- 安全にナンピンする方法を知りたい
- ナンピン・ピラミッディング・マーチンゲールの違いを知りたい
- ナンピンの計算ツールを手に入れたい
- ナンピンの資金管理を習得したい
あなたはFXで利益を最大化する方法を探していませんか?
まさに、ナンピン戦略はその答えかもしれません。
しかし、ただ闇雲にポジションを追加するだけではなく、賢い方法でナンピンを行うことが重要です。
平均取得価格を下げるこの手法は、含み益がマイナスになった時に特に有効です。
しかし、リスク管理と市場分析は必須です。
では、どのようにしてナンピンを効果的に実施し、利益を最大化することができるのでしょうか?
この記事では、ナンピン計算の完全な手順を解説しています。
投資手法を通じて資金管理を最適化し、損失回避しつつ長期投資の利益を高める方法をご紹介します。
さらに、
- ナンピンの基本と歴史
- ナンピンとピラミッディング・マーチンゲールとの違い
- ナンピンの計算方法
- ナンピンの自動計算ツールの紹介
- 適切なタイミングでナンピンする方法
- 安全にナンピン戦略を運用する方法
ナンピンを習得することで、損切り貧乏から脱却することができます。
それどころか、イッキに自己資金が増えるきっかけになるかもしれません。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。
目次
ナンピンを分かりやすく解説!ピラミッディングとマーチンゲールとの違い
まずはじめに、ナンピンとそれに類似する手法の基本的内容、及び歴史的経緯の概略を解説していきますね。
ナンピンの基本概念
ナンピンとは、簡潔に言えば、価格がエントリーした方向と逆に動いた際に、追加のポジションを取って、平均取得価格、つまり保有する全ポジションの平均レートを下げる資金管理の方法です。
売りの場合は厳密には「平均売却価格」と言うべきですが、区別にこだわらず売り買いともに「平均取得価格」と呼ぶ人も少なくありません。
※以後、平均取得価格で解説します。
ナンピンは、平均取得価格が下がってメリットがある資金管理方法です。
しかし、
- 保有するポジションにこだわり負けを認めたくない
- 損失から逃れたいからナンピンでポジションを増やし続ける
このような心理が働いてナンピンをすると、損失を一気に拡大させ、口座を破綻させてしまう危険があります。
予想が外れたらナンピンせず、素直に損切りしていったん気持ちを整理したほうが良い場合も少なくありせん。
ピラミッディングとの違い
ナンピンと似た手法に「ピラミッディング」という資金管理手法があります。
ナンピンは自分の予想に反する方向に相場が動いた場合に含み損を減らすためにポジションを増やします。
これに対し、ピラミッディングは予想通りの方向に相場が動き、含み益がある状態で行う資金管理です。
決められたロット数やポジション数で追加エントリーし、利益をさらに伸ばし爆益を狙うためにポジションを増やします。
ナンピンのメリットは、平均取得価格を下げることで、含み損を緩和することがあります。
しかし、資金やメンタル管理が難しく、利益の大幅な拡大を狙うには難易度が高い戦略です。
これに対し、ピラミッディングは既に利益が出ているポジションと同一方向に追加投資を行います。
その利益を最大化することで、成功すれば非常に大きな利益をもたらします。
ナンピンとマーチンゲールの違い
ナンピンに似ている手法にマーチンゲールという手法もあります。
マーチンゲールは、損失を出した後に次の取引でポジションのサイズを倍増する手法です。
この目的は、一度の勝ちで過去の全ての損失を回復し、さらに利益を出すことにあります。
ナンピンもマーチンゲールも、自分の予想に反する方向に相場が動いた場合に、更なる投資を行う点で共通しています。
また、相場の動きが予想と異なる方向でさらに動き続ける場合、大きな損失を引き起こすリスクがあるのも共通点です。
一方で、両者の違いについては、ナンピンはポジションサイズを一定に保ちながら平均取得価格を下げるのが一般であるの対し、マーチンゲールは損失後の追加エントリーでポジションサイズを増やします。
そのことから、マーチンゲールの方が必要な資金とリスクが大きくなる可能性が高くなります。
また、ナンピンでは複数のポジションを一括で管理し相場が有利に動いたときにまとめて決済することが多いですが、マーチンゲールは各トレードを個別に処理し、それぞれのトレードで損失を回復しようとするのが一般的です。
ナンピンの歴史と各投資における役割
ナンピンという用語自体はもともとは江戸時代のお米の相場における業界用語で、漢字では「難平」と書きます。
ナンピンの漢字
ナンピン=難平
- 難=含み損
- 平=平均化
難(=含み損失)を平均化し各ポジションに分散するという意味を持っています。
良いイメージのある言葉ではありませんね。
現代では、株式やFX取引の手法として、プロのトレーダーなどの間では広く用いられています。
ナンピン戦略は、特に株式市場における一つの重要な投資技術として位置づけられています。
株価が下落した際に追加投資を行い、平均購入価格を下げることで、市場の変動に対応し、長期的な投資戦略をサポートします。
この戦略は、株価の変動性に対する一定の対応策として機能し、市場の回復に備える手段を提供します。
たとえば、株価が1万円の時に100株を購入した場合、平均購入単価は1万円です。
その後、株価が8千円に下落したとき、追加で100株購入すると、平均購入単価は9千円に低下します。これにより、株価が9千円を超えると利益が生じる可能性が高まります。
言葉だけで解説を理解しようとすると頭がグルグルこんがらがりますよね。
大丈夫です。
次の項目より、ナンピンの計算方法を解説していきます。
ナンピンしたポジションの計算:簡単ステップで平均取得価格を知ろう
改めてナンピンを簡単に振り返りましょう。
ナンピンをすることで、『平均取得価格』=『平均レート』が緩和されます。
利益になる時期も早くなりますが、損失額も増えます。
よって、『平均取得価格』を計算することは極めて重要になります。
そこで「平均取得価格」の算出法をわかりやすく解説していきますね。
平均取得価格の計算式と算出方法
最初のエントリーとナンピンで取得したポジションの平均を出せばいいわけですが、一般的な式に示すと次の通りになります。
特に、ロット数が一定でないナンピンの場合には、この式による計算を行うことが多くなります。
なお、この記事全体では原則としてスワップ損益や取引手数料がかかることを考慮していません。
平均取得価格の計算方法
平均取得価格 = (X1 × Y1 + X2 × Y2) ÷(X1 + Y2)
- X1 は最初の取引の単価
- Y1 は最初の取引の量
- X2 は追加取引の単価
- Y2 は追加取引の量
この式では、価格とロット数の積の合計を、ロット数の合計で割ることで平均取得価格を求めています。
ナンピンを3回、4回と重ねるなら、この式にX3,X4…,Y3,Y4…を加えてください。
平均取得価格計算の具体例
次に、売りエントリーの例を確認していきましょう。
Aの時点でドル円の為替レートが145円で1ロット(10万通貨)を売りエントリーしました。
その後、レートが上昇し、Bの時点で150円になったため、さらに10万通貨ナンピン売りしました。
この時、Bにおける平均売却価格は
(145円×10万通貨+150円×10万通貨) ÷(10万通貨+10万通貨) =147.5円
です。
Aにおける取得単価は145円でしたので、ナンピン売りをしたことによって、平均売却価格を約2.5円上げることができましたね。
ナンピンをした場合の損益の計算方法
先ほどの売りナンピンの例に続いて、損益も計算していきたいと思います。
ナンピンで利益確定したときの計算
Aの売り、Bのナンピンによる追加売りをした後、為替レートがCまで下落し、140円で全ての通貨を買い戻し(決済)したとしましょう。
その際の利益を、ナンピンなしにAのみで売却した場合と比較してみてみましょう。
Aのみで売り (ナンピンなし) の場合の利益額
(145円 – 140円) × 10万通貨 = +500,000円【利益】
AとBで売り (ナンピンあり) の場合の利益額
平均売却価格:(145×10+150×10)÷(10+10) = 147.5
損益額:(147.5-140)×20万通貨=+1500,000円【利益】
ナンピン売りをすることによって、より大きな利益を得ることができているのがわかりますね。
これはナンピンのメリットといえるでしょう。
ナンピンで損切りしたときの計算
一方で、為替レートがDまで上昇し、155円で全ての通貨を買い戻し(損切り決済)したとしましょう。
その際の損失額を「Aのみのポジション」と「AとBのナンピンした平均売却価格」で売却した場合と比較してみてみましょう。
Aのみで売り(ナンピンなし)の場合の損失額
(145円 – 155円) × 10万通貨 = -1,000,000円【損失】
AとB(ナンピン)で売りの場合の損失額
[平均売却価格]
(145円 × 10万通貨 + 150円 × 10万通貨) ÷ (10万通貨 + 10万通貨)= 147.5円
[損益計算]
(147.5円 – 155円) × 20万通貨 = -1,500,000円【損失】
今度はナンピン売りをすることによって、より大きな損失を被ってしまいました。
これはナンピンの最大のリスクといえるでしょう。
ナンピン自動計算ツールの活用法
ナンピンは上手く利用することで資金管理の武器になりますが、計算が非常に面倒です。
そこで、ナンピンの計算をサクッと簡単にしてくれるツールをご紹介します。
しかも、すべて無料です。
保有ポジションの取得価格は端数の場合が大半だと思います。
その場合には、計算が面倒な場合もあるのでこれらを使うと楽になります。
1.ナンピン計算
単純な平均取得価格を算出します。
このサイトでは、他のめんどうな計算もサクッと簡単に計算してくれるツールがあるので便利です。
2.含み損シミュレーター
海外FXのレバレッジで予想の含み損まで出してくれます。
ナンピン自動計算表
ナンピンすることによってもっていきたい平均取得価格を出せます。
エクセルファイルをダウンロードする必要があります。
ナンピン戦略のメリットとデメリット:リスクとリターンを天秤にかける
ナンピンを安全に活用していくためには、ナンピンのメリットとデメリットを理解しておく必要があります。
ナンピンのメリット
1. 反転の幅が小さくても含み損解消の期待
買いの場合であれば、ナンピンにより平均購入単価を下げることで、含み損の解消が期待できます。
例えば、1ドル140円で1ロット(10万通貨)を買いエントリーを行い、米ドル/円が138円まで下落した後、139円まで回復した場合を考えます。
なお、どのナンピン買いも1ロット(10万通貨)でのエントリーとします。
ナンピンせず、140円で買いエントリーのみ
140円で含み損無し
138円で20万円の含み損、139円で10万円の含み損。
ナンピンを行い、139円と138円で追加買い
139円で含み損無し
- 140円買いポジション:-10万円【含み損】
- 139円追加買いポジション:±0円【含み損益なし】
- 138円追加買いポジション:+10万円【含み益】
これらの例を比較すると、
ナンピンしない場合、価格が140円まで戻る必要がありますが、ナンピンすると139円で含み損が解消されます。
2. 含み損から利益への転換可能性
ナンピンは、相場反転時に利益を狙う機会を提供します。
例として、1ドル140円での買いエントリー後、137円まで下落し、その後140円に戻ったケースを考えます。
ナンピンせず、140円で買いエントリーのみ
140円で含み益無し
137円で-30万円【含み損】
139円、138円、137円で追加でナンピン買いエントリー
【137円で合計-60万円|含み損】
- 140円買いポジション: -30万円(含み損)
- 139円追加買いポジション:- 20万円(含み損)
- 138円追加買いポジション:-10万円(含み損)
- 137円追加買いポジション: ±0円(含み損益なし)
【138円で合計-20万円|含み損】
- 140円買いポジション:-20万円(含み損)
- 139円追加買いポジション:-10万円(含み損)
- 138円追加買いポジション:±0円(含み損益なし)
- 137円追加買いポジション:+10万円(含み益)
【139円で計+20万円|含み益】
- 140円買いポジション:-10万円(含み損)
- 139円追加買いポジション:±0円(含み損益なし)
- 138円追加買いポジション:+10万円(含み益)
- 137円追加買いポジション:+20万円(含み益)
【140円で計60万円|含み益】
- 140円買いポジション:±0円(含み損益なし)
- 139円追加買いポジション:+10万円(含み益)
- 138円追加買いポジション:+20万円(含み益)
- 137円追加買いポジション:+30万円(含み益)
この例では、ナンピンにより140円まで価格が戻らなくても138.5円以上の価格になれば含み益が発生します。
この場合の平均売却価格 =
(140円 × 10万通貨 + 139円 × 10万通貨 + 138円 × 10万通貨 + 137円 × 10万通貨) / (10万通貨 + 10万通貨 + 10万通貨 + 10万通貨)=138.5円
ナンピンのデメリットと回避方法
1. 含み損の拡大リスク
ナンピン戦略の最大のデメリットは、市場が反転しない場合、含み損が拡大する可能性があることです。
価格が逆方向に動き続けると、保有ロット数が増えたので含み損の増加は加速し、証拠金維持率が低下します。
資金に余裕がなければ、最終的にはロスカットに至る可能性があります。
このリスクを避けるためには、市場の動向を慎重に分析し、ナンピンに適したポジションのサイズ管理が重要です。
2. エントリータイミングの難しさ
ナンピンが成功するためには、価格の反転タイミングを正確に見極める必要があります。
しかし、為替市場は予測不可能な要素が多く、経験豊富なトレーダーであっても価格反転の正確な予測は困難です。
大きな損失を避けるためには、価格反転の明確な複数の根拠が見られるまでナンピンを控えることが賢明です。
3. 精神的ストレスの増加
ナンピンを行うと、保有ポジションが増え、含み損の拡大速度も速くなります。
これにより、投資家は大きな損失への不安を抱え、精神的ストレスが増大する可能性があります。
このようなストレスを避けるためには、むしろナンピンを行わないか、あるいは限定的に行うことをおすすめします。
4. マイナススワップの増加
FX取引では、高金利通貨を売り低金利通貨を買う場合、ポジションの持ち越しでマイナススワップが発生します。
そして、ナンピンにより保有ポジションが増えると、マイナススワップの額も増加します。
このため、ナンピンを行う前に通貨ペアの金利差、スワップの額を確認し、マイナススワップのリスクを考慮することが大切です。
ナンピンによる損失を避ける戦略
心理的特性との関係
ナンピン戦略は、投資における損失を避けるための一資金管理手法ですが、その背後にはプロスペクト理論に基づく心理的な要素が関わっています。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは、人は不確実な状況でも期待に基づいて意思決定を行い、客観的な事実だけで合理的な判断をするのが難しいというものです。
なんだか難しい解説ですが、めちゃくちゃ平たく簡単に説明すると、
損失を避けるために無理なリスクをとったり、利益を確実に得るために早めに利確したりするような行動をとることです。
この傾向は、FX 取引において「損小利大」の原則に反してしまうため、克服する必要があります。
プロスペクト理論のうちの「損失回避性」という概念がナンピン戦略の根底にあります。
これは、損失を被ることの苦痛が利益を得ることの喜びよりも大きいという心理的特性です。
つまり、人間は損失に対して過剰に反応する傾向があり、同じ変化量でも損失の方が利得よりも強く影響します。
ナンピンは、意図に反した方向に価格が進行する際に追加投資を行い、平均取得コストを現価格に近付けることを目指します。
現価格と平均取得価格が近づけば損失回避の可能性は高まり心理的にも安定するようにも見えます。
確かに理論上元のエントリー価格に市場価格が戻った場合には利益を得ることが可能で、ナンピン戦略は効果を発揮することがあります。
しかし、ファンダメンタルズにおける特別な要因等で価格の方向性が変わらない一方的進行が止まらない場合、ナンピンはリスク増加を加速させるだけとなり得ます。
ナンピン戦略におけるもう一つの心理的要素は、同じくプロスペクト理論で説明されている「参照点依存性」です。
投資家は、絶対値ではなく、エントリー価格(参照点)からの変化に基づいて判断する傾向があります。
これにより、例えば買いエントリーを狙いトレードしているなら、そのエントリー価格から下落した場合、その価格を基準に「割安」と判断してナンピン買い行ってしまうことがあります。
このような行動を避けナンピン戦略を成功させるには、以下に述べる2つの事項を意識します。
ナンピンのタイミング
一つ目は適切なタイミングでナンピンのエントリーをすることです。
ここでは、通常のエントリーより慎重さを求められます。
理想的には、買いナンピンは市場の大底圏で、売りナンピンは市場の天井圏で行うべきです。
上昇トレンドが続いた後の下落局面では、下落余地が大きいため、天井圏での買いは避けるべきです。
逆に大底圏でナンピン買いを行う場合、下落余地は限られており、底を打つ可能性が高まります。
「大底を狙っているに決まってるじゃないか!」との反論も受けそうですが、ダウ理論や複数のインジケーターを駆使して徹底して分析し、底・天井を打ったこと、反転し始めたことの判断など、反転分析の精度でナンピンの成功率が違ってきます。
ほかに、ナンピンする間隔を一定以上の価格に定めるなどのルールを作っておくと、「こんなに下がったから上がる前にスグ買いたい!」という自分の根拠なき欲求を抑制できます。
各ポジションの比率
二つ目は、ナンピンの各ポジションのロット数比率の計画・設定も重要です。
ナンピンの比率が不適切であれば、リスクは増大します。
均等に割り振るほかには、「1・3・5」や「1・2・3・4」という比率もあり、最初の買いポジションに対して、後続のナンピンで単位を徐々に増やしていくのが一般的です。
どの方法を取るにしても1回目のナンピンで単位を大きくしすぎると、後続のナンピンで取得単位も大きくなり、誤った判断をした場合に平均取得価格を効果的に調整するのが困難になります。
さらには証拠金維持率が大きく下がり、強制ロスカットで口座資金の大半を失うリスクが増大します。
ナンピン戦略は適切なタイミングと比率で行うことで、リスクが高い戦略から有効な投資手法へと変わります。
市場動向を慎重に分析し、先ほど解説した損失回避性と参照点依存性に基づく心理的な要素を考慮しながら、ナンピン戦略を計画的に実行することが求められます。
ナンピン戦略を成功に導くための具体的な戦略
ナンピンを成功させるにはこれまでに述べた事項に留意しつつ、最大の課題である資金管理を徹底する必要があります。
この点が初心者にとってはナンピンが困難である最大の理由です。
ナンピンのリスク管理:資金管理の重要性とその方法
ナンピン戦略は、特定の状況で利益を得る可能性を秘めていますが、同時に大きなリスクも伴います。
まずは、ナンピンを行う際の主なリスクとその管理方法について解説します。
1. 資金不足のリスクを回避
ナンピン戦略の最大の欠点は資金不足です。
ナンピンは、価格の下落に伴い買い増しを行うことで平均取得価格を下げ、損失を最小限に抑えることを目的とします。
しかし、市場価格が下落し続けると、最終的には資金不足で買い増しができなくなる可能性があります。
これにより、ポジションの運用金額が大きくなり、目論見に反して損失が急拡大するリスクがあります。
ナンピンを行う場合は、自身の資金限度内で運用し、どの程度までの損失なら許容できるかを事前に緻密に計画することが重要です。
例えば、ここでまた1ロット追加のナンピンをしたのち、さらに50銭下落したらその時点で含み損額はいくらになるのかなどを具体的に算出しておきましょう。
2. 低レバレッジでの取引
ナンピン戦略を用いる際は、低レバレッジで取引することが望ましいです。
高レバレッジでの取引は、利益だけでなく損失も大きくなります。
ナンピンにより買い増しを行うと、損失がさらに増加する恐れがあります。
高レバレッジでナンピンを行うと、大きな損失や証拠金の全損、さらには借金を抱えるリスクも生じるため、レバレッジは慎重に設定し、リスクを抑えた取引を心がけるべきです。
例えば、通常1回のトレードでは1ロットでトレードし損失が10%で損切りしていたのであれば、ナンピンした場合でもトータル10%の損失で収まるようにポジションを分割し・損切り位置を設定します。
3. 証拠金維持率には余裕を持つ
証拠金がギリギリの状態での取引は避けるべきです。
証拠金維持率が低い状態での取引は、小さな市場の変動でもロスカットや大きな損失につながる可能性があります。
特にナンピンを行う場合、買い増しの余地がなくなり、リスクが増大します。
海外口座の場合、証拠金維持率を最低でも短期取引で400%以上に保つべきだと言われますが、私の場合はスウィング寄りのデイトレがメインで、強制ロスカットが怖いので2000%は下回らないようにすることがほとんどです。
証拠金維持率が低くなると常時ハラハラすることになりとてもじゃありませんが正常な判断力を維持することは困難になります。
いずれにしても、安全なマージンを確保することで、リスクを低減することが可能です。
ナンピン戦略は適切なリスク管理と計画的な取引が必要です。
資金不足、高レバレッジ、証拠金ギリギリの取引のリスクを避け、安全に取引を行うことが、FXトレードでの成功の鍵となります。
ナンピンの成功例と失敗例から学ぶ実践的アドバイス
ナンピンの失敗例
これはドル円1時間足のチャートです。
最初のエントリーは、少し前の上昇トレンドのあと値を下げましたが、小さくダブルボトムが完成しロールリバーサルも生じました。
これを見て上昇トレンドが再開し値を上げていくと考えて、151.2円・1ロットで行いました。
ところがすぐに小さくダブルトップ気味になりになりその後急下降します。
しかし、先のダブルボトムのネックラインを割り直近安値で反発後に上昇したので、ここでも小さなダブルボトムになっていて「さらに安値でいいポジションが取れるぞ!」とひとりで色めき立ちました。
少し安値に引きつけてナンピンで150.5円・1ロットの追加の買いエントリーをします。
しかしこの時点で、とくに2つ目のポジションについては損切り位置など明確に考えない状態でした。
そして最初はわずかに上昇を見せたものの、間もなくさらに大きく急落しました。
この急落の時点で最初のダブルボトムの底値150.3円も割りました。
当初の損切りポイントもここに置いていたのですぐに損切りすべきです。
しかし、ポジションが2つになって含み損を大きくしまったこと、2つ目のエントリーからは損切り位置がまだ浅く余計に負けを認めたくなかったこと、直前まで緩やかながら上昇トレンドが続いていたことなどから、まだポジションを保有。
「まだ大丈夫!すぐに上がるはずだ」「これからきっと上がるはずだ」と損切りせずに上昇を待ってしまいました。
これが、プロスペクト理論の典型ですね。
しかし下降は更に強まります。
4時間足レベルでの安値ラインで大き目の反発を見せたので、今度こそは上昇してくれると期待し、押し目を作ったタイミングでさらにナンピンで149.7円・2ロットの追加買いのエントリーをします。
しかし、さらに急下降が始まり、4時間足レベル1499.3円の安値ラインを割ったところでついに諦めてすべて損切りしました。
【損益についての比較】
[②・③でナンピンをせずにポジションは①のみ]
- エントリー①を当初の損切りポイント150.3円で決済していたら
-90pips・損益額-9万円
- エントリー①を最終的に実際に損切りしたポイント④149.3円で決済したとしても
-190pips・損益額-19万円
しかし、実際にはナンピンをしたことで
[②③でナンピンした場合]
エントリー① -190pips・損益額 -19万円
エントリー② -120pips・損益額 -12万円
エントリー③ -40pips・ 損益額 -8万円
計 平均損益 -97.5pips・損益額 -39万円
となってしまいました。
最初の判断を信じて買いにこだわる姿勢を早期に捨てられれば、損失額も9万円と1/4以下で済みました。
そして、目線を切り替えられれば下降トレンドに乗れて、最終的にプラス決済になっていたかもしれませんね。
このトレードでは、自分の負けを認められず、ナンピンによる損失額やポジションの損切り位置など明確に想定せず無計画にナンピン行なったことが、大きな損失を招くことになった良い例です。
ナンピンの成功例
このチャートはユーロ円1時間足です。
136.6円での初めの買いエントリー0.5ロット。
急上昇があったことで明確ではないものの前回高値を上抜けしたので、上昇トレンドへの転換と考えました。
損切り位置は4時間足レベルの直近安値135.2円に置きます。
エントリー直後には急上昇の反動で急下降がありますが、なんとか直近安値前で止まりました。
その後上昇し始め、ダブルボトム形成中だし、戻りも弱くない陽線が2本続いたところで136.3円・0.5ロットのナンピンによる追加の買いエントリーを行います。
しかし、後で考えてみると他の指標を見ても反転のサインは出たとはいいがたく結果的には早すぎた良くないナンピンエントリーでした。
その後は再度下降し直近安値圏で8時間ほど揉んだあと、やっと上昇を開始します。
4時間足レベルの大底にはまだ50pipsほどありますが、直近安値にあたる価格帯ですので大まかには底値圏であるとも判断できる価格帯での揉みです。
さらにRSIは売られすぎエリアにだいぶ近く位置していますし、ダイバージェンスも発生しています。
他にも、MACDもゴールデンクロスしそうなところだったことや、チャートでは小さなダウの形成の状態が一応トレンド転換を示していることから、根拠は十分にあると考え、ここ136.0円のナンピンによる1ロット追加の買いエントリーしました。
その直後に幸運にも大きく急上昇し、最初のエントリー位置に戻った136.6円で決済しました。
【損益の比較】
[ナンピンをせずにポジションは①のみの場合]
- エントリー①を当初の損切りポイントで決済していたら
-140pips・損益額-28,000円
- エントリー①を最終的に実際に利確したポイントで決済したとしたら
±0pips・損益額は円
しかし、実際にはナンピンをしたことで
[②③でナンピンした場合]
- エントリー①について ±0pips・損益額 0円
- エントリー②について 30pips・損益額 15,000円
- エントリー➂について 60pips・損益額 60,000円
計 平均損益 37.5pips・利益額 75,000円
ナンピン買いの適切なタイミングとは?相場のサインで捉えるナンピンの極意
ナンピンの目的は、平均取得価格を現価格に近付けて利益確定の可能性を上げることですが、リスクも高くなります。
そのため、もともと自分が予期していた方向へのトレンド転換が今度こそ発生したことを相場のサインから察知し、ナンピンのタイミングを見極めることが重要です。
ほとんどの場合、直近のトレンドに逆らったエントリーになるので、出来るだけ明確な反転のサインを狙ってエントリーします。
反転のサインには、以下のようなものがあります。
- ダイバージェンス
- 三尊、逆三尊
- ゴールデンクロス、デットクロス
- スイングトレードのナンピン
1.ダイバージェンス
ダイバージェンスは価格の逆行現象のことです。
価格の動きとRSIやMACDなどのテクニカル指標の動きが逆行する現象です。
ダイバージェンスが発生すると、相場のトレンドが弱気になっていることを示し、トレンド転換の可能性が高まります。
RSIでは売られすぎ30%領域に達した際に直近の谷と今回の谷との間でこのダイバージェンスの判断をしましょう。
このように、ダイバージェンスはナンピンのよいタイミングです。
2.三尊・逆三尊
相場の値動きが三つの山と二つの谷で形成されるチャートパターンです。
中央の谷が最も低く、両側の谷が高い形をしています。
逆三尊が完成すると、ダウ理論上も相場の下降トレンドが終わり、上昇トレンドに転換することを示します。
ダブルボトムもよいのですが、それより一層強力な反転のサインとなります。
三尊や逆三尊は、相場の大きな転換時に出現する場合が多いので、ナンピンのタイミングとして優れていますね。
3 .ゴールデンクロス・デッドクロス
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜ける現象です。(デッドクロスはその反対)
ゴールデンクロスが発生すると、相場の下降トレンドが終わり、上昇トレンドに転換することを示します。
先述のMACDでもその中のMACDラインとシグナルラインの間でゴールデンクロスを確認しましょう。
これらの反転のサインを捉えることで、ナンピンエントリーのタイミングを見極めることができます。
ただし、反転のサインは必ずしも相場の動きに一致するとは限りません。
だましや遅れなどの現象もありますので、他の要因や指標と併せて判断することが大切です。
また、ナンピンエントリーは損失を拡大する可能性もありますので、損切りのルールやリスク管理もしっかりと行うことが必要です。
スイングトレードとナンピン
また、視点は少し異なってしまいますが、長期的なトレードを行っている場合のナンピンについてのテクニックです。
例えばドルがここから2,3年は下降すると考えてドル円売りの方向で考えている場合を例に解説します。
一時的に不安定な相場となり突発的にドル高の局面が生じるようなときには、高くなったところは売りのエントリーをとるタイミングとして有効です。
ただし、長期にわたり保有するので、ロットを小さくしてエントリーし、加えて、マイナススワップが小さいFX業者を選ぶなどしましょう。
通常のエントリーに比べて一層慎重さが求められます。
よって、これら以外にも移動平均線の動き、ダウ理論でのトレンド転換、強く意識されたサポートラインの背後における存在なども含め、ナンピンには強力なサインを2~3個は確認したいところですね。
まとめ:ナンピン計算をマスターして安定した投資戦略を
ナンピンの定義と基本
- 価格が逆方向に動いた際に、追加ポジションを取って平均取得価格を現価格に近付ける戦略
ピラミッディングとマーチンゲールとの違い
- ナンピン(平均取得法):
- 目的:投資コストの平均化。
- 方法:株価が下落したときに追加で株を購入し、平均購入単価を下げる。
- リスク:市場がさらに下落すると、損失が拡大する可能性がある。
- ピラミッディング:
- 目的:利益の最大化。
- 方法:投資が利益を出している時に、さらにその投資に資金を追加する。
- リスク:市場が反転すると、利益が減少または損失に転じる可能性がある。
- マーチンゲール戦略:
- 目的:損失の回復。
- 方法:損失を出した後、次の取引で投資額を倍増させる。
- リスク:連続した損失により、資金が急速に減少する危険がある。資金が尽きると、損失を回復することが不可能になる。
これらの戦略はそれぞれ独自のリスクと報酬のバランスを持っているため、使用する際には注意が必要です。
歴史的背景と株式投資での役割
起源:
- 由来:江戸時代のお米相場の業界用語。
- 意味:「難平」は難(含み損失)を平均化し、リスクを分散すること。
現代の使用:
- 広く使用:プロのトレーダーを含む株式やFX取引で活用。
- 投資技術:株式市場における重要な投資技術として位置付け。
平均取得価格の計算法
- 平均取得(売却)価格 = (X1 × Y1 + X2 × Y2) ÷(X1 + Y2)
- – X1 は最初の取引の単価
- – Y1 は最初の取引の量
- – X2 は追加取引の単価
- – Y2 は追加取引の量
自動計算ツールの紹介
- ナンピン計算
- 含み損シュミレーター
- ナンピン自動計算表
ナンピンのメリットとデメリット
メリット:
- 平均購入価格の低下:
- 株価が下落した際に追加購入することで、全体の平均購入価格を下げることが可能。
- 損失回復の機会:
- 株価が回復すると、低い平均購入価格により、損失を回復し利益を出す機会が増える。
- 長期投資戦略:
- 長期的な視点で市場の変動に対応する戦略として有効。
デメリット:
- リスクの増大:
- 株価がさらに下落する場合、損失が拡大するリスクがある。
- 資金の追加投入必要性:
- ナンピンを行うためには、追加で資金を投入する必要がある。
- 市場の予測困難性:
- 株価の底値を正確に予測するのは困難であり、誤ったタイミングでのナンピンはリスクを増加させる。
ナンピンの戦略の心理要素
ナンピン戦略の心理的特性:
- プロスペクト理論に基づく:損失回避性と参照点依存性に関連。
- 損失に対する過剰な反応:損失の苦痛が利益の喜びよりも強く影響。
適切なタイミングと比率の決定
- ナンピンの適切なタイミング:
- 慎重なエントリー:市場の大底圏や天井圏でのエントリーが理想的。
- 底・天井の分析:ダウ理論やインジケーターを使用して分析。
- ナンピンの間隔と比率:
- 一定以上の価格間隔でナンピン:根拠のない衝動を抑制。
- 各ポジションのロット数比率を計画:「1・3・5」や「1・2・3・4」などの比率。
資金管理の重要性
- 資金不足リスクの回避:
- 株価下落時の買い増しで平均取得価格を下げる戦略。
- 市場価格が下落し続けると、資金不足のリスクが生じる。
- 低レバレッジでの取引:
- 高レバレッジ取引は損失拡大のリスクがある。
- 損失率を管理し、ポジションを適切に分割する。
- 証拠金維持率に余裕を持つ:
- 証拠金がギリギリの状態を避ける。
- 証拠金維持率を高く保ち、リスクを低減する。
ナンピン戦略のメリット・デメリットを正しく理解したうえで、ナンピンを行う場合には計画的かつ慎重に実行しましょう。
そうすることで大きな失敗はせず、あなたにとってナンピンは有益なテクニックになります。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。
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