
「クラブパターンとディープクラブは、どこが違うの?」
「D地点の161.8%は、どこから測ればいいの?」
ここでは、ハーモニックパターンのクラブを、成立条件・フィボナッチの測り方・PRZを見つける手順に分けて解説します。
クラブはカニという意味ですが、名前よりも大切なのは、X・A・B・C・Dの位置関係と比率です。
PRZは「反転する可能性を検討するゾーン」であり、到達しただけで反転が確定する場所ではありません。
図や実例を見ながら、どこを測り、何を確認し、どこで見送るのかを整理していきましょう。
クラブパターンとは|D地点がXを超えるハーモニックパターン
クラブパターンは、5つの転換点X・A・B・C・Dで構成されるハーモニックパターンです。
B地点の戻りはXAの38.2~61.8%、D地点はXAの161.8%を中心に考えます。
買いの形ではDがXより下、売りの形ではDがXより上に位置します。
図の右が買い候補、左が売り候補です。
赤い矢印は想定する反転方向を示しており、必ずその方向へ動くという意味ではありません。
クラブとディープクラブの成立条件を比較する
| 確認箇所 | クラブ | ディープクラブ |
|---|---|---|
| B:XAに対するABの戻り | 38.2~61.8% | 88.6% |
| C:ABに対するBCの戻り | 38.2~88.6% | 38.2~88.6% |
| D:XAに対するADの長さ | 161.8% | 161.8% |
| BCに対するCDの投影候補 | 261.8%・314%・361.8% | 224%・261.8%・314%・361.8% |
| Dの位置 | Xの外側 | Xの外側 |
ここでの比率は、値動きの長さを測る基準です。
売買の勝率を示す数字ではありません。
比率の許容誤差は使用するツールや検証ルールで異なるため、形を合わせるために後から広げないようにしてください。
ディープクラブとの違いは、B地点の深さ
クラブのBは38.2~61.8%、ディープクラブのBは88.6%です。
どちらもDの基準はXAの161.8%ですが、Bの深さによってBCの長さや投影候補が変わります。
Bが深いから有利、ディープクラブなら強く反転する、と決めつける必要はありません。
まずは、比率と位置関係が揃っているかを確認しましょう。
フィボナッチ比率は、どの区間を測る?
| 比率 | 比較する長さ | 測り方 |
|---|---|---|
| Bの戻り | AB÷XA | AからXへ戻った割合 |
| Cの戻り | BC÷AB | BからAへ戻った割合 |
| DのXA基準 | AD÷XA=1.618 | AからXの方向へXAの1.618倍を測る |
| BC投影 | CD÷BC | CからBの方向へBCの倍率を測る |
| AB=CD・拡大投影 | CD÷AB | ABの長さをCから投影する |
Dの161.8%は、XからDまでがXAの1.618倍という意味ではありません。
買いの例でX=100、A=110なら、XAの長さは10です。
AからXの方向へ16.18下げると、Dの候補は93.82になります。
この場合、XからDまでの距離は6.18なので、XAの61.8%です。
図中の比率ラベルは、線の見た目だけで判断せず、どの区間の長さを比較しているかで読み取ってください。
チャートツールでは、フィボナッチを引く方向や設定によってラベルの表示が変わることがあります。
161.8という数字が表示されるだけで判断せず、計算した価格と一致するかを確認しましょう。
クラブパターンのPRZを見つける6つの手順
PRZはPotential Reversal Zoneの略で、潜在的反転ゾーンという意味です。
XAの基準価格を中心に、BCやABの投影価格が近い範囲へ集まるかを確認します。
比率が重なっても反転が保証されるわけではないので、最後に価格の反応と撤退条件を確認します。
STEP⓪|Bだけでパターンを決めない
Bが61.8%付近ならガートレー、38.2~50%付近ならバットと、候補が重なることがあります。
この段階で「クラブが完成する」と決めず、C以降の値動きを待ちましょう。
この図では、Bの61.8%に注目します。
ガートレーのD候補である78.6%を通過すると、クラブも含めて別の形を検討できます。
78.6%や88.6%を抜けたことだけで、クラブが確定するわけではありません。
XA161.8%付近までの値動きと、BC・ABの投影条件を合わせて判断します。
STEP①|B地点の比率で候補を絞る
最初に、XAに対してABが何%戻っているかを測ります。
図のBは61.8%付近で、クラブのBの条件範囲に入っています。
ただし、Bが条件に合うことは候補の絞り込みであり、完成の確認ではありません。
ディープクラブを検討するときは、同じ測り方で88.6%付近かを確認します。
STEP②|C地点がABの38.2~88.6%に収まるか確認する
Cでは、ABに対するBCの戻りを測ります。
Aを超えていないだけでは不十分で、38.2~88.6%の範囲かを数値で確認します。
見た目だけで条件を広げると、別の波をクラブに当てはめてしまうことがあります。
この例では、Cが61.8%付近にあり、Cの比率条件を満たしています。
ただし、Cが61.8%という理由だけで、Dの反転力が強くなるとは断定できません。
STEP③|XAの161.8%からDの基準価格を探す
Dを探すときは、AからXの方向へ、XAの長さの161.8%を測ります。
100%の位置がX、161.8%がXの外側になる向きかを確認してください。
この図では、XA161.8%付近の価格帯を、Dの基準として見ていきます。
図中やツールで「XAリトレースメント」と表記されることがありますが、100%を超えているため、ここではXAの延長価格として区別します。
この基準だけで注文せず、次にBCの投影候補を重ねます。
STEP④|BCの投影価格をXAの基準と重ねる
クラブでは、BCに対するCDの倍率として、261.8%・314%・361.8%などを確認します。
CからBの方向へ、BCの長さを投影してください。
この図では、BCの314%付近が、XA161.8%の基準価格に近い位置にあります。
大切なのは「314%だから強い」ではなく、別の測定区間から求めた価格が、狭い範囲へ集まるかを見ることです。
ディープクラブでは、224%も投影候補に入れて確認します。
STEP⑤|AB=CDと、ABの拡大投影を区別する
AB=CDは、ABとCDの長さが同じになる等倍の関係です。
ABCエクスパンションでは、ABの長さをCから投影し、100%だけでなく127%や161.8%なども確認できます。
127%や224%などの拡大投影は、厳密にはAB=CDそのものではありません。
この図では「AB=CD」の欄に拡大比率も並んでいますが、本文では「ABの等倍・拡大投影」と分けて読み取ってください。
Scott Carneyのクラブの解説では、1.27倍や1.618倍の代替AB=CDが紹介され、XAとBCを中心にPRZを考えています。
ABの投影価格がXAの基準から離れる場合に、比率を増やして無理に一致させる必要はありません。
この掲載例では、ABの224%投影がXA161.8%付近に重なっています。
図に並ぶ200%・224%・261.8%・314%・361.8%などは、表示した拡大投影の候補として扱ってください。
すべてがクラブに必須の条件、または特別に高い反転力を持つ比率、という意味ではありません。
STEP⑥|重なった価格帯をPRZ候補にする
XA、BC、ABの3つの測定を、同じ価格軸で見比べましょう。
XAの基準価格
BCの投影価格
ABの拡大投影価格
上の3枚は、画像をクリックすると大きなチャートで確認できます。
XA161.8%を中心に、BCとABの投影価格が近い範囲へ集まると、PRZの候補を絞れます。
この掲載例では、価格帯を試した後に上昇しています。
ただし、反転した実例を1つ見るだけでは、同じ条件の勝率や収益性は分かりません。
反転しなかった例も含めて、同じルールで記録することが大切です。
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D地点に到達しても、反転の確認と損切りを分ける
| 場面 | 確認すること | 見送る・撤退する基準 |
|---|---|---|
| PRZへ近づいた | 上位足の方向、直近高値・安値、重要な発表 | 強いトレンドの途中や取引コストが大きい場合 |
| PRZに到達した | 事前に決めた足の確定、反転の値動き | 到達だけを理由に注文しない |
| エントリー前 | 撤退価格、損切り幅、数量、利確候補 | 許容損失や最小取引単位に合わなければ見送る |
| エントリー後 | 予定どおり注文を管理できるか | PRZを抜けたからと損切りを遠ざけない |
例えば買い候補なら、PRZを試した後に短期の高値を上抜くことを確認条件にする方法があります。
これは条件の書き方の例であり、この確認をすれば利益が出るという意味ではありません。
確認に使う時間足と、ヒゲ・終値のどちらで判定するかも、事前に決めましょう。
損切りは、分析を取り消す価格を先に決め、その幅に合わせて取引量を調整します。
PRZの外側に注文を置いても、急変時には想定以上の価格で約定する可能性があります。
計算と記録には、リスクリワード比の考え方や資金管理と許容損失の計算も参考にしてください。
分析を補助するHarmonic Analyticsについて
掲載チャートの分析では、エイクの裁量型MT4インジケーターHarmonic Analyticsを使用しています。
点を指定して比率を確認する補助ツールであり、表示されたPRZが反転を保証するものではありません。
Harmonic Analyticsの機能・操作解説はこちら
クラブパターンで気を付けたい3つのこと
①上位足の方向と、Xの外側まで進む値動きを確認する
買いのクラブではDがXより下、売りのクラブではDがXより上へ進みます。
この位置関係だけで、上位足も含めたトレンド転換が確定するわけではありません。
上位足の流れやサポート・レジスタンスを確認し、強い値動きへ安易に逆張りしないようにしましょう。
②比率を合わせるために転換点を選び直さない
思い通りの形になるまでX・A・B・Cを変えると、検証できない分析になります。
高値・安値を選ぶルールと許容誤差を揃え、条件が合わなければ別の形として扱います。
他のフィボナッチやトレンドラインが近くにあっても、それだけで成功確率が高いと断定しないでください。
③不成立の例も記録する
PRZを通過した場面、反転を確認できなかった場面、取引を見送った場面も残しましょう。
勝った図だけで判断せず、取引コストを含めた損益と、同じ条件を再現できたかを見ていきます。
クラブパターンについてよくある疑問
Bが61.8%ならクラブで確定ですか?
確定ではありません。
ガートレーなどと候補が重なるので、CとDの位置、XA161.8%、BCの投影条件まで確認します。
クラブとディープクラブの違いは?
最も分かりやすい違いはBの戻りです。
クラブは38.2~61.8%、ディープクラブは88.6%を基準にし、どちらもDはXA161.8%を中心に考えます。
PRZに触れたら、すぐに注文していいですか?
到達だけで反転は確定しません。
事前に決めた価格の確認条件、損切り位置、取引量を揃え、条件が足りなければ見送ることも判断のひとつです。
まとめ|比率を測り、反転候補と売買判断を分けよう
クラブでは、Bの38.2~61.8%と、DのXA161.8%を軸に、CやBCの投影を確認します。
ディープクラブでは、Bが88.6%になる点を区別してください。
比率が揃うことと、実際に反転して利益が出ることは別です。
まずは掲載図とご自身のチャートを見比べ、どの区間を測ったかを書き残してみましょう。
そのうえで、入る条件だけでなく、見送る条件と撤退条件まで整理していくことが大切です。
関連するハーモニックパターンを学ぶ
比率の参考:Scott Carney『Harmonic Trading Volume One』第7章/Harmonic Pattern Collection公式ヘルプ「Crab」。
FXは元本・利益が保証されず、証拠金を超える損失が生じる場合もあります。

















