すシグナル線で構成されています。
さっそくですが、MACDをチャートで確認してみましょう。
MACDの構成
- MACD線:短期と長期の指数平滑移動平均線(EMA)の差
- シグナル線:MACD線の移動平均線
MACDの売買シグナル
MACDには、MACD線とシグナルの2つのラインがあります。
基本的にMACD線とシグナル線のクロスが売買シグナルになります。
MACDの売買シグナル
- 買いシグナル:MACD線がシグナル線をゴールデンクロス
- 売りシグナル:MACD線がシグナル線をデッドクロス
MACDのトレンドの見方
基本的に、MACD(またはヒストグラム)がプラスであればアップトレンド、マイナスであればダウントレンドと判断します。
MACDのトレンドの見方
- アップトレンド:MACD(またはヒストグラム)がプラス
- ダウントレンド:MACD(またはヒストグラム)がマイナス
MACDの詳細な計算式の解説
続いてMACDの詳細な計算式について、以下の点を確認していきましょう。
- 2種類のMACD
- MACDとシグナルの計算式とライン
それぞれ順番に見ていきます。
2種類のMACD(ヒストグラム表記あり・なし)
まずは、MACDにはおおまかに2種類のMACDがあることを知っておきましょう。
おおまかに『ヒストグラム表記あり』と『ヒストグラム表記なし』の2種類の表示のされ方があります。
ヒストグラムとは
ヒストグラム = MACD線 - シグナル
MACDとシグナルの差を棒グラフで表記したもの
特にヒストグラムとMACDを間違えやすいので注意が必要です。
MACDは、どのプラットフォームでもデフォルトで実装されているインジケーターです。
しかし、2種類のどちらが実装されているかは分かりません。
どちらによ、同じMACDですので見方や使い方に違いはありません。
それでは、2種類のMACDを確認してみましょう。
以下のチャートをご覧ください。
【A】ヒストグラムなしMACD
【A】にはヒストグラムはありません。
よって、曲線がシグナルで棒グラフがMACDになります。
【B】ヒストグラムありMACD
【B】にはヒストグラムあります。
よって、赤曲線がシグナルで、青曲線がMACDです。
そして、棒グラフがヒストグラムになります。
ヒストグラムとMACDを間違いやすいので注意してください。
MACDとシグナルの計算式とライン
次に、MACDとシグナルの計算式を解説しますね。
※この記事では、基本的に『ヒストグラムなし』のMACDで解説を進めます。
MACDには、MACD線とシグナル線という2本の線があります。
それぞれの計算式は以下のようになります。
MACDとシグナルの計算式
- MACD線:短期と長期の指数平滑移動平均線(EMA)の差を示し、一般的には(短期)12週線と(長期)26週線の差として計算される
- シグナル線:MACD線の移動平均で、多くの場合9週線として表示される
- ヒストグラム:MACDとシグナルの差
先述でもしていますが、MACD線とシグナル線の差を棒グラフで見ることができるヒストグラムもあります。
基本的に、『MACD』と『シグナル』この2本の線の動きを見て売りや買いのタイミングを判断します。
特に、MACD線は価格の変動にすぐに反応する特性があるため、トレンドの転換点を早く予測することができます。
MT4・MT5でのMACD表示とカスタマイズ方法
続いてMT4・MT5でのMACD表示とカスタマイズ方法を解説していきますね。
手順1.MACDの選択
MT4を開き、上部メニューの「挿入」から「インディケーター」→①「オシレーター」→②「MACD」の順にクリックします。
手順2.パラメーター設定
MACDの設定画面が表示されたら、パラメーターの数値を確認します。
数値は基本的にデフォルトのままで大丈夫です。
必要に応じて変更可能し、設定が完了したら「OK」をクリックしましょう。
以上がMT4・MT5でMACDを表示するまでの手順です。
最適なMACDのパラメーター設定とは?
続いてMACDの最適なMACDのパラメーター設定について確認します。
- 月足、週足、日足でのおすすめパラメーター
- 短期間の取引に適した1時間足、5分足、1分足のパラメーター設定
- パラメーター設定を変更すべきタイミングと理由
長期から短期の順番で解説していきますね。
月足、週足、日足でのおすすめパラメーター
まずは月足、週足、日足でのおすすめパラメーターです。
時間足 | 短期EMA | 長期EMA | シグナル |
---|---|---|---|
月足 | 12か月(1年間) | 24か月(2年間) | 6か月(半年間) |
週足 | 9週(2か月間) | 20週(半年間) | 4週(1か月間) |
日足 | 12日(2週間) | 26日(1か月間) | 6日(1週間) |
なお、注意点として以下の項目は確認し、市場ごとに若干の調整をしておきましょう。
- 株式市場の1週間は5本。
- 先物市場の1週間は5本または6本。
- 為替市場の1週間は6本。
短期間の取引に適した1時間足、5分足、1分足のパラメーター設定
続いて短期間の取引に適した1時間足、5分足、1分足のパラメーター設定です。
時間足 | 短期EMA | 長期EMA | シグナル |
---|---|---|---|
1時間足 | 8時間 | 24時間 | 4時間 |
5分足 | 9本/12本 | 24本 | 6本 |
1分足 (パラメーター1) | 15本 | 30本 | 5本 |
1分足 (パラメーター2) | 30本 | 60本 | 10本 |
1分足 (パラメーター3) | 60本 | 120本 | 15本 |
パラメーター値は、いくつか試したのちにご自身の手法に最適な数値を設定してください。
パラメーター設定を変更すべきタイミングと理由
迷う用であれば、MACDのパラメーターについては開発者ジェラルド・アペルの推奨する、以下の基本設定(デフォルト)に変更するのがよいでしょう。
MACDのデフォルト値
- 短期EMA: 12日
- 長期EMA: 26日
- シグナル: 9日
しかし、最も効果的なMACDの利方用法は、利食い幅や損切り幅などの総合的な取引戦略とのバランスを適切に取りながら、設定を最適化しましょう。
ご自身のトレードスタイル(スキャルピング・デイトレード・スイングトレード)や、手法にマッチするパラメーター値に変更して検証することをおすすめします。
有名トレーダーのMACD推奨パラメーター設定値
MACDで設定したい有名な設定値をここで紹介します。
ここで紹介する設定値は、有名トレーダーが好んで設定しているパラメーター値です。
是非、チャートに表示してご自身の手法との相性を確認してみてくださいね。
開発者ジェラルド・アペル氏のMACD推奨パラメーター設定値
MACDを開発したジェラルド・アペル氏は、異なる取引スタイルに適応するために「短期」「中期」「長期」の3つの設定を提案しています。
特に重要なのが中期の設定で、これはMACDの標準的なデフォルト設定として広く使われています。
それでは、アペル氏が推奨する具体的なパラメーターを確認してみましょう。
パターン | 短期EMA | 長期EMA | シグナル |
---|---|---|---|
短期型 | 6 | 19 | 9 |
中期型 | 12 | 26 | 9 |
長期型 | 19 | 39 | 9 |
基本的には、短期設定を使うと売買シグナルが早く、頻繁に現れます。
短期型は、短期間の市場(スキャルピングやデイトレード)などの変化を捉えるのに適しています。
一方で、長期型設定を使うと、売買シグナルは遅れて出現し、その数も少なくなります。
その分、短期型設定よりもだましが少なくなります。
これは、より長い期間にわたる市場(デイトレードやスイングトレード)などの変化を分析するのに適しています。
これらの特徴を理解して、自分の取引スタイルに合わせて使用してください。
これにより、取引の効率が向上します。
また、中期設定はMACDの標準的なデフォルト設定として広く使われており、多くの投資家に知られています。
この設定は、短期と長期の間のバランスを取る『バランス型』として使用できます。
クリス・マニング氏のMACD推奨パラメーター設定値
ジェラルド・アペル氏の設定をベースに、MACDの反応速度を高める新しい設定(9,17,7)を考案したのがクリス・マニング氏です。
短期EMA | 長期EMA | シグナル | |
---|---|---|---|
クリス・マニング氏推奨設定値 | 9 | 17 | 7 |
マニング氏のパラメータ設定は、特に短期取引において有効です。
この設定を使用することで、市場の動きに迅速に反応し、売買のチャンスを早く捉えることができます。
よって、マニング氏の設定はデイトレードなどの短期トレードに適していることになります。
マニング氏の設定は、デイトレードなどの短期間に発生するトレンドを上手く捉えて早い売買シグナルを点灯させます。
もちろん、シグナルが早い分だましも多くなるので注意が必要です。
(No.1オススメ)ジョー・ディナポリ氏が愛するMACD推奨パラメーター設定値
ディナポリ手法で有名なジョー・ディナポリ氏がこよなく愛するMACD設定があります。
MACD(8,17,9)です。
個人的には、この設定が一番おすすめです。
『ディナポリ手法』『ディナポリチャート』でも、このパラメーター設定が紹介されており、個人的にはデフォルトと同じくらい安定したサインを提供してくれる印象です。
パラメーター数値的には、どちらかといえば短期トレードに適していますが、スイングトレードでも的確なサインを点灯させてくれます。
短期EMA | 長期EMA | シグナル | |
---|---|---|---|
ジョー・ディナポリ氏推奨設定値 | 8 | 17 | 9 |
MT4でのMACDの他のインジケーターの組み合わせと活用法
ここからは、具体的なMACDの活用方法についてご紹介していきます。
- ストキャスティクスとMACDを組み合わせた手法
- RSIとMACDを組み合わせた手法
以上の2つの手法ついてそれぞれ解説していきますね。
ストキャスティクスとMACDを組み合わせた手法
まずは、ストキャスティクスとMACDを組み合わせた手法を紹介します。
この手法では、マルチタイムフレーム分析を利用します。
手順は、以下の通りです。
ストキャスティクスとMACDを組み合わせた手法の手順
- STEP1|上位足でMACDで強いトレンドを見つける
- STEP2|下位足でストキャスティクスで売買シグナルを待つ
【各パラメーター】
- MACD(12,26,9)
- ストキャスティクス(5,3,3)
※これより解説するのは、買いパターンになります。
STEP1|上位足でMACDで強いトレンドを見つける
まずは、上位足のMACDで環境認識します。
MACDを使って強いアップトレンドを見つけましょう。
強いアップトレンドは、MACDで以下の2点を確認します。
- MACDがシグナルをGCしている
- MACD(またはヒストグラム)がプラス
MACDがシグナルをGCしている状態は、買い勢力が強いことを示します。
また、MACD(またはヒストグラム)がゼロラインよりプラスにある状態はアップトレンドを示します。
よって、この2つの条件が整うことで相場は強いトレンドだと判断することができます。
STEP2|下位足でストキャスティクスで売買シグナルを待つ
上位足が強いアップトレンドだと確認できましたので、次に下位足でエントリーポイントを絞ります。
下位足では、ストキャスティクスを利用します。
以下のチャートをご覧ください。
上位足が強いアップトレンド時に、下位足でストキャスティクスが売られ過ぎを示唆したポイントが絶好の買いポイントです。
ストキャスティクスの売られ過ぎが20%以下になった箇所が買いシグナルになります。
上のチャートでは、綺麗に押し目を拾うことができて全勝ですね。
RSIとMACDを組み合わせた手法
次は、RSIとMACDを組み合わせた手法です。
手順は以下の通りになります。
RSIとMACDを組み合わせた手法の手順
- サポート・レジスタンスにレートがあることを確認
- RSIの買われ過ぎ・売られ過ぎを確認
- MACDの売買シグナルを待つ
【各パラメーター】
- MACD(12,26,9)
- RSI(9,3,3)
STEP1|サポート・レジスタンスにレートがあることを確認
STEP1が最も大切なポイントになります。
まず、レートが水平線やトレンドラインなどの重要な価格帯であるサポート・レジスタンスにあることを確認します。
サポート・レジスタンスが確認できなければ、根拠のないトレードになってしまいますので、かならずSTEP1の確認作業から始めてください。
上のチャートの場合は、トレンドラインにレートが反応していますね。
STEP2|RSIの買われ過ぎ・売られ過ぎを確認
STEP2で買われ過ぎ・売られ過ぎを確認します。
STEP1でレートがトレンドラインで反応しているポイントは、RSIは同時に売られ過ぎ(RSI30%)を示しています。
STEP3|MACDの売買シグナルを待つ
あとは、エントリートリガーを待つだけです。
エントリートリガーとしてMACDを使用します。
MACDがシグナルをGCした時点で買いエントリーします。
MT4でMACDとシグナルの2本線化やヒストグラム表示のカスタマイズ方法
『MT4・MT5でヒストグラムありのMACDを使いたい!』
MT4の標準設定には『MACDヒストグラム』(2本線+ヒストグラム)が含まれていません。
ご安心ください。
MT4・MT5でヒストグラムありのMACDはフリーで提供されています。
そのため Good_Macd.mq4のような無料のインジケーターを用いるのが最も簡単です。
MACDのダイバージェンスの機能と活用法
強気のダイバージェンスとは、下降相場中に見られる現象で、これは買いのチャンスを示唆します。
具体的には、チャート上のローソク足の最低値が下がり続ける一方で、オシレーターMACDの最低値が切り上がって上昇している場合を指します。
この2つの動きが逆行している時、強気のダイバージェンスが発生していると言えます。
一方、弱気のダイバージェンスは、上昇相場中に現れるシグナルで、売りのサインとして利用できます。
これは、ローソク足の最高値が上昇し続ける中で、オシレーターの最高値が切り下がった時に確認できます。
こちらも、価格とオシレーターの動きが逆方向になることから、弱気のダイバージェンスとして捉えられます。
ダイバージェンスは100%のシグナルではありません。
利食いやトレンド転換、エントリーの根拠のひとつとして参考になりますが、ダイバージェンスだけでアクションを起こしてはいけません。
必ず、他のテクニカル指標や分析など総合的に判断することが大切です。
MACDを使用するときの注意点
MACDを使用するときの注意点
- レンジ相場ではダマシが多発する
- 他のテクニカル指標と合わせて利用すること
- 環境認識を行ったうえでMACDを利用すること
レンジ相場ではダマシが多発する
MACDはトレンドを見極めるのに有効なテクニカル指標ですが、レンジ相場では信頼性が低下する傾向があります。
トレンド相場では、MACDが売買サインとして機能しやすく、トレンドの転換点を見つけるのに役立ちます。
しかし、レンジ相場、つまり価格が一定範囲内で上下する場合、誤った売買サイン(ダマシ)が頻繁に発生し、信頼性が低下するので注意が必要です。
他のテクニカル指標と合わせて利用すること
トレンドの終盤や転換点を探る際、MACDだけに頼らず、他のテクニカル指標と組み合わせることが重要です。
例えば、RSI(相対力指数)や移動平均線などの指標を併用すると、より正確な売買サインを得ることができます。
RSIは市場の買われすぎや売られすぎを示すのに適しており、MACDと合わせて使うことで、相場の過熱感を捉えるのに役立ちます。
また、ボリンジャーバンドを使用することで、相場の強弱を分析し、トレンド相場とレンジ相場を区別しやすくなります。
環境認識を行ったうえでMACDを利用すること
長期トレンドの把握も重要です。
短期トレンドだけに注目すると誤った判断を招くことがあるため、日足や週足などの長期トレンドも考慮に入れることが重要です。
一つのテクニカル指標に依存せず、複数のテクニカル分析やテクニカル指標を組み合わせてMACDを使用することで、より精度の高い相場分析と売買の判断が可能となります。
まとめ
MACDは、初心者から上級者まで幅広いトレーダーが利用している人気インジケーターです。
使い方をしっかり理解したうえで利用することは当然ですが、MACDだけに依存してしまってはいけません。
基本的なテクニカル分析や、他のテクニカル指標を組み合わせて、MACDのシグナルの精度をあげていくことを心かけましょう。
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