
目次
ローソク足の基本概念
ローソク足は、単体でも複数本(特に2本)の組み合わせでも、これまでの価格動向の特徴を把握することができます。
さらに今後の予測に役立てることもできるため、理解をすることはトレードにおいて重要な武器になるでしょう。
そこでまずは、ローソク足チャートがどのように構築され、異なる価格動向を視覚的に表現するかを解説します。ローソク足の色や形が持つ意味や、それぞれの部分が市場のどの情報を伝えるのかを詳しく見ていきましょう。
ローソク足の基本的な成り立ちと種類
ローソク足チャートは、為替レートや株価などの価格データを視覚的に表現するために使用されるグラフィックです。
各ローソク足は一定期間の取引データを示し、始値(開始価格)、終値(終了価格)、高値(最高価格)、そして安値(最低価格)の四つの重要な情報を含んでいます。
そんな、ローソク足は主に二つの種類に分類され、陽線と陰線にわかれていることを覚えておきましょう。
これらの内部でも形状に応じていろいろな呼び方があり、長いものを大陽線・大陰線、短いものは小陽線・小陰線と呼ぶことがあります。

陽線は価格が上昇した期間を示し、通常は白または青系色で表示されるものであり、実体の下端が始値(はじめね・開始価格)で、上端が終値(おわりね・終了価格)です。

対照的に、陰線は価格が下降した期間を示すものであり、通常は黒または赤系色で表示され、実体の上端が始値(開始価格)で下端が終値(終了価格)です。
※ローソク足の色
海外では、陽線と陰線に、それぞれ青系(安全を象徴する)と赤系の色(危険を象徴する)が使われていることが多い一方で、日本では、陽線は「日が昇る」ことを象徴する赤系色、陰線は「日が沈む」ことを象徴する青系色で表されることが一般的です。
※この記事では海外の方式に準じているMT4/MT5やTradingViewのデフォルトに従い、陽線は緑色、陰線は赤色で表示します

実体(ボディ)とは
ローソク足の四角い部分で、始値と終値の間の価格範囲を示します。実体が長いほど、その期間中の価格変動が大きかったことを意味しており、実体が上昇している場合は陽線(白や青系、下降している場合は陰線(黒や赤系)で表示されます。
ヒゲ(シャドウ)とは
実体の上下に伸びる細い線で、最高値と最安値を示します。陽線の場合、上ヒゲはその期間中の最高値から実体の終値までの範囲を示しています。下ヒゲは最安値から実体の始値までの範囲を示しており、ヒゲが長い場合は、その期間中に大きな価格変動があったことを示します。
2本のローソク足の組み合わせ(ローソク足パターン)
ローソク足を1本のみ観察することは、それ以降の価格動向を読んで、シナリオを立てるのに位は効果的です。
また、ローソク足2本の位置関係を考察することは、市場の心理や勢力の変化を把握するうえでより効果的だといわれています。2本が特定の位置になると、市場の勢力がどのように変動しているのか、またその変動が今後の価格動向にどのように影響を及ぼす可能性があるのかを理解できるでしょう。
ここに挙げたものの他にもローソク足パターンはありますが、そのなかでも今回は代表的なものについて解説します。
抱き線(包み線)
特徴と説明

抱き線は、大きなローソク足の実体が前日の小さな実体を完全に包み込むパターンです。
強気の抱き線(陽の包み線)
下降トレンドの底で発生することが多く、代表的なのは前日の小さな陰線の実体を大きな陽線(大陽線)の実体が包み込むという組み合わせです。
弱気の抱き線(陰の包み線)
上昇トレンドの天井で見られ、小さな陽線の実体が大きな陰線(大陰線)の実体に包まれます。
このパターンには、強気の抱き線と弱気の抱き線の二種類があると覚えておいてください。
予測される値動き
強気の抱き線の場合
価格が上昇に転じる可能性が高いです。これは、売り圧力に対する買い圧力の勝利を示し、新たな上昇トレンドの開始を予兆する場合が多い
弱気の抱き線の場合
価格の下降転換を示唆し、これまでの上昇トレンドが終了し、下降トレンドが始まる可能性がある
予測の根拠
テクニカル分析において、抱き線は市場の心理変化を示すシグナルであり、強気の抱き線が現れた場合は、これまでの売り勢力が弱まって、買い手が市場を支配し始めたことを意味します。
この変化は、新たな上昇トレンドの開始に結びつきますが、弱気の抱き線は売り手が再び支配を強めることを示すため、価格の下降を引き起こすことが多いです。
はらみ線
特徴と説明

はらみ線は、前日のローソク足の実体の範囲内で、新たな小陽線・小陰線のローソク足の実体が形成されるパターンです。
このパターンは、上昇または下降トレンド中に発生することがあり、トレンドの継続性が疑問視される場面で見られます。
そんなはらみ線には、強気と弱気の両方のバリエーションが存在しており、その形状と発生した場所によって異なる意味を持っているのです。
予測される値動き
はらみ線が現れた後、特に場所(トレンドの高点や安値での発生)によっては、価格が反転する可能性があります。
本来はらみ線はトレンドの転換点で見られることが多く、市場参加者の不確実性や意見の分裂を反映しているといえるでしょう。
▪弱気のはらみ線

①陽の陰はらみ・②陽の陽はらみが高値圏で出現したら、相場の買いのエネルギーの低下(天井が意識されている)のサインです。この傾向は陰線で終わる①のほうが出やすいと覚えておいてください。
▪強気のはらみ線

逆に、③陰の陰はらみ・④陰の陽はらみが安値圏で出現したら、相場の売りのエネルギーの低下(底が意識されている)を示しているため、この傾向は陽線で終わる④のほうが出やすいです。
予測の根拠
はらみ線がトレンドの継続性を疑わせる理由は、その内包性にあります。
小さな実体が大きな実体に完全に内包されることは、市場の勢力の均衡または一時的な停滞を意味しており、このパターンが確認された場合は、多くのトレーダーが方向性を見直すため、新たな動きが生まれがちです。
はらみ線とダマシ
はらみ線は、前日のローソク足の実体部分の範囲内に当日のローソク足が収まるパターンで、相場の転換点を示唆することがありますが、必ずしも信頼性が高いわけではありません。
レンジブレイクの状況にもなるので、ダマシの見極めが必要です。
ここでのダマシとは、はらみ線が示唆する方向に相場が動かないケースを指しており、例えば、④の陰の陽のはらみ線が出現した場合、通常は買いシグナルとされますが、その後に価格が下落することも少なくはありません。
このようなダマシが発生する理由としては、以下のような要因が考えられます。
・出来高の不足
→出来高が少ない場合、シグナルの信頼性が低くなる
・相場の状況
→はらみ線が出現する位置が重要
とくに強いトレンドの中で出現するはらみ線は、一時的な反発にすぎずダマシとなる可能性が高いため、ダマシに乗らないようにしつつはらみ線を利用する際には、他のテクニカル指標や相場の状況と併せて判断することが必要です。
かぶせ線

特徴と説明
かぶせ線は、前日の実体の長いローソク足である大陽線を上方から覆うように陰線が形成されるローソク足です。
このパターンは前日の終値より高い始値だったものの、前日ローソク足の実体中心線よりも低い終値で終わる陰線になることが特徴で「上がった分の半分以上値が戻ってしまった」ということになります。
ちなみに、これの反対のパターンは次に説明する切り込み線です。
予測される値動き
かぶせ線が形成されると、市場では下降トレンドへの転換の可能性が考えられます。
買い勢力の衰退と売り勢力の台頭を意味しているため、価格の下落も予測できるでしょう。
このパターンが確認されると、短期間での価格の下落または少なくとも上昇の停止が見込まれるため、トレーダーは売りポジションを検討する傾向にあります。
予測の根拠
大陽線が示す強い買い勢力に対して続く日にかぶせ線が形成されることで、売り勢力がそれを上回る勢いで市場に介入していることが示さることは、市場参加者の心理状態が変わりつつある重要な兆候です。
その結果、価格が下落に転じる可能性が高まるだけでなく、このパターンが発生すると、以前の価格上昇が一時的なものであった可能性があるとの見方も強まり、逆張りのトレードが活発になってしまいます。
切り込み線・差し込み線・入り首線
特徴と説明
切り込み線・差し込み線・入り首線はいずれも、前日のローソク足の終値より下で始まり、その後上昇して終わるパターンです。
これらの線は一応市場の反転を示唆する兆候にも見えますが、実際は異なります。
前日の実体中心線との関係で見た陽線の上昇のしかたに応じて、3パターンに分かれるので、ここで具体的に解説します。
- 切り込み線
前日の陰線(下落)の実体の中間点より下で始まり、前日の終値を超えて上昇して終わるパターン。かぶせ線とは反対のパターンです。

- 差し込み線
切り込み線と似ていますが、前日の始値を超え、上ヒゲだけが実体中心線を上回って終わるパターン。

- 入り首線
差し込み線よりもさらに弱い反転を示すパターン。前日の大陽線の実体中心線に上ヒゲも届かなかった場合です。

予測される値動きと根拠
切り込み線
強めの反発が見られるので、上昇への転換の可能性がある
差し込み線
一時的に反発したものの勢いが持続しなかったので、下落の可能性がある
入り首線
一時的な反発すら小さいので、さらに下落する可能性がある
特に、「差し込み線」と「入り首線」のパターンが下降トレンドで発生しているときは、下落継続の信頼性が高まるため、戻り売りのチャンスといえるでしょう。
毛抜き天井、毛抜き底
特徴と説明

毛抜き天井および毛抜き底は、それぞれ高値圏と安値圏で形成される二本のローソク足が、ほぼ同じ水準の高値または安値を持つパターンです。
どちらも市場の極点で形成されるため、陽線や陰線、実体の大きさやヒゲの長さには関係なく成立します。
予測される値動き
毛抜き天井は、一般に高値圏での形成後に下降トレンドへの転換を示しており、毛抜き底は安値圏での形成後に上昇トレンドへの転換を示しています。
このパターンは市場の極点に現れるため、その直後に価格が反転することが多いです。
予測の根拠
これらのパターンの予測根拠は、市場での売買力の均衡点の変化にあります。
二本のローソク足が同じ高値または安値を示すことで、その価格レベルでの買いまたは売りの力が強まっていることを示しています。
とくに、長いヒゲを伴うローソク足が並んだ場合は、価格がそのレベルでの支持または抵抗を受けている証拠となり、これが市場の心理と動向を反映しています。
ローソク足パターンの信頼性
ここまで見てきた2本のローソク足パターンの信頼性と成功率は、市場条件や時間枠によって大きく変動します。
以下では、一般的に認識されている各パターンの相対的な信頼性と、それらを評価する際の考慮事項をまとめて紹介するので、一緒に見ていきましょう。
各パターンの相対的な信頼性
- 抱き線(包み線)
- 信頼性:比較的高い
- 特徴:トレンドの転換点で特に効果的
- 注意点:取引量の増加を伴うと信頼性が高まる
- はらみ線
- 信頼性:中程度
- 特徴:単独では弱いシグナルとされることが多い
- 注意点:他の指標との併用が推奨される
- かぶせ線
- 信頼性:中程度から高い
- 特徴:上昇トレンドの終焉を示唆する逆転のサイン
- 注意点:大きな前期間の陽線の後に現れた場合の信頼性が高い
- 切り込み線、差し込み線、入り首線
- 信頼性:中程度から高い
- 特徴:市場の反転(または継続)を示唆するが、特に確証が必要なものもある
- 注意点:出現した市場状況やボリュームの増加を確認すること
- 毛抜き天井、毛抜き底
- 信頼性:高い
- 特徴:市場の極点で形成され、強い反転の兆しを示す
- 注意点:同じレベルの価格で形成された二本のローソク足を確認すること
信頼性を評価する際の重要な考慮事項
ローソク足パターンの信頼性を評価する際には、市場の全体的な背景・環境を考慮することが大切です。
これは、全体的な市場トレンド、重要なサポートやレジスタンスレベルとの関連性、経済指標の発表や重要なニュースイベントの有無が含まれており、時間枠も信頼性の判断において必要になります。
日足や週足のような長期の時間枠で確認されるパターンが短期的な時間枠で見られるものよりも信頼性が高いとされているのは、短期の時間枠ではノイズの影響を受けやすくなるためでしょう。
取引量は、パターンの形成時に増加している場合、信頼性を高める要因になるといわれており、テクニカル指標との整合性も考慮されます。
たとえば、移動平均線、RSI、MACDなどの他のテクニカル指標と組み合わせることで、複数の指標が同じシグナルを示している場合、信頼性はさらに高まります
また、市場のボラティリティもパターンの信頼性に影響を与える要因で、高ボラティリティの環境では、パターンの信頼性が低下する可能性があると覚えておきましょう。
ローソク足パターンの識別と他の指標との組み合わせ
ローソク足パターンを効果的に活用するには、正確な識別とテクニカル指標との適切な組み合わせが大切です。
ここからは、パターン識別の注意点と、他の指標との効果的な組み合わせ方について説明します。
パターン識別の注意点
1. 市場の背景・環境の重要性
パターンは市場の背景内で解釈する必要があり、上昇トレンド中の陰線の出現は、下降トレンド中の陰線よりも重要性が低い場合があります。
2. 時間枠の一貫性
一貫した時間枠でパターンを分析することが大切です。 日足チャートで識別したパターンを、5分足チャートの動きで否定しないようにしましょう。
3. ローソク足確定の確認
2本目のローソク足が確定してパターンが完全に形成されるまで待つ必要があり、抱き線パターンは、2本目のローソク足が完全に前の足を包み込むまで確定しません。
4. 偽シグナルへの警戒
特に短期の時間枠では、偽のパターンが頻繁に現れる可能性があるため、複数の確認要素(例:取引量、他の指標)を使用してパターンの信頼性を検証しましょう。
5. パターンの強度評価
同じタイプのパターンでも、その強度は状況により異なるため、大きな実体を持つ陽線による抱き線は、小さな実体のものよりも強力なシグナルとなる可能性があります。
テクニカル指標との組み合わせ
1. 移動平均線との併用

ローソク足パターンが重要な移動平均線(例:200日移動平均線)近くで形成される場合は、シグナルの信頼性が高まります。
たとえば、下降トレンド中に200日移動平均線付近で形成された強気の抱き線(包み線)は、強力な反転シグナルとなる可能性があるでしょう。
2. RSI(相対力指数)との組み合わせ

RSIが過買い/過売り領域にある際にローソク足パターンが形成されると、そのシグナルの信頼性が高まり、RSIが30以下(過売り)の状態で、底値で毛抜き底が形成された場合は、強力な買いシグナルとなる可能性があります。
3. ボリンジャーバンドとの連携

ローソク足パターンがボリンジャーバンドの上限/下限付近で形成されて下降トレンド中にボリンジャーバンド-2σの下限で強気の抱き線(包み線)が形成された場合は、反転の可能性が高まります。
4. フィボナッチリトレースメントレベルでの確認

重要なフィボナッチレベル(例:38.2%、61.8%)でローソク足パターンが形成される場合は、上昇トレンド中の61.8%リトレースメントレベルで、弱気のはらみ線が形成される可能性があり、トレンド継続の強いシグナルになるかもしれません。
5. MACDとの組み合わせ

MACDのクロスオーバーとローソク足パターンが同時に発生して、MACDがゼロラインを下から上に突破する場合、抱き線(包み線)パターンが形成されると強い買いシグナルになる可能性があります。
6. 取引量指標との連携

ローソク足パターンが形成される際の取引量の増加はパターンの信頼性を高めてくれます。
下降トレンド中に大きな取引量を伴って弱気のはらみ線が形成された場合は、強力な反転シグナルとなる可能性があり、この組み合わせを効果的に活用することで、ローソク足パターンの信頼性を高めてより精度の高い取引判断を行うことができるでしょう。
ただし、どの組み合わせも100%の確実性はないため、常にリスク管理を念頭に置き、市場の変化に適応する柔軟性を持つことが大切です。
トレーダーへの推奨事項とまとめ
記事の最後に、ローソク足パターンをトレードで使うにあたっての注意事項を挙げておきます。
個別の検証とバックテストの重要性
ローソク足パターンでも、他のトレード手法と同じく自身の取引環境において有効性を検証しましょう。バックテストやデモ取引を利用して、これらのパターンの信頼性を評価することは、市場の変動に対する対応策を磨くうえで必要です。
リスク管理の重視
どのような技術的パターンも100%の成功率を約束するものではないため、適切なリスク管理が大切です。
ストップロスの設定をはじめとするリスク管理策を施すことで、予期せぬ市場の動きに対して自身の資本を守ることができるようになるでしょう。
投資額や取引ポジションのサイズ調整も含めて常にリスクを意識した取引を心がけるべきです。
複合的な分析手法の採用
ローソク足パターンは単独で使用するよりも、基本的な市場分析や他のテクニカル指標と組み合わせた場合に価値を発揮するといわれています。
そのため、他の分析手法との併用することで、良い取引戦略を構築できるようになるでしょう。
継続的な学習を通してトレーダーが自身の取引スタイルに最適な手法を見つけ出すことが大切になると覚えておいてください。
この記事があなたのトレードレベルの向上のお役に立てれば幸いです。
他にも様々な種類がありますが今回は割愛しておきます。