パラボリックSARってどんなインジケーター?
パラボリックSARの見方や使い方を知りたい!
パラボリックSARは、分析方法や使い方が分かりやすいのが特徴で、初心者の方でも使いこなせるインジケーターで有名です。
テクニカル指標の神様的存在のウェルズ・ワイルダー氏が開発したインジケーターですので、世界中のプラットフォームにもデフォルトで実装されています。
この記事では、パラボリックSARの使い方をわかりやすく解説していきますね。
それだけではなく、
- パラボリックSARの計算式
- パラボリックSARの見方や使い方
- パラボリックSARの表示方法
- 他のインジケーターを組み合わせた高確率手法
など、分かりやすく解説していきます。
パラボリックSARを理解して攻略することで、高額なサインツールを使わなくてよくなります。
なぜなら、パラボリックSARがあなたの手法に合わせた、あなただけのサインを点灯させてくれるからです。
目次
パラボリックSARってどんな指標?どんな時に使う?
パラボリックの計算式や手法の解説に入る前に、パラボリックSARとは、どのようなインジケーターなのか簡単に説明しておきます。
インジケーターの特徴や簡単な使い方を理解してから読み進めた方が、深く理解をすることができるからです。
パラボリックSARの特徴
パラボリックSARは、テクニカル指標の一つです。
トレンド系インジケーターですので、基本的には株価や為替レートのトレンドを判断するインジケーターと認識してください。
さっそく、どのようなインジケーターなのか実際のチャートで確認してみましょう。
パラボリックの意味
パラボリック(parabolic)とは日本語で『放物線』という意味です。
パラボリックSARは、上記のチャートのようにドットが放物線上で表示されます。
SARの意味
SARとはStop And Reverse(ストップ&リバース)の略です。
ストップ&リバースという意味なので、パラボリックSARは、トレンドが「終わり」と「反転」を視覚的に教えてくれるということが分かります。
パラボリックSARのインジケーターを実装しているチャートでは、SARだけの名称で表記されている場合もあります。
名称からわかりようにパラボリックSARは、現在の相場が上昇トレンドにあるのか、それとも下降トレンドにあるのかをチャートを見るだけですぐに判別できるのでとても便利です。
あとでも解説しますが、上昇トレンド中にパラボリックSARを使用するとローソク足の下にドットが表示され、下降トレンドだとローソク足の上にドットが表示されます。
パラボリックSARの設定値はであることが一般的です。
デフォルトの設定をそのまま使用しても構いませんが、設定をカスタマイズすることで自分のトレードスタイルに合わせた使い方も可能です。
設定を変更すれば日足チャートだけでなく、1時間足チャートや5分足チャートなどより詳細なチャートにも応用できてより利便性を発揮してくれるます。
ドットが上にあるか下にあるかを見るだけで現在の相場の動向を読み取れるので、パラボリックSARはトレンドを調べたい時に役立つ指標です。
パラボリックSARの特徴
- トレンド系指標
- SARという名称だけで表記されている場合がある
- ドットの位置で上昇トレンドなのか下降トレンドなのか一目瞭然
- デフォルト値(初期値:0.02)(上限:0.2)
- 初心者でも扱いやすいインジケーター
FXトレーダーがパラボリックSARを使う理由とは?
パラボリックSARをFXトレーダーが使用する理由は、使いやすさです。
パラボリックSARは、ドットが上下どちらにあるのかを見るだけで現在のトレンドの勢いや方向性を判断できる優れたツールだからです。
チャートをみれば一目瞭然ですね。
特にデイトレードやスキャルピングなどの一分一秒単位で決断を求められる高速トレードをする場合、見てすぐに判断できるパラボリックSARは非常に相性が良いです。
これがもしも見ただけではすぐに判断できないような複雑で難易度の高い指標だと、売買の決断を下すまでに時間がかかりますよね。
スキャルピングなどの高速売買では使い物になりません。
その点、見てすぐに判断できるパラボリックSARはとても使いやすいです。
パラボリックSARは見やすく、わかりやすく、すぐに判断ができる便利な指標です。
特別な知識がなくてもすぐに使用できるツールなので上級者はもちろんのこと、初心者にも扱いやすい指標で人気です。
誰がなぜパラボリックSARを考案したの?
パラボリックSARは技術分析家のウェルズ・ワイルダーが考案したテクニカル分析の指標です。
ワイルダーがパラボリックSARを考案した1970年代というと、市場の取引量が急速に増えることで取引量が拡大し、価格変動もかつてないほど激しくなっていました。
急激に変化する市場に対応するには、迅速に判断が下せる指標が求められます。
そこで出番になったのがパラボリックSARなのです。
ウェルズ・ワイルダーが考案したパラボリックSARは非常にわかりやすいだけでなく、シンプルで使いやすく、多くのトレーダーに広まりMT4やMT5、TradingViewや各種プラットフォームにはデフォルトで実装されています。
パラボリックSARの計算方法を分かりやすく解説
計算式を理解しなくてもパラボリックSARを活用することができます。
大切なことは、パラボリックSARの使い方です。
計算式の理解が必要ない方は、読み飛ばして次の項目へ進んでください。
パラボリックSARの計算方法は次の通りです。
パラボリックSARの計算方法
SAR(Stop And Reverse Point)=前の期間のSAR+AF×(EP-前の期間のSAR)
AF(Acceleration Factor)=加速因数0.02≦AF≦0.2
EP(Extreme Point)=極大値=最高値(SARがロングサイン時)もしくは最安値(SARがショートサイン時)
はい、なんのこっちゃ分からないですね。
大丈夫です。
そもそもインジケーターは、計算式が分からなくても使い方や手法の応用が分かれば問題ありませんので。
計算式を理解しなくていいという方は、次の項目に進んでくださいね。
少し興味がある方は、めちゃくちゃ分かりやすくまとめていますので、このまま読み進めてくださいね。
基本の計算式の意味をわかりやすく理解
それでは、パラボリックSARの計算式を分かりやすく解説しますね。
ポイントは、AFとEPの2つです!
AF(Acceleration Factor=加速因数)
AF(Acceleration Factor=加速因数)
- AF(Acceleration Factor)=加速因数のこと
- パラボリックの感度
- 初期値はデフォルトで[0.02]で設定されている
- 通常(0.02≦AF≦0.20)で設定
- 新高値、新安値を更新するたびにAFは増加するが最大値(0.2)を超えることはない
- トレンド転換した時に初期値へ戻る
AFは、パラボリックSARの感度を示すものだと考えると分かりやすいと思います。
新高値・新安値を更新するごとにAF値は0.02ずつ増えていき、上昇トレンドが下降トレンドへ、または、下降トレンドが上昇トレンドへ転換した時に、AFは初期値(0.02)に戻ります。
あなたの手法や過去検証をもとに、この感度を設定していくとよいです。
EP(Extreme Price=極大値)
それでは、次はEPです。
EPも分かりやすく解説しますね。
EP(Extreme Price=極大値)
- EP(Extreme Price=極大値)
- ロングサインの時は最高値の値。ショートサインの時は最安値の値
- 新高値または新安値を更新すれば、その値がEPになる
EPは、極大値のことです。
ロングサイン(上昇トレンド)時では、最高値の値で、ショートサイン(下降トレンド)時では、最安値の値です。
ポイントは、画像でも解説しているとおり、新高値や新安値を更新したものがEPとしてカウントされるということです。
パラボリックSARの計算式をめちゃくちゃわかりやすくまとめる
パラメーターは基本的にAF値を設定します。
デフォルトで0.02で設定されているものが多いのは、開発者であるワイルダー氏が0.02が最適だとしているからです。
EPが更新されない限りAFが増えることもありませんし、0.2を超えることもありません。
そして、EPが更新されるたびに、0.02増加していく。
これが、SARの計算式が示していることです。
SARの感度をよくしたい場合は、AF値を大きな値に設定して、感度を鈍くさせたい場合はAF値を小さな値に設定するとよいということですね。
MT4・MT5でパラボリックSARを設定する手順
MT4・MT5の場合は、既にパラボリックSARが実装されていますので、パラボリックSARを表示させるのは簡単です。
MT4・MT5でパラボリックSARを表示させる手順
- メニューバーより、インジケーターのアイコンをクリック
- トレンドを選択
- [Parabolic SAR]を選択する
上記の手順で、パラボリックSARがチャートに反映されます。
パラボリックSARの正しい見方
パラボリックSARを使用すると、ドットの位置関係を見ることでトレンドの方向性や転換点などを把握することができます。
- トレンドの方向性
- トレンドの転換点
以下の項目よりパラボリックSARの正しい見方について解説します。
パラボリックSARで上昇トレンドと下降トレンドの判断をする
パラボリックSARのドットの位置を見ることで現在の相場は上昇トレンドなのか、それとも下降トレンドであるかを判断できます。
たとえば上昇相場時、パラボリックSARのドットはローソク足の下に発生します。
上昇トレンドが継続する限り、パラボリックSARのドットはローソク足の下に表示され続けるので、ドットを見るだけで現在も上昇トレンドが継続しているか否かを判断することができます。
その反対で下降トレンドが発生している時は、パラボリックSARのドットはローソク足の上に表示されます。
ドットがローソク足の上に表示されている限りにおいて下降トレンドが継続しているサインになります。
以上のようにパラボリックSARのドットがローソク足の上にあるか下にあるかで相場のトレンドの方向性、上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを区別できます。
パラボリックSARでトレンド方向を判断する
- ローソクより下にドットがある場合は上昇トレンド
- ローソクより上にドットがある場合は下降トレンド
パラボリックの位置と転換シグナル
パラボリックSARのドットの現在の位置は、それぞれのトレンドの方向性を意味しています。
ドットがローソク足の下に表示されるなら為替レートが上昇中であることを意味し、ドットがローソク足の上にあるなら為替レートが下降しているというサインになります。
例えば現在の相場が上昇トレンド時の場合、パラボリックSARのドットはローソク足の下に表示されます。
常にパラボリックSARが下に表示され続けるので、為替レートをサポートしているように見えますね。
この上昇トレンドが反転し、下降トレンドへと変わると、今度はパラボリックSARのドットは下から上へと表示する場所が変更されます。
このようにパラボリックSARは、ドットの動きを見ることで現在のトレンドの方向性だけでなく、さらには転換点まで把握できるんです。
パラボリックSARのドットの位置を把握し、その意味を理解することで相場の方向性を読み取れるようになります。
パラボリックSARで転換シグナルを確認する
- ドットが下から上に移動したら上昇から下降へトレンドが転換
- ドットが上から下へ移動したら下降から上昇へトレンドが転換
実践的な使い方と勝率の高いエントリー手法
パラボリックSARの実践的な使い方、エントリーと決済のタイミングを理解するためにエントリー・エグジット戦略について以下で解説しますね。
いつどのタイミングでエントリーもしくはエグジットをするのか、その具体的なやり方やトレンドの強弱の判断方法について紹介しますね。
- エントリーとエグジットのタイミング
- 他のインジケーターを組み合わせるて利用する
- マルチタイムフレーム分析で勝率を上げる
①トレンド確認とエントリータイミング
パラボリックSARのドットの位置を把握することで、トレンドだけでなくエントリーのタイミングまで分析できます。
基本的に、トレンド転換したポイントがエントリータイミングです。
それでは、実際のチャートをご覧ください。
これは、先ほどと同じチャートになります。
パラボリックSARの位置が変わった時が、ショートエントリーのタイミングになります。
パラボリックSARのドットがローソク足の下にある場合、相場は上昇していると判断できますね。
すでに上昇トレンドが始まっているタイミングならば、すぐにエントリーせず、次の転換が来るまで待ちましょう。
やがてパラボリックSARのドットが下から上へと転換した場合、上昇トレンドが終了し、下降トレンドが始まったと判断できます。
このタイミングでショートで新規注文をすることで、下降トレンドの開始に合わせてエントリーをすることができます。
パラボリックSARのドットが下から上に転換したら下降トレンドの起点なのでショートでエントリー、逆にドットが上から下に転換したら上昇トレンドの起点になるのでロングでエントリーのサインとなります。
他のインジケーターと組み合わせて勝率を上げる
パラボリックSARの転換がエントリーシグナルということを解説しましたが、それは、基本的な使い方であって、それだけでは、だましに合いやすいです。
そこで、他のインジケーターと組み合わせて利用します。
RSIとパラボリックSAR
今回は、RSIとパラボリックSARを組み合わせてみます。
RSIの基本的な使い方
- RSIが30%以下の時は買いシグナル
- RSIが70%以上の時は売りシグナル
RSIの使い方は、
【RSIの効果的な使い方!設定値や計算式・手法から裏技まで完全マスター】
で分かりやすく解説しています。
それでは、実際のチャートで確認していきますね。
RSIは70%ですので、売りシグナルです。
しかし、パラボリックSARは買いシグナルですのでまだ、ショートエントリーをしてはいけません。
その後、パラボリックSARが売りに転換したポイントがエントリータイミングにあります。
RSIとパラボリックSARを組み合わせたエントリータイミング
- [RSI70%以上]+[パラボリックSAR売りシグナル]=ショートエントリーのタイミング
- [RSI30%以上]+[パラボリックSAR買いシグナル]=ロングエントリーのタイミング
マルチタイムフレーム分析で勝率を上げる
さらに勝率を上げるために、マルチタイムフレーム分析を活用します。
つまり、上位足のトレンドに逆らわないようにエントリーシグナルを選ぶということです。
上位足のトレンドに合わせてパラボリックSARのシグナルを選ぶ
- 上位足がアップトレンドの場合=パラボリックSARのエントリーは買い転換のみ
- 上位足がダウントレンドの場合=パラボリックSARのエントリーは売り転換のみ
マルチタイムフレーム分析については、
【マルチタイムフレーム分析のやり方のコツ!FX上級者が取り入れている手法を完全マスター】
で分かりやすく解説をしています。
それでは、実際のチャートで解説していきますね。
まずは、上位足のパラボリックSARを確認しましょう。
上位足は、パラボリックSARのドットがローソク足の下にあるのでアップトレンドですね。
それでは、ひとつ時間足を落として下位足で確認してみましょう。
上位足がアップトレンドだったので、パラボリックSARが買い転換したときのみエントリーします。
上手くタイミングがとれていますね。
また、パラボリックSARの売りサイン時は、押し目として判断することができます。
このように、パラボリックSARをマルチタイムフレーム分析と組み合わせることでより勝率の高いエントリーをすることができます。
パラボリックSARのメリット・デメリットと対策
パラボリックSARの主なメリットは見やすさです。
デメリットはだましのサインが出やすいことです。
ここで、メリットとデメリットをまとめておきます。
パラボリックSARのメリットとデメリット
パラボリックSARが投資家に愛用される主要なメリットは見やすさと分かりやすさです。
サインが簡単に判断できるという点です。
ドットがローソク足の上に表示されているのか、それとも下に表示されているのかを見るだけでトレンドの方向性を確認できるなど、シンプルで見やすい構造をしています。
使い方を習得する上で専門的な知識やスキルは不要で、初心者でもすぐに使い方を覚えられます。
しかし、デメリットもあります。
トレンドが弱い場合やレンジ相場の場合、パラボリックSARが機能せずにだましが発生しやすいので注意が必要です。
パラボリックSARのだましに合わないようにするための対策
パラボリックSARなどのトレンド系の指標は強いトレンドが発生している時に真価を発揮しますが、レンジには弱いです。
その際に、だましのシグナルが点灯する場合が多々あります。
対策としては、先に記載した「他のインジケーターと組み合わせる」「マルチタイムフレーム分析」でパラボリックSARを使用することを心がけてください。
パラボリックSARでだましに合わない対策
- パラボリックSARと他のインジケーターと組み合わせる
- マルチタイムフレーム分析で利用する
まとめ|パラボリックSARでの成功のポイント
パラボリックSARにはトレンド相場に強い指標です。
この指標を用いて成功させたいなら、トレンド相場が発生している時に使用しましょう。
トレンド相場で使用する限りにおいては、パラボリックSARには非常に強い真価を発揮してくれます。ドットの位置を見るだけでトレンドの方向性を確認できるだけでなく、さらにはエントリーと決済のタイミングまでチャートを見るだけで判断できます。
しかし、レンジ相場では思ったような力を発揮できません。
パラボリックSARを使用するときは、現在の相場はトレンド相場なのか、レンジ相場なのかを確認しておきましょう。
他にも、市場の状況に合わせて設定値を調整するなどの作業が求められます。
設定を調整することで、より高い効果を発揮できます。
テクニカル分析の指標はパラボリックSARだけではありません。
他にもトレンド系の指標があります。
さらにはレンジ相場に強い指標もあります。
様々な指標を組み合わせることで、パラボリックSARの弱点を補完することもできるでしょう。
長所だけでなく短所もしっかり理解し、使い方を習得する、それがパラボリックSARで取引を成功させるコツです。
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