
「買うか、売るか」を決めたのに、目先の値動きで方針が揺れてしまう。
そんなときは、ローソク足の終値と前後の高値・安値を比べて、売買を検討する方向から整理してみましょう。
この記事では、スラストとランウェイの見方をもとに、日足で方向を考え、15分足で仕掛けを検討する流れを解説します。
方向の判断は、エントリーの許可証ではありません。
買い・売りの候補を決めたあとも、仕掛ける価格、損切り、利確、見送る条件を別に決める必要があります。
トレード方向が決まれば心が決まる|迷いを減らす準備
「トレード方向が決まれば心が決まる」とは、相場が必ず予想どおりに動く、という意味ではありません。
買いを探す日、売りを探す日、判断を保留する日を分け、途中で都合よくルールを変えないための準備です。
考え方を整理する会話例
以下は、トレード中の迷いを整理するための会話例です。


方向を決めても、エントリー前に迷ってしまいます。


まずは、売買の方向と、予想が外れたときの対応を決めてみよう。
たとえば、買いを検討する日でも、抵抗帯の直前で損切り幅が大きすぎるなら、買わずに見送る選択があります。
反対に、買いの根拠が崩れたあとも「今日は買いの日だから」と持ち続けるのは、方針を守ることとは違います。



予想が外れたときにも、同じ基準で判断しやすくなるよ。
スラストとは|終値で前の足を抜けたかを見る
私も、スラストという言葉をはじめて知ったのは、ディナポリの手法を学んだときでした。
スラストは、ローソク足が前の足の価格帯を終値で抜けたかを見るプライスアクションです。
まず、元のチャートで一方向に進む場面を見てみましょう。
この図には、3期間の移動平均線を3期間先にずらした「3×3 DMA」が表示されています。
移動平均線に触れていないこと自体が、スラストの成立条件ではありません。
次のように、ローソク足ごとの終値と前の足の高値・安値を比べます。
スラストアップ・スラストダウンの条件
| 名称 | 日足での条件 | 確認する時点 |
|---|---|---|
| スラストアップ | 当日の終値が前日の高値を上回る | 当日の日足確定後 |
| スラストダウン | 当日の終値が前日の安値を下回る | 当日の日足確定後 |
| どちらでもない | 終値が前日の高値~安値の範囲内にある | 方向の判断を保留する材料 |
ヒゲが一時的に抜けただけでは、終値で抜けたことにはなりません。
たとえば、前日の高値が150.00円、当日の高値が150.30円でも、終値が149.90円ならスラストアップには該当しません。
終値が150.10円で確定した場合は、前日の高値を上回っています。
同じ価格で終わった場合は、本記事の「上回る・下回る」という条件には含めません。
日足の区切りは業者のサーバー時刻などで変わるため、検証から実際の判断まで同じチャート環境を使います。
定義の確認:OANDA「スラストアップ・スラストダウン」。
連続する場面と、続かない場面を分ける
元のチャートには、終値で高値や安値を更新する場面が示されています。
ただし、この図だけから「翌日は勝てる」「出現しない日は高確率でレンジになる」とは判断できません。
前日がスラストアップなら買いを検討する材料になりますが、翌日に反転したり、上位足の抵抗帯で止まったりする場合もあります。
スラストがない日は、本記事の方向選別ルールでは見送る候補にします。
それは「トレンドが存在しない」という断定ではなく、このルールでは判断材料が足りないという意味です。
ランウェイとは|基準足の前後を比較する
ランウェイは、基準となるローソク足と、その前後N本の高値・安値を比べるパターンです。
基準足の当日には、まだ確定しない点が重要です。
ランウェイアップ・ランウェイダウンの条件
| 名称 | 基準足より前のN本 | 基準足より後のN本 |
|---|---|---|
| ランウェイアップ | 基準足の高値が、前N本すべての高値より高い | 基準足の安値が、後N本すべての安値より低い |
| ランウェイダウン | 基準足の安値が、前N本すべての安値より低い | 基準足の高値が、後N本すべての高値より高い |
Nは比較するローソク足の本数で、基準足は前後N本に含めません。
本記事の元図ではN=5を例にしていますが、5が唯一の標準や最適値という意味ではありません。
使用する本数は検証前に決め、結果を見て都合よく変更しないようにします。
定義と確定待ちの確認:OANDA「ランウェイアップ・ランウェイダウン」。
チャートの矢印は、当日に分かったサインではない
上図の青い矢印は、基準足の位置を示す過去チャート上の表示です。
N=5なら、その後の5本が確定してから、基準足が条件を満たしたか判断できます。
基準足に印が付いていても、その足が出た瞬間にサインを知ることはできません。
前日に過去5本の高値を更新した大陽線が出ても、後ろの5本がまだ存在しないため、ランウェイアップは未確定です。
その段階では「候補」として区別し、確定済みのランウェイと同じ根拠で扱わないようにします。
検証で未来の足を先に見てエントリーを選ぶと、実際にはできない判断が混ざってしまいます。
日足からデイトレードの売買戦略を組み立てる
以下は、前日の日足を使って売買方向を絞るためのルール例です。
完成した売買システムや、検証済みの勝率を示すものではありません。
| 前日までに確認できたこと | 当日の検討方向 | 注意点 |
|---|---|---|
| 前日がスラストアップ | 買いの仕掛けを探す | 抵抗帯・当日の逆行・損切り幅を確認 |
| 前日がスラストダウン | 売りの仕掛けを探す | 支持帯・当日の反発・損切り幅を確認 |
| 前日がどちらでもない | このルールでは見送りを検討 | レンジと断定せず、判断を保留 |
| 過去のランウェイが確定済み | 相場背景の補助材料にする | 直近の値動きによる否定も確認 |
| 直近の足がランウェイ候補 | 未確定として別に記録 | 将来の足を使った判断はしない |
STEP①|日足で方向と近くの障害物を確認する
確定済みの前日の日足と、その前の足を比較します。
同時に、直近の高値・安値、支持帯・抵抗帯、重要な経済指標の予定を確認します。
スラストと上位足の方向が一致しない場合や、狙う方向のすぐ先に障害がある場合は、無理に仕掛けない選択を用意します。
STEP②|15分足で具体的な仕掛け条件を決める
日足で買いを検討する方針でも、15分足でどの押し目を待つか、何を確認して入るかを決めます。
売りの場合も同様に、戻りを待つのか、安値更新を待つのかを事前に言葉にします。
方向が合っていても、高値づかみや安値での飛び乗りになると、途中の逆行で損失になることがあります。
時間足を組み合わせる考え方は、マルチタイムフレーム分析の解説も参考にしてください。
STEP③|損切り・利確・見送りをセットにする
予想が外れたと判断する価格を先に決め、許容損失額から取引数量を調整します。
利確の候補までの距離が小さい、損切り幅が大きすぎる、重要指標の直前など、仕掛けを見送る条件も決めておきます。
スラストやランウェイが見えたことだけを理由に、通常より大きなリスクを取らないようにしましょう。
元のチャート例①|日足の下落を15分足へつなげる
ここからは、元の記事に掲載していた過去のチャート例を使い、方向と仕掛けの違いを確認します。
約定価格・損切り・手数料を含む取引成績ではなく、判断の流れを説明する図です。
日足|前日の下落から売りを検討する

前日の大陰線と、その終値が前の足の安値を下回っているかを確認する場面です。
安値更新やバンドに沿った下落が見えていても、翌日の下落を保証するわけではありません。
この段階では売りの候補を考え、赤丸の日を15分足で確認します。
15分足|売る位置と撤退条件を選ぶ

図の矢印は仕掛けを考える位置の例で、どこから売っても利益になることを示していません。
戻りの深さや直近安値までの距離を見て、損切りと利確を置ける位置を選びます。
売りの根拠が崩れた場合や、すでに下落が進んで仕掛ける余地が小さい場合は、見送る判断も必要です。
元のチャート例②|買いの候補でも、日中の反転に注意する
日足|上昇の勢いと上値の余地を分けて見る

前日の大陽線が高値を更新した場面でも、近くの抵抗帯までどの程度の余地があるかを確認します。
図ではボリンジャーバンドの上側が近い位置にありますが、それだけを理由に必ず反転するとも、必ず上昇するとも判断できません。
買いを検討する方向と、利益をどこまで狙うかは別々に考えます。
15分足|買い方向を選んでも利益が保証されるわけではない

元の説明では、この日は最終的に日足が陰線で終わった例として紹介していました。
日中に上昇する場面があっても、どこで入り、いつ決済したかによって結果は変わります。
矢印の付近で買いを検討できる場合でも、戻りで損切りになる可能性や、利確前に反転する可能性を含めて確認します。
買いの方針を決めたことと、買いポジションを持ち続けることは同じではありません。
ローソク足分析のメリット・限界と対策
| 整理しやすくなること | 限界・失敗しやすい場面 | 対策 |
|---|---|---|
| 方向の判断基準を揃えられる | 反転・ダマシが起こる | 否定条件と損切りを用意する |
| 条件が合わない日を見送れる | 取引機会を逃すこともある | 無理に回数を増やさず記録する |
| 確定足で比較しやすい | 日足の区切りで判定が変わる | 同じ業者・時刻条件で検証する |
| ランウェイの前後関係を確認できる | 基準足の時点では未確定 | 確定した日時から利用する |
複数の通貨ペアを監視しても、条件に合う取引が必ず見つかるわけではありません。
同じ方向に動きやすい通貨のポジションを重ねるとリスクが集中するため、監視数だけでなく全体の許容損失も確認します。
検証するときに記録したい項目
スラストの判定時刻、ランウェイのNと確定時刻、エントリー条件、損切り・利確、取引コストを先に決めます。
見送った日と仕掛けた日を両方記録し、同じ条件で比較しましょう。
過去のランウェイを基準足の日に戻して利用しないことが、特に重要です。
勝率だけでなく、平均利益・平均損失、プロフィットファクター、最大ドローダウンも確認します。
本記事の過去チャート2例だけで、手法の優位性や将来の成績を判断することはできません。
よくある質問
スラストとランウェイは何が違いますか?
スラストは前の足と終値を比べ、ランウェイは基準足の前後N本を比べます。
ランウェイには後ろの足が必要なので、基準足の当日には確定しません。
ランウェイのNは5でなければいけませんか?
5に固定されたものではありません。
この記事の図では5を例にしていますが、採用する本数は使用する時間足や検証条件に合わせて事前に決めます。
前日がスラストアップなら、翌日は必ず買いですか?
必ず買うという意味ではありません。
買いを検討する材料として使い、上位足、仕掛ける位置、損切り幅、当日の値動きが合わなければ見送ります。
スラストがない日はレンジ相場ですか?
スラストがないことだけでは、レンジと断定できません。
本記事のルールでは方向の判断を保留しますが、別の時間足にトレンドがある場合もあります。
まとめ|方向を決めたあとに、仕掛けと見送りを決める
ローソク足のトレンド分析では、終値の位置と、前後の高値・安値を同じ基準で比べることが大切です。
スラストは確定した終値で確認し、ランウェイは後ろのN本が揃ったあとに判断します。
そのうえで、日足の方向と15分足の仕掛け条件を分け、損切り・利確・見送りまで用意しましょう。
他のローソク足パターンを比較したい方は、プライスアクションのパターン解説と、ローソク足を読み解く記事一覧をご覧ください。




















