『ボリンジャーバンドを詳しく学びたい』
『ボリンジャーバンドの効果的な設定を知りたい』
『ボリンジャーバンドを利用した手法をマスターしたい』
私の中で、最強のテクニカル指標がボリンジャーバンドです。
なぜなら、ひとつのインジケーターで「トレンド」「ボラティリティ」「標準偏差」
3つの重要な要素を分析できるからです。
事実、私が出会ってきた上級トレーダーの方々も例外なくチャートに表示させていたテクニカル指標が
『ボリンジャーバンド』でした。
この記事では、ボリンジャーバンドを誰でも完全マスターできるように分かりやすく解説しています。
- ボリンジャーバンドを使うメリット
- ボリンジャーバンドの基本設定や計算式
- ボリンジャーバンドの正しい見方と使い方
- 知っておきたいボリンジャーバンドの応用テクニック
- ボリンジャーバンドを利用した5つの手法
など、かなりのボリュームで解説しています。
ボリンジャーバンドをマスターすることで、今まで以上に精度の高い分析ができるようになります。
また、ボリンジャーバンドの特徴を使ったパターン化されたトレードをすることができるようになります。
そのことによって、分析からトレードがめちゃくちゃ楽になります。
この記事が、あなたのトレードレベルの向上の向上のお役に立てれば幸いです。
目次
なぜ上級トレーダーはボリンジャーバンドをチャートに表示させるのか?
私が出会ったプロトレーダーは、全員ボリンジャーバンドをチャートに表示していました。
それが、私がボリンジャーバンドを利用するきっかけでした。
さて、なぜボリンジャーバンドをチャートに表示させているのでしょうか。
その理由やメリットを先に解説しておきますね。
ボリンジャーバンドは、ひとつのテクニカル指標で3つの分析を同時にできるからです。
- トレンド
- 標準偏差
- ボラティリティ
この3つの情報は、トレードするうえで非常に重要な要素です。
トレンドは、言うまでもなく重要です。
トレンドフォローする上でアップトレンドなのかダウントレンドなのか。
強いトレンドなのか、弱いトレンドなのか。
もしくは、ノントレンドなのか。
そして標準偏差は、値動きの幅を確率的に示してくれます。
そのことにより、エントリーポイントや決済ポイントを先読みすることができます。
最後にボラティリティ。
ボラティリティの分析で通貨ペアの勢いを分析することができます。
トレードする通貨ペアを勢いのあるものだけに絞ることで、値幅を大きく獲ることができます。
以上のようにボリンジャーバンドから得られる情報が非常に多いのでで、世界中のトレーダーがボリンジャーバンドを利用しています。
ボリンジャーバンドの基本設定
トレーダーの中でもトップレベル人気を誇るインジケーターです。
ボリンジャーバンドは、価格データとともに動く移動平均線と、その周囲に描かれるバンドが特徴です。
正しい設定をすることで、このバンドを使って、トレンド強弱や市場の過熱感や過冷感を分析でき、トレーダーは精度の高い分析をすることができます。
ここでは、ボリンジャーバンドの基本的な設定と、その背後にある理論について解説します。
開発者が推奨するボリンジャーバンドの基本期間とは?
ボリンジャーバンドは、アメリカの財務アナリストであるジョン・ボリンジャー氏によって開発されました。
このインジケーターは、中央にセンターライン(中心線、ミドルライン)として移動平均線(Simple Moving Average:SMA)を配置し、その上下に計算された標準偏差(±2σ)を示す線を加えることで形成されます。
ジョン・ボリンジャー氏は、インジケーターとしてのボリンジャーバンドは、移動平均線と±2σのバンドのみを基本とし、±1σの線は不要と考えています。
私もこのことに異論はなく、±2σのみをチャートに表示しています。
そして、ボリンジャーバンドの適切な期間設定については、彼は「20」を推奨しています。
この20日間という期間は、為替市場の月間取引日数(土日を除く約20日)に基づいています。中期的なトレンドと市場のボラティリティを捉えるには適切な期間です。
しかし、中心線である移動平均線は手法によって個人差があります。
ボリンジャーバンドのデフォルト設定は?
多くのチャートソフトウェアでは、ボリンジャーバンドのデフォルト設定が期間20のセンターライン、±1σおよび±2σのバンドラインの計5本のラインで表示されます。
しかし、ボリンジャー氏の考えと同様にMT4/MT5、TradingViewの標準装備のインジケーターはセンターラインと±2σラインの3本が表示されます。
以下のチャートをご覧ください。
MT5の画面になります。
採用する手法によって、標準偏差ラインを追加または削除することができます。
MT4やMT5では、「レベル」設定から必要な標準偏差の数値を追加することができます。
(この例ではパラメータータグの中で「①標準偏差」を1にし、「レベル」タグの中の「②レベル」で2・-2を追加しています。
このように柔軟的に、トレーダーは自分の取引スタイルや分析ニーズに合わせてボリンジャーバンドをカスタマイズすることができます。
トレードスタイルに応じたボリンジャーバンドの期間設定
ボリンジャーバンドの標準的な期間設定は「20」ですが、トレードスタイルに応じてこの期間を調整することで、より効果的に市場分析を行うことができます。
トレードのタイプに合わせて、短い期間や長い期間に設定することにより、取引の最適化が可能になります。
ボリンジャー氏の考えをベースに、最適な期間設定をトレードスタイル別に解説していきますね。
1. 短期トレード(スキャルピング~デイトレード)
短期トレードでは、迅速な市場の動きを捉える必要があります。
このため、期間10などの短い期間設定が推奨されます。
長い期間設定を使用すると、トレードシグナルの発生が遅れ、スキャルピングに必要な機動性が損なわれる可能性があります。
2. 中期トレード(デイトレード~短期のスイングトレード)
中期的なアプローチでは、期間20や21が適切です。
この期間は、トレンドの持続性とボラティリティのバランスが取れており、多くの市場環境において効果的に機能します。
先述していますが、この設定がもっともポピュラーな期間設定になります。
迷った場合は、期間20や21で問題ありません。
3. 長期トレード(スイングトレード~ポジショントレード)
長期トレードでは、期間50、75、100、さらには200といった長い期間設定が有効です。
これにより、市場のより広範なトレンドを評価し、じっくりとトレード機会を見定めることができます。
短期で使用頻度が多い期間設定は25程度あたりが上限とされています。
そして、中期は50~70、長期は100~200が一般的です。
このように中心線である移動平均線は、ご自身の手法やトレードスタイルで柔軟的にカスタマイズしていきましょう。
ボリンジャーバンドの表示設定「標準偏差」:開発者推奨の±2σとは
ボリンジャーバンドの最大の特徴は、標準偏差のバンドにあります。
このボリンジャーバンドの標準偏差について深く解説をします。
ボリンジャーバンドにおけるバンドの意味
ボリンジャーバンドは、統計学を基にしたテクニカル指標で、その計算には標準偏差が使用されています。
具体的には、移動平均線を中心に、その上下に設定された標準偏差に基づく帯状のラインが置かれるのが特徴です。
標準偏差は、価格がその平均からどれだけ散らばっているかを示す指標です。
つまり、価格がどれだけ移動平均線から離れる傾向にあるかを数値で表します。
イメージしやすく説明するために、クラスの生徒の身長で例えてみますね。
クラスの生徒たちの身長の平均が、160cmだとしましょう。
この160cmを「移動平均線」と考えることができます。
そして、生徒たちの身長が160cmからどれだけ離れているか、つまり平均からのバラつきを示すのが「標準偏差」です。
もしクラスの生徒たちの身長がみんな160cmにとても近ければ、バラつきは小さいと言えます。この場合、標準偏差は小さい数値になります。
反対に、生徒の身長が140cmから180cmまで幅広く分布している場合は、ばらつきが大きいと言え、標準偏差は大きな数値になります。
FXなどのデータにこの概念を適用する場合、平均値(=移動平均線)が市場の一般的な価格レベルを示し、標準偏差はその平均値から価格がどれだけ離れるか、つまり価格の変動の激しさや安定性を数値化したものとなります。
価格が平均値から大きく離れるほど、標準偏差は大きくなり、市場の変動が激しいことを示します。
逆に、価格が平均値の近くに集中している場合、市場は比較的安定していると考えられ、標準偏差は小さくなります。
このように、ボリンジャーバンドの±1σ、±2σ、±3σのラインは、市場がどれだけ通常の範囲内で動いているか、または異常な動きをしているかを示します。
市場の価格がこれらのラインの外に出ることは比較的稀で、そのような現象が発生した場合、何らかの特別な事情が市場に影響を与えている可能性があると考えられます。
特に、±2σや±3σのラインを超えると、市場が過熱しているか、あるいは非常に弱い状態にあることを示唆しています。
これらの情報を利用して、トレーダーは買い時や売り時の判断材料とすることができます。
次の画像をご覧ください。
--3σから+3σまでのボリンジャーバンドの正規分布曲線です。
--3σから+3σの範囲内での価格の動きの確率は、±1σの場合は約68.2%、±2σでは約95.4%、±3σの場合約99.7%とされています。
つまり、±3σの中に価格は、99.7%収まることになります。
なんだか、すごいですよね。
標準偏差 | 価格が収まる確率 |
---|---|
-1σ~+1σ | 約68.2% |
-2σ~+2σ | 約95.4% |
-3σ~+3σ | 約99.7% |
このことから、市場の価格変動が、±3σはもちろん、±2σでもほとんどがその範囲内に収まることになります。
ちなみに、標準偏差の具体的な計算方法は以下の通りです。
標準偏差σ=√(n×期間中の価格の2乗の合計-期間中の価格の合計の2乗)÷{n×(n-1)}
(n=期間)
難しいですね・・・
しかし、臆することはありません。
肝心なのは、ボリンジャーバンドの使い方です。
次の画像をご覧ください。
移動平均線から「標準偏差×1倍」の距離にあるラインです。
これは価格が通常含まれる範囲を示し、統計的には移動平均線から約68.3%の確率で価格がこの範囲内に収まることを意味します。
移動平均線から「標準偏差×2倍」の距離にあるラインです。
この範囲はより広く、価格が含まれる確率は約95.4%になります。
つまり、このラインが示す範囲外に価格が動いた場合、非常に珍しい動きと考えられます。
移動平均線から「標準偏差×3倍」の距離にあるラインです。
この範囲はさらに広く、価格が含まれる確率は約99.7%になります。
このラインを超える動きは非常に異例な状況とされ、市場に何らかの異常が起こっている可能性が高いと考えられます。
計算式を直接使うことはありません。
ですが、±1σ、±2σ、±3σラインがどのような意味を持つかを理解してボリンジャーバンドをより効果的に活用しましょう。
開発者が推奨する±2σとは?
ボリンジャーバンドの計算では、価格が±2σの間に約95.4%の確率で収まることが統計的に示されています。
この数値は、指定された期間内の過去の価格データを基に算出されていますが、未来の価格動向を予測するものではない点に注意が必要です。
ボリンジャー氏は、±2σのラインだけで十分とするのは、これにより中期的なトレンドと市場のボラティリティ(価格の変動幅)が効果的に把握できると考えるからです。
ボリンジャーバンドの使用において、細かい数値調整や特定の期間設定に過度に神経質になる必要はありません。
ボリンジャー氏は当初、その著書で、短期の場合は標準偏差±1.9σ、長期の場合は標準偏差±2.1σ」という設定値を推奨していました。
ですがその後は、どの期間であっても±2σの設定を使用することを推奨しており、このシンプルな設定が多くの市場状況において有効であると説明しています。
この記事でも、標準偏差は原則として±2σのみを使用することとします(後述のとおり一部例外があります)。
ボリンジャーバンドの基本的な見方
今まで解説してきたように、ボリンジャーバンドは標準偏差を利用して相場を分析するテクニカル指標です。
この標準偏差の形状によって、現在の相場状況をひと目で判断することができます。
おそらく、ボリンジャーバンドを利用する最もな理由がこれにあたります。
それでは、ボリンジャーバンドの見方について解説していきますね。
スクイーズ
スクイーズとは、ボリンジャーバンドの帯が狭まっていくことを指し、ボラティリティ(価格の変動幅)が低下していることを示します。
この状態は、市場が方向感を欠き、価格が限定された範囲内で上下に動くレンジ相場が形成されていることを意味します。
スクイーズが発生しているときは、大きな価格変動を期待するのは難しく、積極的な取引で大きな利益を得るのは難しいです。
エクスパンション
エクスパンションは、ボリンジャーバンドの帯が広がっていくことを指します。
これはボラティリティが増加していることを意味し、一方向に強いトレンドが発生する可能性が高い時期です。
通常、エクスパンションは価格が新しい高値または低値へと動き出すトレンドの発生時に見られます。
この期間中には、ローソク足がボリンジャーバンドの±2σラインを超えることもあり、「ボラティリティ・ブレイクアウト」と呼ばれる現象が発生することがあります。
大きな利益のチャンスになる可能性を示唆します。
バンドウォーク
バンドウォークは、価格がボリンジャーバンドの±2σラインに沿って一方向に強く動いている状態を表します。
この現象は、トレンドが非常に強いときに見られ、価格が上昇トレンドの場合は+2σライン、下降トレンドの場合は-2σラインに沿ってローソク足が連続して配置されることが特徴です。
バンドウォークが発生している時は、トレンドの継続性が高いため、トレンド順張りのトレードで高い成功率が期待できます。
ポージ
ボージとは、ボリンジャーバンドのバンド幅が最も大きい場所のことです。
ボリンジャーバンドが、価格の変動の大きさである標準偏差を表していることを考えると、ボージは、「設定期間の中で最も値動きが大きくなった」場所を示しています。
バンドの幅は、トレンドが発生するとスクイーズから拡大しエクスパンションの状態になります。
それがボージで最大を迎え、そのトレンドが終了すると収縮しスクイーズ状態に戻るというサイクルを繰り返します。
つまり、ボージの発生は、トレンドが終了し調整が始まるシグナルになります。
なお、実際にバンド幅を正確に把握することは困難です。
その際、「BandWidth」(バンドワイズ)というインジケーターは便利です。
上のチャートの中のサブチャートで表示しているのが「BandWidth」です。
ボリンジャーバンドでマルチタイムフレーム分析をする方法
マルチタイムフレーム分析は言うまでもなく、必須分析です。
ボリンジャーバンドをフルに使いこなすトレーダーは、上位足のボリンジャーバンドも同時に表示させいる方もいらっしゃいます。
このセクションでは、ボリンジャーバンドでマルチタイムフレーム分析をするための設定方法や問題点についてご紹介しましょう。
マルチタイムフレーム(MTF)分析とは
そもそもマルチタイムフレーム(MTF)分析とは、異なる時間枠を同時に分析する手法です。
マルチタイムフレーム分析により、短期的なトレンドと長期的なトレンドの両方を捉え、それぞれの時間枠で得られる情報を組み合わせることで、総合的な判断で精度の高い分析ができます。
ボリンジャーバンドを使ったMTF分析
それでは、ボリンジャーバンドを利用したMTF分析の一例を解説しますね。
時間足はトレードスタイルによって各々変更してください。
たとえば、15分足と4時間足のボリンジャーバンドを組み合わせることで、短期と長期の市場動向を捉えることができます。
このアプローチには主に2つの方法があります。
- 期間設定の調整で上位足のボリンジャーバンドを表示
- インジケーターの使用
- チャートのマルチ表示
それでは、ひとつずつ解説していきますね。
方法1: 期間設定の調整で上位足のボリンジャーバンドを表示
この方法では、1つのチャート上で異なる時間足のボリンジャーバンドを表示します。
例えば、15分足のチャートに4時間足のボリンジャーバンドを適用する場合を考えてみましょう。
ボリンジャーバンドはセンターラインを中心に構成されるわけですが、そのセンターラインは一般に20EMAです。
4時間は15分の16倍です。
したがって、15分足チャートのボリンジャーバンドに4時間足の20EMA相当のEMAを表示するには、センターラインの期間320(期間20×16)に設定することになります。
この手法の利点は、一つの画面で複数の時間枠の動きを確認できることです。
しかし、欠点もあります。
一つのメインチャートに複数のインジケーターを重ねて表示するので、画面がゴチャつき見にくいと感じる方もいらっしゃいます。
異なる時間枠のデータを単純に数倍にすることで得られるラインは、完全に同じではないため、微妙な違いが生じることを理解しておく必要があります。
ボリンジャーバンドは各時間足の終値を使って値を算出し、ラインがプロットされます。
先の例のように15分足チャートに4時間足の期間20のボリンジャーバンドを表示する際に単純に16倍すればいいというわけではありません。
単純に16倍したものは15分足の320期間であり、4時間の20期間とは、形成する線の動向がやや異なります。
完全一致はしませんが、上位足は大局的に確認できればよいですし、ほぼ同期しているので、さほど気にすることはないです。
方法2:インジケーターの使用
完全一致がよいと思われる方は、ボリンジャーバンドのMTF分析に対応したカスタムインジケーターも多数が存在しています。
MT4/MT5用とTrading View用のカスタムインジケーター(スクリプト)を紹介しておきます。
Trading View:「Bollinger Bands MTF」 (KivancOzbilgic)
MT4/MT5:「3TFBands」
方法3: チャートのマルチ表示
もう一つの方法は、各時間足に対して固定された期間設定のボリンジャーバンドを使用し、それぞれのチャートを別々に表示することです。
このアプローチでは、15分足と4時間足のチャートを並べて、単純にそれぞれに期間20のボリンジャーバンドを表示します。
この方法の利点は、それぞれの時間枠に最適化された正確なデータを得られることです。
複数のチャートを同時に監視する必要があるので、画面が大きい方がよいです。
スマートフォン、画面の小さいノートPCなどでは見づらいというデメリットが生じます。
また、複数のチャートを使用することに伴い、当然のことながら双方の比較・確認には目線の移動が必要ですので目が疲れます。
なにより、各時間足を分析して整理するスキルが必要です。
これらのメリットデメリットを理解して、自分に合ったMTF分析の表示のしかたを選びましょう。
ボリンジャーバンドと相性の良いインジケーター5選
ボリンジャーバンドと相性の良いインジケーターにはいくつかあります。
ボリンジャーバンドは価格の標準偏差を基にしてトレンドやボラティリティを判断するのに役立ちますが、他のインジケーターと組み合わせることでより効果的なトレード戦略を構築できます。
それでは、各インジケーターの利用法の概略を説明します。
1. RSI(相対力指数)
後術ボリンジャーバンドを利用した手法で解説しますが、RSIとボリンジャーバンドの組み合わせは定番中の定番です。
RSIは価格の強さと速度を測定し、買われ過ぎまたは売られ過ぎの状況を識別するのに役立ちます。
ボリンジャーバンドが価格の極端な拡張を示した時、RSIを使ってこれが一時的な過熱か、または持続可能なトレンドかを判断することができます。
ダイバージェンス・ヒドゥンダイバージェンスの確認にも最適です。
2. MACD(移動平均収束拡散指標)
MACDは短期の移動平均と長期の移動平均の差を利用してトレンドの強さ、方向、持続性、および転換点を示します。
ボリンジャーバンドと一緒に使うことで、トレンドの変化をより確実に捉えることができます。
買いの場合MACDラインが、①0ラインより上にあり、②シグナルラインとの間でゴールデンクロスが出現することなどを買いエントリーのシグナルと見ます。
3. ストキャスティクス
ストキャスティクスは価格の位置を直近の高値と低値の範囲内で評価します。
これにより、トレンドの転換点を見つけやすくなります。
ボリンジャーバンドは、基本的にトレンド系インジケーターです。
ボリンジャーバンドでトレンド把握をして、ストキャスティクスで反転のタイミングをとらえる。
この組み合わせが非常に相性が良いです。
4. DMI(方向性指数)
DMIは、上の3つに比べると認知度が高くはないので少し詳しめに説明しておきますね。
以下のようにボリンジャーバンドと組み合わせることで効果的な戦略を構築できます。
【トレンドの確認】
DMIの中の指標の1つであるADXは、トレンドの強さを測定するのに使用されます。
その値が高いほどトレンドが強いことを示します。
ADXが25以上、特に40以上であれば、市場は強いトレンドを持っていると見なされます。
この情報をボリンジャーバンドと組み合わせることで、トレンドが強いときにバンドのブレイクアウトが本物かどうかを判断しやすくなります。
たとえば、ボリンジャーバンドの外側への価格の突破があった場合、ADXが強いトレンドを示していれば、そのブレイクアウトが持続可能な動きである可能性が高いです。
【トレンドの強さと方向】
ADXの主要素である指標のDI+とDI-はトレンドの方向を示します。
DI+がDI-を上回ると、上昇トレンドが強まっていることを示し、逆もまた真です。
これをボリンジャーバンドの動きと組み合わせることで、特定の方向への価格の動きをより明確に把握できます。
5移動平均線(MovingAverage)
ボリンジャーバンドに中期移動平均線や長期移動平均線を表示させることで、マルチタイムフレーム分析を行うことができます。
上のチャートには、期間200を表示しています。
これにより大きなトレンドの方向性を確認し流れに逆らわないエントリーを確認するのに利用できます。
また、サポートとレジスタンスのレベルを長期移動平均線で明確に把握し、エントリーまたはエグジットのポイントを特定するのに役立ちます。
それぞれのインジケーターがどのように機能するかを理解し、自分のトレードスタイルに合わせて適切に組み合わせることが重要です。
ボリンジャーバンドの高度な活用法
このセクションではボリンジャーバンドの具体的な活用法として、5つの手法を解説します。
そのなかでもバンドウォーク戦略については詳しく解説します。
なお、説明では、すべて上昇トレンドを狙った買いエントリーを行うこと前提としています。
ボリンジャーバンドを活用した手法5選
①±1σを使った順張りエントリー戦略
ひとつ目は、ボリンジャーバンドの±1σバンドを活用した順張りのスキャルピングトレード手法です。
上昇トレンドの押し目買いをボリンジャーバンドだけで判断する手法になります。
それでは、トレードルールとともに以下のチャートをご覧ください。
[環境]
価格がセンターラインを上回っている場合には上昇トレンド中であること
[エントリータイミング]
+1σバンドを超えた瞬間に買いエントリー
(例:上のチャートの2つの赤い矢印は、直前でいったん押しをつけているのでエントリーしやすいポイントです)
+1σバンドを超えることは、相場のボラティリティが増している証拠で、さらに価格の上昇が期待できるからです。
本来は待つべきローソク足の確定をこの手法で待たないのが特徴です。
なぜなら、この手法が超短期の利益獲得を目指す手法だからです。
[利益確定のタイミング](チャートの青い矢印)
ポジションの決済は、価格が+2σまたは+3σバンドに触れた時に行います。
これにより、利益を最大化しつつ、市場の急変によるリスクを避けることができます。
[損切りルール]
損切りのタイミングは、買いポジションの場合は価格がセンターラインを下回った時です。
②エクスパンションを利用し、バンドウォークを狙ったエントリー戦略
2つ目は、ボリンジャーバンドのエクスパンションを利用した順張りエントリー戦略です。
この手法は、エントリーの機会は多くはありませんが、トレンドが確立した時に大きな利益を得る可能性があります。
ボリンジャーバンドを使用する順張り手法の中で王道的な地位を持つ手法です。
それでは、トレードルールとともに、以下のチャートをご覧ください。
[環境]
ボリンジャーバンドがスクイーズ状態で、価格が収縮していること。
[エントリータイミング]
エクスパンションが発生したらエントリーします。
スクイーズ状態からエクスパンションが発生すると、バンドが広がり始め、市場のボラティリティが増加していることを示します。
この時、相場価格が+2σを超える場合、それは強いトレンドを示しています。
このエクスパンション発生のタイミングが、順張りの買いエントリー(上のチャートの赤い矢印)を行うタイミングです。
特に、価格がこのレベルを超えてバンドウォーク(バンドに沿って価格が進む現象)を開始すると、大きな利益を期待できる可能性が高まります。
この手法は、バンドウォークで価格がぐんぐん伸びていくことを期待したものです。
なお、手法⑤と組み合わせると、より精密なエントリーが可能になります。
[利益確定のタイミング]
利益確定は、ボリンジャーバンド収束を示唆するシグナルを示した時を目安に行います。
この場合は、-2σが閉じ始めたタイミングがボリンジャーバンドの収縮です。
または、+1σを下抜けした場合に決済します。
[損切りルール]
損切りは、エクスパンション後に価格がセンターラインや反対方向の-1σに接触した場合に行います。
これは、トレンドが弱まりつつあるか、または方向転換する可能性があるためです。
エクスパンションを利用した手法は、魅力的な手法ですが、エクスパンションの判断を経てバンドウォークを狙う際には、注意するべき点や具体的な判断方法があります。
この点については、後に解説をしています。
③ボリンジャーバンドとRSIを用いた逆張りエントリー戦略
3つ目は、ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせた逆張りのエントリー戦略について解説します。
ボリンジャーバンドとRSIの組み合わせは、定番中の定番ですね。
相場の過熱状態を把握し、逆張りエントリーのタイミングを見極めるのに非常に有効です。
それでは、トレードルールとともに、以下のチャートをご覧ください。
[エントリー条件]
1.ボリンジャーバンドで-2σ
買いエントリーの第1の条件は、価格が-2σ近くにあることです。
これは価格が過度に下落した可能性を示しています。
2. RSIで売られすぎ状態
第2条件は、RSIが30%以下か、それに近いこと。
これは市場が売られ過ぎの状態にあると判断され、価格反転の可能性が高い状況です。
3.価格とRSIの間で強気のダイバージェンスが発生していること
最後の条件の「強気のダイバージェンス」とは、価格が新たな低点(安値)を切り下げているにも関わらず、オシレーターは低点を切り上げている状況を指します。
この現象は、下降トレンドが弱まりつつあり、価格の反転や上昇が近いことを示唆しています。相場の売り圧力が減少しているため、買いのチャンスと見なされることが多いです。
これらの条件を両方満たした場合、強力な買いシグナルとみなし、「買いエントリー」を行います(赤い矢印)。
[利益確定と損切り]
利益確定は、ボリンジャーバンド+2σが目安です(青い矢印)。
損切りラインは-2σのやや下に置きます。
この戦略の最大の利点は、明確な数値指標に基づくエントリーポイントとエグジットポイントがわかりやすいことです。
そのおかげでトレーダーは機械的な判断を下すことが可能になります。
また、ボリンジャーバンドとダイバージェンス判断も加味したRSIの組み合わせにより、市場の過熱や過冷をより正確に捉えることができます。
[注意点]
この手法は、市場の極端な状態を利用して利益を狙う非常に効果的な手法ですが、逆張りであることからも注意するべき点があります。
1.相場環境の変化
市場が非常に強い下降トレンドを示している場合、逆張り戦略を用いると「だまし」のリスクが高まります。
これは、強いトレンドが予想よりも長く持続し、その結果、逆方向へのポジションが損切りになる可能性があるということです。
そのためにダイバージェンスを条件としていますが、さらに追加的に反転の根拠(レジサポラインなど)が必要です。
2. ダイバージェンスの判断
ダイバージェンスは、市場の転換点を見極める際に非常に有効ですが、ダイバージェンスの発生を確認するためには、トレーダーにある程度の経験と分析力が求められます。
まずは、ただしくダイバージェンスを確認できるように練習しておきましょう。
3. シグナルの確認
1でも触れましたが、単一の指標に依存することなく、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と組み合わせて利用することで、エントリーの精度を向上させることができます。
④ボリンジャーバンドを使用したダブルボトム戦略
4つ目はボリンジャーバンドをダブルボトムと併用した戦略です。
この手法のベースは開発者ボリンジャー氏も推奨されているもので、多くのトレーダーにとって信頼性の高い戦略とされています。
それでは、トレードルールとともに以下のチャートをご覧ください。
[ダブルボトムの特徴]
ダブルボトムは、価格が明確な2つの安値を形成し、その間に一時的な反発があるチャートパターンです。
この戦略でのエントリー条件は以下の通りです。
1. 最初の安値(上のチャートの①)がボリンジャーバンドの下限バンド(-2σ)の近辺で形成されること。
2. 価格が一度センターラインまで戻り(上のチャートの②)、その後再び安値(上のチャートの③)を更新しますが、この2回目の安値は最初の安値と同等か、やや低くなります。
しかし、これもボリンジャーバンドの下限バンド(-2σ)の近辺で形成される必要があります。
なお、この②で、ダブルボトムのネックラインの起点となるポイントが形成されたことになります。
[エントリーポイント]
ネックラインをブレイクしたらエントリーします。(上のチャートの赤い矢印)
ただし、一般的にダブルボトムではその完成直後のロールリバーサルを待ってからのエントリーが推奨されています。
もちろんここでも、それに従う方が安全です(上のチャートの緑の矢印)。
[利益確定と損切り]
・利益確定のタイミング
ダブルボトムの二番目の安値とネックラインの幅が1:1の価格を利益確定の目標として設定します。
・損切りのルール
損切りラインは、ダブルボトムの二番目の安値の少し下に設定します。
これは、パターンが無効となるポイントであり、価格がこのレベルを下回ると、ダブルボトムのパターンが否定されたと見なされるためです。
⑤ボリンジャーバンドとパーフェクトオーダーを用いた手法
最後は、移動平均線を利用した手法です。
パーフェクトオーダーでトレンド確認し、+2σ抜けのブレイクアウトでトレンドが継続していると判断し、買いエントリーする手法です。
これもバンドウォークを見込んで大きな上昇を狙う手法です。
手法②で説明したスクイーズ+エクスパンションを加味すれば、いっそう精密なエントリーが期待できます(半面、エントリーチャンスが減少してしまいます)。
それでは、トレードルールとともに以下のチャートをご覧ください。
[エントリー条件]
①
パーフェクトオーダーの状態であることを確認します。
パーフェクトオーダーとは、移動平均線が上から短期(=ボリンジャーバンドのセンターライン)・中期・長期移動平均線の順で並んでいることを指し、安定した上昇トレンド中であることを示します。
チャートでは、期間はそれぞれ20・50・200の単純移動平均線(SMA)を使用していますが、ご自分の使い慣れた期間で問題ありません。
②
ローソク足が+2σラインにタッチまたは上抜けしながら、2本連続で+2σラインにとどまる状態であることを確認(上のチャートの黒い四角で囲まれた拡大部)。
③
上記の二つの条件が揃ったら、上昇トレンドの継続の可能性が高まったと判断し、買いエントリーを行います(上のチャートの赤い矢印)。
[利益確定のタイミング]
予想の方向へレートが動いた場合は、パーフェクトオーダー形成中は決済しません。
パーフェクトオーダーの形がなくなった時点で、利益確定を行います(上のチャートの青い矢印)。
ただ、MAは遅れて反応するため、パーフェクトオーダーが崩れるときはすでに大きく価格は反転しています。
よって、サポートレジスタンスやダイバージェンス、各種ターゲットで『分割決済』することが一般的です。
[損切りのルール]
損切りラインは20SMAの少し下に設定します。
バンドウォーク戦略の弱点と対策
前の項目の2番目及び5番目に解説した手法では、バンドウォーク戦略を取り入れています。
ここでは、そのバンドウォーク戦略の弱点と対策を説明します。
バンドウォーク戦略の弱点
最も気を付けなければいけない点は、バンドウォークの判断です。
ボリンジャーバンドを用いたバンドウォークは、基本的に遅行指標です。
遅行指標は過去のデータを基にしているため、基本的に遅れて反応します。
リアルタイムでは、「バンドウォークが発生したかも…」と判断しても、結果的に、バンドウォークではないことは多々あります。
例えば、リアルタイムでボリンジャーバンドが拡大し、あるいは、いったんバンドウォークを始めようとするかのような動きを見せます。
これは、強いトレンドの発生を期待させる動きです。
しかし、その後、ローソク足が閉じたら、バンドウォークには発展しない場合も多々あります。
この『ダマシ』がバンドウォーク戦略の弱点です。
このような状況は、リアルタイムの相場分析において頻繁に発生し、上のチャートでも赤マル部で確認できます。
「ダマシ」を回避する方法
それでは、このダマシを回避するにはどういった対策が適切でしょうか?
はい!あります。
しかも、かなり効果的な『だまし回避方法』が。
大きく2点あります。
- サポート・レジスタンスのブレイクを待つ
- 上位足のトレンドに沿ったバンドウォークのみ採用する
バンドウォークと上記を方法を組み合わせることで、『だましを回避』するだけでなく、大きな値動きをとるバンドウォークを見つけることができるようになります。
詳しくは、以下の記事や動画で分かりやすく解説しています。
新しいトレード練習ツールの紹介
ForexTester6は、外国為替市場での通貨取引をシミュレートし、トレーダーが市場のパターンやルールを徹底的に分析し、トレードの収益性について学ぶためのソフトウェアです。
このツールは、マニュアル取引のための戦略やプランを作成し、テストし、改良することができるほか、自動売買システムの開発にも利用可能です。
本気でFXに取り組まれておられるであれば、全員購入している優れた検証ツールです。
もちろん、わたしも愛用しています。
トレードの練習ツールとしての有用性については、ForexTester6は以下のような特徴を持っています。
- 実際の市場データを使用したシミュレーション
過去の実際の市場データを用いてトレードをシミュレートすることで、リアルな市場環境でのトレーニングが可能です。 - 時間の圧縮
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異なるトレード戦略やアイデアを試し、その効果を検証することができます。 - エントリーとエグジットの練習
実際のチャート上でエントリーとエグジットのポイントを見つけ、練習することができます。 - リスクフリー
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これらの特徴により、ForexTester6はトレーダーがトレード技術を磨き、市場分析能力を高めるための非常に有効なツールとなっています。
また、ForexTester6は買い切り型であり、一度購入すれば長期間にわたって使用することができるため、コストパフォーマンスも優れています。
さらに詳しい情報や購入方法については、公式サイトをご覧ください。
まとめ
ボリンジャーバンドは1つのインジケーターで3つの要素を同時に分析できました。
『ボラティリティ』『トレンド』『標準偏差』どれをとってもトレードするうえで重要な要素になっています。
この記事で解説してきたように、ボリンジャーバンドは、適切な設定と使用法を理解することで、多くのトレーダーにとって市場の動きを正確に読み取る強力なツールになっています。
是非、他の記事や動画と合わせて学んで頂きボリンジャーバンドを強い武器にしてください。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。