
「DMIの3本の線は、どこから見ればいいの?」
「ADXが上がっているのに価格は下落している。これはどういうこと?」
DMIは、相場の方向とトレンドの強さを分けて読むと理解しやすくなります。
方向は+DIと-DIの位置関係、強さはADXで確認します。
ここでは、DMIの見方・計算式・期間14の設定を、チャート例と表で解説します。
クロスだけで飛び乗らず、押し目や戻りを待つ考え方、見送った方がよい場面まで確認していきましょう。
DMIとは?まずは3本のラインの役割を知ろう
DMI(Directional Movement Index)は、価格の方向性を調べる指標です。
この記事では、+DI・-DI・ADXの3本をまとめてDMIとして解説します。

3本のラインを一度に追うより、役割を分けて見るのがポイントです。
| ライン | 何を見る? | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| +DI | 上方向の値動きの強さを、-DIと比較 | 上がっただけで買い確定ではない |
| -DI | 下方向の値動きの強さを、+DIと比較 | 価格が下がるときに、-DIは上がることがある |
| ADX | 方向にかかわらずトレンドの強さ | ADX上昇=価格上昇ではない |
開発者と基本的な考え方
DMIはJ. Welles Wilder(ワイルダー)氏が開発し、1978年の著書で紹介した指標です。
隣り合うローソク足の高値・安値の変化をもとに、上方向と下方向のどちらの動きが優勢かを計算します。
知名度や開発者の評価だけで使うのではなく、実際のチャートと照らし合わせて特徴を確かめましょう。
参考:TradingView公式「Directional Movement(DMI)」。
DMIの見方|+DI・-DIとADXを分けて読む

以下の画像では、+DIを緑、-DIを赤、ADXを青で表示しています。
色はツールや設定で変わるため、ご自身の画面ではライン名も確認してください。
+DIの見方|上方向の動きを確認する

+DIは、上方向の値動きを値幅に対する比率として表すラインです。
+DIが-DIより上にあるときは、計算対象の期間では上方向の動きが優勢と読みます。
ただし、+DIが上にあるだけでは、そのトレンドが十分に強いかは分かりません。
「+DIが40以上なら買い」「20以下なら上昇しない」と一律に決めず、-DI・ADX・価格の動きを一緒に確認しましょう。
-DIの見方|下方向の動きを確認する

-DIは、下方向の値動きを値幅に対する比率として表すラインです。
-DIが+DIより上にあるときは、下方向の動きが優勢と読みます。
「マイナス」という名前でも、ライン自体は負の数になるという意味ではありません。
価格が下落する局面で-DIが上昇する点に注意してください。
ADXの見方|下落トレンドでも上昇する

ADXはトレンドの強さを示し、上昇・下降の方向は示しません。
画像のように、強い上昇トレンドでも強い下降トレンドでもADXが上がることがあります。
20未満はトレンドが弱い状態、25超は強い状態を考える目安として使われますが、固定の成立条件ではありません。
20~25付近は判断を急がず、価格がレンジを抜けたのか、高値・安値を更新しているのかを見ましょう。
ADXが下がっても、すぐに反対方向へ転換するとは限りません。
DMIのクロスを売買判断に使うときの確認順序
見る順序は、価格の形 → +DIと-DI → ADX → エントリー条件です。
指標だけを見て、価格が抵抗帯のすぐ手前にあることを見落とさないようにしましょう。
① +DIと-DIの位置関係で方向を確認する
上方向の動きが優勢な例

+DIが-DIより上に位置している場面です。
価格の高値・安値も切り上がっているか確認すると、指標とチャートの関係を整理できます。
下方向の動きが優勢な例

-DIが+DIより上に位置している場面です。
価格が高値・安値を切り下げているか、下に支持帯が近くないかも確認します。
クロスは転換候補。確定サインではない

+DIが-DIを上抜けると上方向、-DIが+DIを上抜けると下方向の動きが優勢に変わったと読めます。
レンジではクロスが何度も発生するため、交差しただけでトレンド転換を確定しないでください。
② ADXで強さを確認する

ADXが上向くと、計算上のトレンドの強さが増していると読みます。
高い数値になった時点では、価格がすでに大きく動いている場合もあります。
なお、ADXは0~100の範囲の指標で、60が上限ではありません。
ADXとDIが交差している図の読み方

上の図は、+DIが-DIを上抜けた後に、ADXが上昇している例です。
図中の「ADXが-DIを上抜け」は、この場面で起きた現象として見てください。
ADXとDIの交差そのものが、価格の上昇・下降を決めるわけではありません。

こちらは下落方向の例です。
方向は-DIと+DIの位置関係と価格から、強さはADXから確認します。
画像のような動きが、すべての相場で同じ順番に起こるわけではありません。
③ 価格と指標の動きが合わないときは?

価格が高値を更新しているのに+DIやADXが前の山を超えない場合は、勢いの変化を点検するきっかけになります。
下降局面では-DIと価格の安値更新を照らし合わせます。
ただし、ADXは方向を持たないため、価格との見た目の逆行だけで買い・売りを判断しないでください。
トレンドが続いたまま指標が下がることもあり、逆行は反転の保証にはなりません。
保有中なら、事前に決めた決済条件や損切り位置を再確認する場面として使います。
DMIの計算方法|DM・TR・DI・DX・ADXの順で理解する
計算式を丸暗記する必要はありません。
「高値・安値の変化を測る → 値幅で調整する → 方向の偏りをならす」という流れを押さえましょう。

【上の計算図の訂正】青字の「+DX・-DX」は「+DI・-DI」と読み替えてください。
また、ピンク色のDXの分子には絶対値が必要です。
図の「N日間の合計・平均」は簡略表記で、ワイルダー方式では平滑化して計算します。
正確な計算手順は、以下の表を参照してください。
| 手順 | 計算・条件 |
|---|---|
| ① 上下の変化 | U=今回の高値-前回の高値 D=前回の安値-今回の安値 |
| ② +DM・-DM | U>DかつU>0なら+DM=U、それ以外は0 D>UかつD>0なら-DM=D、それ以外は0 U=Dなら両方0 |
| ③ TR(真の値幅) | 今回の高値-安値、|今回の高値-前回終値|、|今回の安値-前回終値|の最大値 |
| ④ +DI・-DI | +DI=100×平滑化した+DM÷平滑化したTR -DI=100×平滑化した-DM÷平滑化したTR |
| ⑤ DX | 100×|+DI-(-DI)|÷(+DI+(-DI)) |
| ⑥ ADX | DXをワイルダー方式で平滑化する |
「| |」は絶対値で、マイナスの差も正の大きさとして扱う記号です。
ワイルダー方式の平均は、初期値にN本の単純平均を使い、その後は「(前回の平均×(N-1)+今回の値)÷N」で更新するのが基本です。
日足なら1期間は1日、1時間足なら1期間は1本の1時間足です。
例として+DI=30、-DI=10なら、DX=100×20÷40=50になります。
これは計算を理解するための数値例で、実際の検証結果ではありません。
ツールによって平滑化や初期値、ゼロ除算時の処理が異なることがあるため、同じ期間でも完全に同じ表示になるとは限りません。
参考:MetaQuotes公式「ADX Wilder」/Fidelity「ATR・TRの計算」。
DMIの使い方|押し目買い・戻り売りをチャートで確認
ここからは、上位足で方向を確認してから、下位足でタイミングを探す流れを見ていきます。
掲載チャートは考え方を説明する過去の例で、この条件の勝率や収益性を保証するものではありません。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 方向 | 価格の高値・安値と+DI・-DIの位置関係が合っているか |
| 強さ | ADXの水準と推移。高いという理由だけで追いかけない |
| 場所 | 押し目・戻りの候補、支持帯・抵抗帯までの距離 |
| 損失への備え | 見立てが崩れる条件と損切り位置を先に決める |
| 見送り | ラインが頻繁に交差する、値幅が乏しい、抵抗帯まで近い場面 |
ロング(買い)|上位足の方向と下位足の押し目

まず、1時間足や4時間足などの上位足で、上方向の流れを確認します。
図のピンクの縦線付近では+DIが-DIを上抜け、その後ADXが上がっています。
指標だけでなく、価格が上昇の形を作っているかを合わせて見ましょう。

次に、5分足や15分足などの下位足で、押し目からの動きを確認します。
小さな高値を上抜くなど、価格が再び上方向へ動く条件を決めておくと、待つ場所が明確になります。
ローソク足の反転サインが出ても、すぐ上に抵抗帯があれば見送る判断も必要です。
サインの形は、ローソク足・プライスアクションのシグナル一覧で確認できます。
ショート(売り)|上位足の方向と下位足の戻り

売りの場合は、上位足で-DIが+DIより上にあり、価格も下降の形になっているか確認します。
ADXの上昇は、下落方向の強さを点検する材料です。

下位足では戻りを待ち、小さな安値を下抜くなど、下方向への再開を確認します。
これは上位足の流れに沿う戻り売りの考え方です。
単に価格が上がったから逆張りで売る、という判断とは分けてください。
買い・売りとも、損切りまでの距離に応じた取引数量を決め、条件がそろわなければ見送ります。
RSIとの組み合わせ|反転を決めつけない

RSIは、一定期間の上昇と下落のバランスを見る指標です。
一般に70付近以上を買われすぎ、30付近以下を売られすぎの目安にしますが、その水準に達しただけで反転するとは限りません。
DMIで方向と強さ、RSIで値動きの偏りを確認するときも、両方が同じ価格データから計算される点を忘れないようにしましょう。

図は、RSIとDMIを組み合わせて反転候補を探す例です。
RSIが30以下でDMIが買い方向に交差しても、下降トレンドが終わったとは限りません。
上位足がまだ強い下降なら、買いはその流れに逆らう判断になります。
価格の安値更新が止まったか、抵抗帯を越えたかなど、チャート側の確認を優先してください。
詳しい役割は、RSIの使い方と設定の解説も参考にしてください。
DMIの設定方法|TradingView・MT4・MT5
TradingViewで3本のラインを表示する

チャート上部の「インジケーター」から「DMI」を検索し、標準の方向性指数を追加します。
3本まとめて見たいときはDMIを選びます。
ADX単独の指標では、+DI・-DIが表示されないためです。
DMIにはDIの期間とADXの平滑化期間があり、TradingView公式説明ではどちらも初期値14です。
まずは14を基準にし、変更する場合はどちらの期間を変えたか記録しましょう。
MT4・MT5で表示する

PC版では「挿入」→「インディケータ」→「トレンド」から「Average Directional Movement Index」を選びます。
表示後に期間とラインの色を確認してください。
MT5には「Average Directional Movement Index Wilder」もあります。
比較するときは、期間だけでなく指標名や計算方式もそろえることが大切です。
掲載画像は従来の画面例です。
画面名や配置はバージョンと言語で異なる場合があります。
DMI・ADX・ATR・ADXRの違い
似た名前の指標でも、測っているものは異なります。
| 指標 | 主に測るもの | 単独では分からないこと |
|---|---|---|
| +DI・-DI | 上方向と下方向の動きの優勢さ | 今から入れば利益になるか |
| ADX | トレンドの強さ | 上昇か下降か |
| ATR | 価格の変動幅 | 方向・買われすぎ・売られすぎ |
| ADXR | ADXをさらに滑らかにした強さ | 上昇か下降か |
ATR|値幅を測る指標

ATRは、窓開けも考慮した値幅(TR)を平均した指標です。
ATRが上がれば値幅が大きく、下がれば小さくなっていると読みます。
ATRは買われすぎ・売られすぎを示す指標ではありません。
大きな下落でも上昇でもATRは上がるため、上昇トレンドの始まりや終わりを直接示すものでもありません。
エントリーの方向は価格やDMIで確認し、ATRは値幅に対して損切り位置が近すぎないかなどを点検する補助に使います。
ADXR|方向ではなく、ならしたトレンドの強さ

ADXRは、現在のADXと一定本数前のADXを平均する指標です。
例えば14期間なら「現在のADXと14本前のADXの平均」という計算が使われます。
ADXより滑らかになる一方、変化への反応が遅くなる特徴があります。
ADXRが上向きだから買い、下向きだから売り、とは判断できません。
ADXとADXRのクロスも、価格の上昇・下降を直接示すサインではありません。
参考:Fidelity「Real-time Analytics Methodology」ADXRの説明(PDF)。
DMIのだましを減らすために確認したいこと
レンジで交差が続くときは、無理に入らない

画像のように+DIと-DIが何度も交差する場面では、方向が定まりにくくなっています。
ADXが低いことだけでレンジと断定せず、価格が同じ範囲を往復しているかも確認しましょう。
ADXを見れば、すべてのだましを防げるわけではありません。
条件がそろわないときは、別の指標を増やして無理に入るより、見送る選択も大切です。
期間14と9の違い|最強の設定値を探さない
| 期間の考え方 | 特徴 | 確認すること |
|---|---|---|
| 14を基準にする | 標準的な設定として比較を始めやすい | 自分の時間足と通貨ペアでどう反応するか |
| 9など短くする | 一般に変化へ敏感になり、細かい動きも拾いやすい | 早くなる分、不要な交差が増えていないか |
| 長くする | 一般に細かい変化をならしやすい | 確認が遅くなり、入る場所が遠くなっていないか |
この表は期間変更の一般的な傾向で、9と14の成績を比較した検証結果ではありません。
RSIが9だからDMIも9にする必要はなく、それぞれの役割に合わせて考えます。
変更を試すなら、同じ通貨ペア・時間足・期間で、成功した場面だけでなく、だましと見送りも記録しましょう。
未確定の足と、線の角度に注意する
形成中のローソク足では値が変わるため、途中で見えたクロスが足の確定時には消えることがあります。
検証するときは、足の確定を待つのか、途中で判断するのかを統一してください。
また、線の見た目の角度は表示倍率や縦軸で変わります。
角度が急だから強いと決めず、数値の推移と価格の高値・安値を確認しましょう。
DMIについてよくある質問
ADXが下がったら売ればいいですか?
いいえ。
ADX低下は強さの低下を示すもので、売り方向を意味しません。
方向は+DI・-DIと価格で確認します。
DMIの計算で「14」は14日ですか?
日足なら14本の日足、1時間足なら14本の1時間足です。
さらに平滑化するため、表示値にはそれ以前のデータの影響も残ります。
DMIだけでエントリーできますか?
クロスだけでは、抵抗帯までの距離や損失の大きさが分かりません。
価格の形・入る場所・損切り条件と組み合わせて、使い方を検証しましょう。
DMIが分かったら、次に学びたいこと
DMIを読む基本は、方向と強さを分けることです。
そして、指標のサインを見つけた後に「どこで入るか」「どこなら見送るか」を価格から考えることが重要です。
まずは、高値・安値の決め方と、押し安値・戻り高値の見つけ方を確認してみてください。
実際の判断の組み立て方は、エイクのリアルトレード事例でも紹介しています。




















