
移動平均線を上抜けたのに、買った途端に下がってしまう。
そんな経験があると、「グランビルの法則は使えないの?」と感じますよね。
大切なのは、価格が線を跨いだかだけでなく、移動平均線の向きと、跨いだ後の値動きまで見ることです。
ここでは、8つの売買サインを図解しながら、②・③の押し目買い、⑥・⑦の戻り売り、期間設定、ダマシを避けるための確認手順を解説します。



これは、メンターに手法を教わったときに、実際に行われた会話です。
私は移動平均線を使う手法はいくつも知っていましたが、「グランビルの法則」や、その考え方を理解していませんでした。
周りのトレーダーに笑われたことは、今でも覚えています。
線を表示できることと、その線を使って相場を読めることは別なんですよね。
まずはサインを丸暗記するより、「今は転換を探す場面なのか、トレンドの途中の調整なのか」を整理していきましょう。
グランビルの法則とは?移動平均線の向きと価格の関係を読む
グランビルの法則は、価格と移動平均線の位置関係から、買い・売りの候補となる8つのパターンを整理した考え方です。
買いが4つ、売りが4つありますが、すべて同じ目的で使うわけではありません。
| 見る場面 | 買い・売りの番号 | 確認すること |
|---|---|---|
| 転換の候補 | ①・⑤ | 移動平均線の傾きが変わり、価格が線を跨ぐ |
| トレンド中の調整 | ②③・⑥⑦ | 押し目・戻りが終わり、元の方向へ動き出すか |
| 大きな乖離からの反発 | ④・⑧ | 線から離れすぎた場面。ただし逆張りのリスクがある |
グランビルの法則は、サインが出れば必ず利益になるルールではありません。
移動平均線も過去の価格から計算されるため、急な転換に遅れることや、レンジで何度も跨がれることがあります。
複数の移動平均線と時間足を組み合わせる考え方は、3本の移動平均線を使ったMTF分析の手法で詳しく解説しています。
グランビルの法則|8つの売買サインを図解
青丸①~④が買い、赤丸⑤~⑧が売りの候補です。

灰色の線が価格、青色のなだらかな線が移動平均線を表しています。
図の丸印は、各パターンが現れる付近を示しています。
実際のエントリーでは、ローソク足の確定や、押し目・戻りから動き出す様子を別に確認しましょう。
買いサイン①~④|押し目買いと逆張りを分ける

買い①|下向きの移動平均線が横ばい・上向きになり、価格が上抜ける
下落していた移動平均線が横ばい、または上向きになり、価格が下から上へ抜ける形です。
ここでは、終値が線の上で確定したかを判断基準にします。
線がまだ強く下を向いているなら、上抜けただけで上昇転換と決めつけないでください。
直近の安値が切り上がっているか、下にサポートがあるかも合わせて確認します。
ダイバージェンスは補助材料になりますが、それだけで反転が確定するわけではありません。

買い②|上向きの移動平均線を一度下回り、上昇へ戻る
移動平均線が上向きのまま、価格が一時的に線を下回る押し目のパターンです。
買い③との違いは、②は線を一度下回り、③は下回らずに反発することです。
元の図では、②の丸印は線の下にありますが、下抜けた瞬間に買うことを勧めているわけではありません。
実際に買いを検討するときは、下落が止まり、線の上へ戻るなど、上昇再開を確認します。
例えば、終値で線の上へ戻ることを待つ、下位足で直近の戻り高値を上抜くことを待つ、といった基準を先に決めておきます。
そのまま安値を更新して下落が続くなら、押し目買いの候補から外します。
買い③|上向きの移動平均線を下回らずに反発する
線の上で推移していた価格が押してきても、移動平均線を下回らずに再び上昇する形です。
線にぴったり触れる場合だけでなく、手前から反発する形もあります。
「タッチしたから買う」と慌てず、ローソク足の反応や、下位足で上昇へ戻る様子を確認しましょう。
押し目が小さいぶん、反発を待つと損切りまでの距離が広がることもあります。
エントリー位置だけでなく、直近安値の下に置く損切りと、上の抵抗までの距離を見て判断します。

買い④|下向きの移動平均線から大きく下に離れる
下落中の価格が移動平均線から大きく下に離れ、短期的な反発を考えるパターンです。
乖離とは、価格と移動平均線の距離が広がることです。
大きく離れたからといって、すぐに戻るとは限りません。
強い下落トレンドでは、乖離したままさらに下がることがあります。
初心者の方やトレンドフォロー中心の方は、無理に逆張りで入らず、下落の勢いを確認する材料として扱っても構いません。
保有する売りの利確を考える補助材料にはなりますが、④だけで決済や新規買いを決めないようにしましょう。
売りサイン⑤~⑧|戻り売りと逆張りを分ける

売り⑤|上向きの移動平均線が横ばい・下向きになり、価格が下抜ける
上昇していた移動平均線が横ばい、または下向きになり、価格が上から下へ抜ける形です。
終値で線の下に確定したかと、移動平均線の傾きを確認します。
まだ線が上を向いている場合は、買い②のような一時的な押し目になる可能性もあります。
直近の高値が切り下がっているか、上にレジスタンスがあるかを合わせて確認しましょう。
レジスタンスとは、上昇が止まりやすいと考える価格帯です。

売り⑥|下向きの移動平均線を一度上回り、下落へ戻る
移動平均線が下向きのまま、価格が一時的に線を上回る戻りのパターンです。
上抜けた瞬間に売るのではなく、上昇が止まり、線の下へ戻るなど、下落再開を確認します。
例えば、終値で線の下へ戻る、下位足で直近の押し安値を下抜く、といった判断基準を固定します。
価格が上がり続け、移動平均線も上を向き始めるなら、戻り売りの前提を見直しましょう。
売り⑦|下向きの移動平均線を上回らずに反落する
線の下で推移していた価格が戻ってきても、移動平均線を上回らずに再び下落する形です。
線へのタッチだけでなく、手前で止まって反落する形も含めて見ます。
売り⑥との違いは、線を一度上回るか、上回らずに反落するかです。
直近高値の上に置く損切りと、下のサポートまでの距離を確認してから、戻り売りを検討します。

売り⑧|上向きの移動平均線から大きく上に離れる
上昇中の価格が移動平均線から大きく上に離れ、短期的な反落を考えるパターンです。
④の買いと同じく、トレンドに逆らう判断になります。
「上がりすぎだから売る」と決めつけると、さらに上昇したときに損失が広がります。
買いポジションの利確を検討する補助材料、または新規の追いかけ買いを控える材料として使う方法もあります。
| 番号 | 基本の形 | 実際に確認すること |
|---|---|---|
| ① 買い | MAが下向き→横ばい・上向き/価格が上抜け | 終値の確定と安値の切り上げ |
| ② 買い | 上向きMAを一時的に下回る押し目 | 線の上へ戻るなど上昇再開 |
| ③ 買い | 上向きMAを下回らず反発 | 反発の確認と損切り幅 |
| ④ 買い | 下向きMAから大きく下に乖離 | 下落継続に注意。見送りも選択肢 |
| ⑤ 売り | MAが上向き→横ばい・下向き/価格が下抜け | 終値の確定と高値の切り下げ |
| ⑥ 売り | 下向きMAを一時的に上回る戻り | 線の下へ戻るなど下落再開 |
| ⑦ 売り | 下向きMAを上回らず反落 | 反落の確認と損切り幅 |
| ⑧ 売り | 上向きMAから大きく上に乖離 | 上昇継続に注意。見送りも選択肢 |
資料によって②・⑥を「一時的に線を跨ぐ場面」で説明する場合と、「元の方向へ戻るところ」まで含める場合があります。
本記事では図の番号を保ったうえで、実際の判断は戻りを確認して行う考え方を説明しています。
参考:OANDA公式「単純移動平均線(SMA)の見方・使い方」。
移動平均線の計算と大衆心理|線から分かること・分からないこと
SMAは一定本数の価格の平均
下の計算式は、終値を使った単純移動平均線(SMA)のものです。

式の「n」は計算する本数です。
日足の20SMAなら直近20本の日足の終値を合計して20で割り、1時間足の20SMAなら直近20本の1時間足の終値で計算します。
同じ「20」でも、時間足が違えば見ている期間は変わるんですね。
下図は、20日移動平均線の例です。

確定足の終値を使った平均は、新しい足が確定するたびに計算対象が更新されます。
現在進行中の足に表示される値は、その足の価格が動く間、変化します。
EMAは直近の価格をより重視する計算方法なので、SMAと同じ期間でも反応が異なります。
どちらを使う場合も、種類・期間・適用価格を固定して比べましょう。
参考:MetaQuotes公式「Moving Average」。
価格がMAの上にあるだけで、買い手全員が利益とはいえない
終値は、そのローソク足が終わった時点の価格です。
「相場の正しい価値」が確定したという意味ではありません。
移動平均線は価格の平均であり、参加者全員の建値の平均ではありません。
そのため、価格がMAより上にあっても、買った人全員に利益が出ているとは判断できません。
下図は、上昇中に買いが続き、線を割ると売りが強まる場面を説明した例です。

※図中の「買いが優勢」「売りが優勢」は、この値動きの方向を説明した表現です。
移動平均線だけで実際の売買量や全参加者の損益を確認したものではありません。
線の上で高値・安値が切り上がるなら、押し目を待つ買いが入りやすいのでは、と考えられます。
反対に、線を割って戻りも弱くなれば、買いの勢いが変わった可能性を考えます。
こうした大衆心理は値動きから立てる仮説です。
線との位置だけで断定せず、実際の高値・安値の更新や、サポート・レジスタンスと照らし合わせることが大切です。
グランビルの法則の期間設定|20・75・200MAはどう選ぶ?
「何期間にすれば勝てるの?」は、移動平均線を使い始めると気になるところです。
すべての通貨ペア・時間足に共通する最強設定はありません。
まずは、短い調整を見たいのか、大きな方向を見たいのかを決めます。
| 期間例 | 同じ時間足での役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 5・10 | 短い値動きへの反応を見たい | 反応が早いぶん、跨ぐ回数も増えやすい |
| 20・25 | 押し目・戻りの形を比べたい | レンジでは何度も跨がれることがある |
| 50・75・100 | より長い流れを見たい | 転換を確認するまで遅れが出やすい |
| 200 | 長い期間の方向を確認したい | 短期のエントリー位置を単独で決めない |
この表は役割を比較するための目安であり、勝率や収益を保証する設定ではありません。
例えば、まず20SMA・終値・同じ通貨ペアと時間足に固定し、押し目や戻りがどう見えるかを観察します。
次に75や200と比べる場合も、期間以外の条件は揃えてください。
結果が悪かった場面ごとに数字を変えると、過去のチャートだけに合う設定になりかねません。
日足の200MAと、5分足の200MAは別の時間幅を見ています。
「期間」だけでなく、必ず「どの時間足のMAか」もセットで記録しましょう。
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グランビルの法則が使えないと感じる場面とダマシ対策
サインが出ても思った方向に進まない場面はあります。
「法則が間違っている」と片づける前に、どの条件で負けやすかったのかを分けてみましょう。
| 場面 | 起こりやすい誤解 | 確認・見送りの例 |
|---|---|---|
| MAが横ばいのレンジ | 跨ぐたびに①⑤として入る | 高値・安値の更新がないなら見送る |
| ②⑥の調整が続く | 線を跨いだからすぐ入る | 元の方向へ戻るまで待つ |
| 強いトレンドで④⑧を狙う | 乖離したので必ず戻る | 逆張りを控える、または反転確認を条件にする |
| 経済指標などで急変する | 確定前の形を完成形と考える | スプレッドと値動きを確認し、無理に入らない |
| 抵抗帯まで近い | サインだけで利幅が取れると考える | 損切り幅と利益の余地を先に比べる |
5分足でも使える?上位足との関係を確認する
5分足でも、価格と移動平均線の関係を観察できます。
ただし、小さな上下や取引コストの影響も受けるため、日足の考え方をそのまま当てはめて同じ結果になるとは限りません。
例えば、上位足が下落中なのに5分足の買い①だけで入ると、大きな流れに逆らう形になります。
5分足でのタイミングを見る前に、上位足の方向と、近くのサポート・レジスタンスを確認しましょう。
入る前に損切りと見送り条件を決める
買いなら押し目の安値、売りなら戻りの高値など、判断の前提が崩れる価格を先に確認します。
その価格までの損切り幅に合わせて、許容する損失とロット数を決めます。
すぐ先に抵抗帯があり、利益の余地が小さいなら、サインが出ても見送れます。
確認材料を増やせば必ず勝率が上がるわけではありません。
条件を追加した結果、取引数や利益・損失がどう変わったかを検証してください。
実際のチャートでグランビルの法則を確認する手順
もう一度、8つのパターンを確認してから実際のチャートを見ていきましょう。

下図では、買い①・②・③と、上への乖離による売り⑧の候補が示されています。

丸印はパターンの候補が現れた付近を示したもので、その位置で注文すれば利益になったことを保証するものではありません。
特に買い②は線の下にいる付近が囲まれていますが、実際の判断では、その後に上昇へ戻る確認を待ちます。
売り⑧の後も価格が再び上昇している場面があるため、乖離だけで天井を決めないことも読み取れます。
この画像には時間足とMAの期間設定が明記されていないため、特定の設定の検証結果としては扱いません。
過去の完成したチャートでは反発が分かりやすく見えますが、その時点では先の値動きは分かりません。
次の順番で、未来を見ずに確認してみてください。
- 通貨ペア・時間足・SMA/EMA・期間・適用価格を固定する
- チャートの右側を隠し、1本ずつ進める
- 候補が出た時点のMAの向き、高値・安値、上位足を記録する
- エントリー条件、損切り、利確、見送り条件を事前に決める
- 成功例と失敗例の両方を、スプレッドなどのコストを含めて記録する
- ルール作りに使っていない別の期間でも確認する
PC版MT4では、F12でチャートを1本ずつ送れます。
自動スクロールをオフにして過去の位置へ移動し、右側の未来を見ない状態で進めましょう。
参考:MetaQuotes公式「Chart Management」。
相場の状態を移動平均線から整理する方法は、3本の移動平均線でトレンド・レンジを見分ける方法も合わせて確認してください。
グランビルの法則でよくある質問
移動平均線にヒゲが触れればサインになりますか?
ヒゲのタッチだけでは、押し目や戻りが終わったとは判断できません。
本記事では①・⑤の跨ぎを終値で確認し、②・③・⑥・⑦は元の方向へ動き出すかを見ています。
どの価格を基準に判定するかは、検証前に揃えておきましょう。
SMAとEMAはどちらがおすすめですか?
基本の形を比べるなら、まずSMAに固定すると、計算と価格の関係を理解しやすくなります。
EMAを使う場合は、同じ期間でもサインの位置やタイミングが変わるため、改めて確認します。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。
グランビルの法則だけで勝てますか?
サインの形だけでは、損切り・利確・ロット・取引コストまで決まりません。
相場環境と資金管理を含めたルールを作り、複数の期間で検証する必要があります。
まとめ|サインを覚えたら、入る根拠と見送る理由を整理する
グランビルの法則でまず確認したいのは、移動平均線の向きと、価格が線に対してどう動いているかです。
②と③、⑥と⑦の違いが分かると、押し目や戻りを整理しやすくなります。
一方、④と⑧の大きな乖離は、逆張りのリスクがあることを忘れないでください。
サインがあることと、今そのトレードをする価値があることは別です。
まずは設定を固定し、入った理由だけでなく、見送った理由もチャートに残していきましょう。
「ここは待つ」「この条件なら見送る」と説明できるようになることが、チャートを読む練習につながります。













