私がFXを始めたころ、国内FX会社のほとんどがレバレッジ400倍でした。
「驚きましたか?」
しかし、時代が進むにつれて、この国の外国為替取引のルールが改訂されていきます。
その理由が「投資家保護」
これには、賛否両論があります。
しかし、上級トレーダーの方々は分かっています。
レバレッジだけが問題なのではなく、ただ単に、資金管理ができていないトレーダーがたくさんいただけだと。
「決してレバレッジが原因じゃないのに・・・」
しかし、今後もレバレッジ規制は検討されていくことでしょう。
トレーダーとして時代を先読みし、どのように対応していくべきなのか?
そこで、この記事では、
- レバレッジは正しく扱えば武器になる真実
- レバレッジ規制に向けての3つの対策
- なぜレバレッジ規制が行われたのか?歴史的な背景
- 今後、いつレバレッジ規制が行われるのか?
について解説していきます。
この記事があなたのトレードライフのお役に立てれば幸いです。
目次
実はハイレバレッジでも資金は安全に管理できる
レバレッジ規制に異を唱える方は、きっとこのように言うでしょう。
『レバレッジが危険ではない』
『無謀な資金管理が危険なんです』
実は、レバレッジを武器にしながら、しっかりと安全に資金管理はできます。
そのことは、『投資苑』や『タートル流投資の魔術』、『ラリー・ウィリアムズの短期売買法』、『マーケットの魔術師』など、多くの名著でも紹介されています。
その資金管理方法は、現在、世界中のトレーダーが活用している、最もメジャーな資金管理ルールになっています。
その資金管理ルールとは『2%ルール』です。
しかし、レバレッジというFXの強い武器であり魅力を上手く使いこなせなかった方々が多くいたのも事実であり、残念なことでもあります。
このような背景があり、今後、国内ではFXのレバレッジ規制が進むのは間違いありません。
そこで、レバレッジ規制がいつ行われても良いように、3つの対策を解説していきます。
FXレバレッジ規制の3つの対策
FXトレーダーは、こういった規制に関する動向を注視しつつ、自分なりの投資スタイルの見直しや対策を考えることが必要です。
対策①|トレードスタイルの変更
レバレッジ規制の対策①は『トレードすタイスの見直し』をすることです。
現在の国内口座は、最大でも25倍しかレバレッジをかけることができません。
つまり、国内口座で、少額資金の投資家が、一か月に数百回、数千回繰り返すスキャルピングやデイトレードはかなり不利と言えます。
ただでさえ、小さい値幅を取るスキャルピングやデイトレードです。
にも関わらず、国内口座ではレバレッジをかけることができないので、自己資金の少ないトレーダーは必然的に小さなポジションになります。
リターンが小さい割には、かなりの労力を使います。
そのよなトレードを繰り返していれば、間違いなく疲れます。
そこで、対策①『トレードスタイルの見直し』を検討する。
少資金の投資家は、『スイングトレード』を検討してみる。
小さなポジションサイズでも『スイングトレード』であれば、大きな値幅を狙うことができるからです。
スキャルピングやデイトレードに比べて、資金効率が悪いという話もありますが、それはレバレッジ400倍の時代の話です。
国内口座であれば、自分のトレードスタイルを一度見直してみてはいかがでしょうか?
対策②|海外FX口座に慣れる
対策②は、単純にレバレッジのかけることができる海外FX口座を利用することです。
あたりまえではありますが、最も理想的な対策です。
トレードスタイルが、スキャルピングやデイトレードをメインに考えるのであればなおさらです。
私は、幸運なことに初心者時代からMT4を利用していたので、昔から現在に至るまで海外口座の経験しかありません。(※国内FX会社がMT4を導入したのは最近のこと)
レバレッジのかけることができる海外FX口座は、少し敷居が高いように思われがちです。
しかし、現在は、日本語サポートが充実していたり、入出金も瞬時に反映されたりと、国内FX口座とほぼ変わりはありません。
口座開設も数分で完了するほど簡単です。
昔に比べて随分と身近な存在になりましたね。
上級トレーダーで、海外にFX口座を持っていない人はいないくらいです。
ですので、時代を先読みして、海外FX口座に慣れておくことは大切なことです。
対策③ FX口座をハイブリッドで使い分ける
対策③はオススメです。
- 国内FX口座で、スイングトレード
- 海外FX口座で、スキャルピングやデイトレード
このように、トレードスタイル別で、口座を使い分けることで、資金を分散することができます。
そのことにより、リスクも分散することができます。
かつ、海外口座のレバレッジも最大限に生かすこともできます。
さて、レバレッジ規制の対策について解説してきました、なぜ、今後、国内のレバレッジ規制が進むのか?
また、いつからレバレッジ規制が始まって、今後どうなるのか?
次の項目より解説していきます。
なぜ国内FXのレバレッジ規制が始まったのか?歴史的背景を知る
FXの誕生とレバレッジ400倍の時代
現在では、誰でも自由に外国為替取引をすることができますが、少し前までは「外為法(外国為替及び外国貿易法)」によって取引が制限されていました。
民間で自由にFXの取引ができるようになったのは、1998年に外為法が改正されてからです。
実は、FXは誕生から20年前後しか経っておらず(2019年現在)、株や先物に比べると極めて浅い歴史しかないんです。
そのため、制度自体が進化の途中にあり、頻繁にルールの改正がなされてきました。
細かいルールの改正であれば、株取引などでも行われています。
しかし、FXの場合は、取引の根幹を成す部分のルール改正が多いです。
その代表的なものこそが「レバレッジ規制」です。
FX誕生当初、レバレッジについての規制は全くありませんでした。
それよりも、FX業者そのものへの規制が優先されていたのです。
実際、出金ができず顧客とトラブルを起こす業者が続出するなど、現在では考えられない混沌とした状況でした。
そのため、2005年に「金先法(金融先物取引法)」の改正、FX業者の「新規参入審査登録制」の導入と立て続けに法改正が行われ、一気にFX業界の健全化が進みました。
私は幸運なことに、FX業界が健全化されたあとにスタートできました。
ここからは「FXブーム」とでも呼ぶべき現象が起こり、多くの億万長者が誕生して話題となりました。
少し前には手数料自由化による「株ブーム」もありましたが、FXの場合はそれを凌ぐほどのブームでした。
その最大の理由は「レバレッジ」です。
当時の国内FX業者では、レバレッジ400倍が標準的な設定でした。
証拠金100万円で4億円の取引ができるため、誰でも一攫千金を狙うことができたのです。
また、小額資金しか用意できないデイトレーダーにも人気でした。
米ドル/円やユーロ/米ドルなどの主要通貨であれば、1枚(10,000通貨)を1万円程度の資金で購入することができたからです。
こうして、熱狂的なFXブームは数年続きましたが、2010年にいったん終止符が打たれます。
そう、国内FXの歴史で初めての「レバレッジ規制」です。
FXの国内レバレッジ50倍規制とその背景
2010年に金融庁主導で行われたFX史上初めてのレバレッジ規制ですが、もちろんいきなり規制されたというわけではありません。
2009年8月に「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」が公布され、2010年8月までにレバレッジを50倍に規制するように通達されています。
このルール改正の背後にはさまざまな事情がありますが、最大の理由として挙げられていたものは「投資家保護」です。
つまり、200倍や400倍といったレバレッジは、あまりにリスクが高すぎるということでした。
たしかにレバレッジが高すぎる取引は、投資というよりは投機的な側面が強くなる傾向があり、投資家を危険に晒す場面もあります。
取引が成功した場合には、高いリターンを手にすることができますが、失敗した場合は瞬時に全財産を失う恐れがあるのです。
通貨の取引は、市場の急変により思わぬ大きな値動きをすることがあります。
株などのように値幅制限がないため、ハイレバレッジの取引で思惑と逆の方向に大きく動いた場合は、強制ロスカットになるリスクがあるのです。
問題なのは、高いリターンを手に入れるために、無謀なリスクを取るトレーダーが多かったことです。
つまり、トレーダーレベルが欧米に追い付いていない日本には、資金管理を知らないトレーダーがたくさんいたということです。
そのため、投資家保護という名目でレバレッジが50倍に規制されたことには、それなりの合理性があるといえます。
とはいえ、レバレッジ規制によって取引が制限されてしまったトレーダーが多いのも事実です。
レバレッジ400倍であれば、1~2万円でポジションを立てることができたため、口座に10万円程度を入れておけば、十分にトレードを楽しむことが可能でした。
主婦やサラリーマンの副業などに最適だったのです。
しかし、レバレッジ規制によって、FXからこういった手軽さが失われてしまったのは事実です。
良い悪いは別として、安全な資金管理ができていたトレーダーたちは、レバレッジ規制によって投資手法を見直さざるを得ない状況となっていきました。
・歴史の浅い日本には欧米に比べてトレーダーレベルが追い付いていないトレーダーが多くいた
・無謀な資金管理が一番の原因
止まらないレバレッジ規制!さらに縮小レバレッジ25倍に
2009年の内閣府令で公表されたレバレッジ規制は、50倍への規制だけではありませんでした。
2011年8月からはさらにレバレッジが25倍に縮小されるという、「段階的」な規制だったのです。
これによってレバレッジ400倍の時代から16分の1まで縮小されました。
かつては100万円の元手で4億円の取引が可能でしたが、2度のレバレッジ規制によって、100万円の元手では2,500万円までの取引しかできなくなってしまったのです。
2,500万円の取引というと、かなりの規模の取引のように聞こえます。
しかし、為替は株などに比べると極めて動きが小さいことに注意が必要です。
株は短期間で20%~30%程度の値動きをすることが珍しくありませんが、為替は10%動いただけでも大ニュースになります。
FXはハイリスク・ハイリターンといわれていましたが、それは為替の値動きが理由なのではなく、ハイレバレッジを活用して適正なポジション量で取引ができていなかったからなんです。
このことからも分かるように結局『資金管理』が問題なんです。
レバレッジが25倍に規制されたことで、一般投資家は手法を根本から変える必要に迫られました。
特に資金量の少ない投資家には、大きなダメージだっだのではないでしょうか。
小額の証拠金をもとにレバレッジを効かせ、デイトレードやスキャルピングなどで利益を積み重ねていくような手法はほぼ不可能になったからです。
・値動きは株より穏やか。つまり、ハイリスクハイリターンではない。
・結局、正しい『資金管理』ができていないことが問題
・自己資金が少ないトレーダーは大きなダメージ
次のFXレバレッジ規制はいつ始まる?ついに金融庁はレバレッジ10倍も示唆
レバレッジ縮小の傾向はさらに強まり、2017年9月に各メディアが「金融庁がレバレッジ10倍以下への規制を検討」と報じています。
金融庁のさらなるレバレッジ規制の動きは既に始まっており、この報道の少し前、2017年2月にはFX法人口座のレバレッジ規制が実施されています。
あまり知られていませんが、個人のFX取引が規制された後も、法人口座についてはレバレッジが200倍まで許容されていました。
しかし、法人口座のレバレッジ設定に関するルールが変更され、レバレッジ30倍から70倍程度の「変動制」へと移行することになりました。
実質的に大幅なレバレッジ規制となっています。
2017年10月、金融庁は店頭FX業者に「店頭FX業者のリスクへの対応策」という説明会を行い、その後は有識者会議を2018年にかけて複数回行っています。
多くのFX業者がレバレッジ規制に反対という態度を取っていることもあり、いったんは「規制の見送り」という結果になりました。
ただし、金融庁がレバレッジ規制を撤回しているわけでもないことに注意が必要です。
結論。次回のレバレッジ規制がいつ始まるかは、誰も分からないです。
ひとつだけ言えることは、現在も改正案は検討されているということです。
そして、私たちは、そのことに対応しなければいけないということ。
まとめ
レバレッジ規制の歴史と、これからの展望と対策について解説をしてきました。
FXに限らず、私たちはルールの中で生きています。
私たちの力で、新たにルールを作ることや、変えることはできません。
しかし、ルールに対応することはできます。
スポーツも、ビジネスも、会社も社会も同じです。
ルールに対応していった者だけが生き残っていくのではないでしょうか?
レバレッジ規制の変更がどうであれ、一般投資家がやらなければいけないことは、3つ!
安全に資金を守ること!増やすこと!ルールに対応していくこと!
私たちの力で、投資家意識の高い国にできれば最高ですね。
・FXは、株式に比べるとまだ浅い歴史
・それによりルールが頻繁に改正
・FXブームになった理由は『レバレッジ』の要因が大きかった