これは、メンターに手法を教わったときに、実際に行われた会話です。
私は、移動平均線の手法は、たくさん知っていましたが、『グランビルの法則』すら知らない、もちろん、その法則がいかに重要なのかも理解していない素人トレーダーでした。
周りのトレーダーにも笑われたのを今でも覚えています。
さて、FXに参加しているほとんどのトレーダーが、チャート上に移動平均線を表示していることでしょう。
そして、移動平均線を攻略し、活用しようとすると必ずこのキーワードに出会うはずです。
そう、『グランビルの法則』。
『グランビルの法則』を知っていてチャートに移動平均線を表示している世界中の腕利きトレーダーと、何も知らずになんとなく移動平均線を表示しているトレーダーでは、トレード成績に雲泥の差があるでしょう。
自分の手法や分析方法、または、相場観に磨きをかけるためにも、必ず知っておきたい『グランビルの法則』。
今回は、『グランビルの法則』を分かり易く解説するだけではなく、
- なぜグランビルの法則が成り立つのか?
- 移動平均線の最適な期間設定
- グランビルの法則の精度を高める活用方法
など、詳しく解説していきます。
『グランビルの法則』を理解すると、トレードポイントが分かるようになるだけでなく、相場観や相場分析のレベルも飛躍的に向上するでしょう。
目次
移動平均線を使うなら絶対にグランビルの法則を知らなければいけない理由
あなたがチャート上に移動平均線を表示しているのであれば、絶対に知らなければいけない法則があります。
『グランビルの法則』です。
『グランビルの法則』は、J.Eグランビル氏が考案した、レートと移動平均線の位置関係を表した法則になります。
まず、はじめに『なぜ、この法則を理解することが、トレードする上で強い武器になるのか?』を解説していきます。
世界中のトレーダーが知っているグランビルの法則
『グランビルの法則』を理解することが、トレードする上で強い武器になる理由は、シンプルに世界中のトレーダーが知っている法則だからです。
先述にもありましたが、J.Eグランビル氏が考案したグランビルの法則を使った手法を載せた書籍は、1960年代のものになります。
約半世紀ほど経過した今でも、移動平均線を使った分析方法の基本として、世界中のトレーダーが学び、活用しています。
つまり、「世界中の腕利きトレーダーで、グランビルの法則を知らない人はいない」と断言できる程の超メジャーな法則だということです。
つまり、この法則を知った上で移動平均線を使用しているのか?
それとも、何も知らずに移動平均線を使用しているのか?
では、雲泥の差が生まれるというわけです。
移動平均線を使った手法はすべてグランビルの法則を使っている
『グランビルの法則』が、強い武器になる理由の2点目は、移動平均線が最も多くのトレーダーに利用されているインジケーターだからです。
相場を分析するために、世界中のトレーダーたちはチャート上に、インジケーターを表示させています。
しかし、そのインジケーターの数は、数え切れないほど存在しています。
そんな中、初心者から熟練トレーダーまで、愛用されているのが移動平均線です。
なぜ、世界中のトレーダーがこぞって移動平均線を活用しているのか?
その理由は、価格を平均化し、時間という考え方をチャートに描写した、シンプルで分かりやすいインジケーターだからでしょう。
だから、多くのトレーダーが移動平均線を活用しているんです。
極めつけに、移動平均線を使った手法のほとんどは『グランビルの法則』が利用されていると言っても過言ではありません。
◆最も多く利用されているインジケーターが移動平均線だから
◆移動平均線を使った手法はすべて『グランビルの法則』の応用
グランビルの法則|8つの売買サイン
「移動平均線を利用してトレードする際に、8つの売買ポイントが存在する。」
これが、グランビル氏が唱えたグランビルの法則です。
8つの売買ポイントには、4つの買いサインと4つの売りサインが存在しています。
まずは、ビジュアル的に解説図で確認してみましょう。
青丸①~④が、4つの買いサインで、赤丸⑤〜⑧が4つの売りサインになります。
それでは、サインの特徴と注意点、精度の高めた活用方法をひとつずつ解説していきます。
グランビルの法則|4つの買いサインと精度を高める方法
下図の青丸①~④が、グランビルの法則の4つの買いサインになります。
グランビルの法則の特徴と、精度を上げて活用する方法を解説していますので、下図を確認しながら、ゆっくりと読み進めて下さい。
買いサイン①|移動平均線が横ばいまたは、上昇転換時にローソク足の終値が上抜きしたポイント
グランビルの法則|買いサイン①は、移動平均線が下落した後に、上昇、もしくは横ばい状態になり、ローソク足が移動平均線の上で終えたポイントになります。
注意しなければいけないので、下落途中の移動平均線をローソク足の終値で上抜けたから買いサインにはならないという点です。
買いサイン①は必ず、移動平均線が下降状態から、横ばいもしくは、上昇していることを確認しましょう。
解説図でも分かるように買いサイン①は、逆張り気味のエントリーになります。
ですので、グランビルの法則以外の、下記のような他の要素が確認できると、精度は上がります。
◆オシレーターでダイバージェンスのサインが確認できる。
◆下値付近に強いサポートがある。
買いサイン②|移動平均線が上昇している時に、ローソク足の終値が下抜きしたポイント
グランビルの法則|買いサイン②は、移動平均線が上昇している時に、ローソク足の終値で、移動平均線を下抜いたポイントになります。
グランビルの法則では、上記のように解説されていますが、こちらの法則に関しては、少しカスタマイズした方がいいです。
移動平均線が上向きなので、価格も上昇する可能性は、もちろん考えられます。
しかし、移動平均線が上向いているからと言っても、価格がそのまま下落することも十分考えられます。
よって、買いサイン②を活用するのであれば、
◆反転のローソク足のプライスアクションを確認する
◆下位足で、トレンドが転換するのを確認する
買いサイン③|上昇している移動平均線に、ローソク足がタッチ&反転したポイント
グランビルの法則|買いサイン③は、ローソク足が移動平均の上で推移していて、下落(調整)の動きを見せるが、移動平均線を下回ることなくタッチまたは、反転したポイントになります。
買いサイン③で注意しなければいけない点は、タッチしたからといってあわててエントリーしないことです。
こちらも、必ず反転を確認してからエントリーするようにしましょう。
◆ジリジリと下落している調整の動きをしている
(フラッグやペナントなどの調整のチャートパターン)
◆移動平均線にタッチした時に、反転のローソク足のプライスアクションを確認する
◆下位足で、トレンドが転換するのを確認する
買いサイン④|下落している移動平均線より乖離しているポイント
グランビルの法則|買いサイン④は、移動平均線が下落している時に、ローソク足が大きく下離れ(乖離)しているポイントになります。
買いサイン④で注意しなければいけない点は、移動平均線の回帰性を利用した、短期的な超逆張りの買いだということを理解することです。
(※回帰性|元の位置に戻ること。それを繰り返すこと。)
このサインはトレーダーを選びます。
逆張りトレーダーにとっては、絶好のエントリーポイントになりますが、トレンドフォローをしているトレーダーは無視しても良い買いサインです。
どちらにしても、トレンドが転換する直前の値動きは、値が荒れるためトレード自体、非常に難しいトレードになります。
◆強いサポートがある
◆下位足でトレンド転換を確認する
◆利確で活用する
◆ノーエントリー
グランビルの法則|4つの売りサインと精度を高める方法
次はグランビルの法則|4つの売りサインを解説していきます。
下図の⑤〜⑧がグランビルの法則4つの売りサインになります。
買いサイン同様、注意点や精度を高める方法を下図を参考にしながらじっくり読み込んでください。
売りサイン⑤|移動平均線が横ばいまたは、下降転換時にローソク足の終値が下抜きしたポイント
グランビルの法則|売りサイン⑤は、移動平均線が横ばい、もしくは下降転換したときにローソク足の終値が下抜いたポイントになります。
売りサイン⑤の注意点は、移動平均線の向きです。
必ず移動平均線が横ばいか、下降転換していることを確認したうえで、エントリーを考えましょう。
もしも、少しでも移動平均線が上昇方向であれば、買い②が成立してしまうので、注意が必要です。
解説図でも分かるようにまだ逆張りぎみのエントリーになるので、他の要素を確認できると精度は上がります。
◆オシレーターでダイバージェンスのサインが確認できる。
◆上値付近に強いレジスタンスがある。
売りサイン⑥|移動平均線が下降している時に、ローソク足の終値が上抜きしたポイント
グランビルの法則|売りサイン⑥は、移動平均線が下降している時に、ローソク足の終値で、移動平均線を上抜いたポイントになります。
グランビルの法則では、上記のように解説されていますが、こちらの法則に関しては、買いサイン②と同様、少しカスタマイズした方がいいです。
移動平均線が下向きなので、価格も下降する可能性は、もちろん考えられます。
しかし、移動平均線が下向いているからと言っても、価格がそのまま上昇することも十分考えられます。
よって、売りサイン⑥を活用するのであれば、
◆反転のローソク足のプライスアクションを確認する
◆下位足で、トレンドが転換するのを確認する
売りサイン⑦|下降している移動平均線に、ローソク足がタッチ&反転したポイント
グランビルの法則|売りサイン⑦は、ローソク足が移動平均の下で推移していて、いったん上昇(調整)の動きを見せるが、移動平均線を上回ることなくタッチまたは、反転したポイントになります。
売りサイン⑦で注意しなければいけない点は、タッチしたからといって、あわててエントリーしないことです。
こちらも、必ず反転を確認してからエントリーするようにしましょう。
◆移動平均線に向かって、ジリジリと上昇している調整の動きをしている。
(フラッグやペナントなどの調整のチャートパターン)
◆移動平均線にタッチした時に、反転のローソク足のプライスアクションを確認する。
◆下位足で、トレンドが転換するのを確認する。
売りサイン⑧|上昇している移動平均線より乖離しているポイント
グランビルの法則|売りサイン⑧は、移動平均線が上昇している時に、ローソク足が大きく上離れ(乖離)しているポイントになります。
売りサイン⑧で注意しなければいけない点は、移動平均線の回帰性を利用した、短期的な超逆張りの売りだということを理解することです。
(※回帰性|元の位置に戻ること。それを繰り返すこと。)
このサインはトレーダーを選びます。
逆張りトレーダーにとっては、絶好のエントリーポイントになりますが、トレンドフォローをしているトレーダーは無視しても良い売りサインです。
どちらにしても、トレンドが転換する直前の値動きは、値が荒れるためトレード自体、非常に難しいトレードになります。
◆強いレジスタンスがある
◆下位足でトレンド転換を確認する
◆利確で活用する
◆ノーエントリー
移動平均線というインジケーターが効果的な理由
相場観を養うためにも、また相場分析するためにも移動平均線は、かなり効果的なインジケーターのひとつです。
さて、あなたは、移動平均線とはどのようなインジケーターがご存知でしょうか?
そして、なぜ移動平均線がチャート上で価格が反応するかご存知でしょうか?
ここまで、『グランビルの法則』について解説してきましたが、さらに、この法則を深く理解するためにも、ここで、移動平均線について、一度おさらいをしておきたいと思います。
移動平均線の計算式
まず、移動平均線はどのように計算されて、チャートへ描写されているのか解説しておきます。
計算式を見ても、何のこっちゃ分からない方もいるかもしれませんね。
しかし、まったく難しくありません。
n日の終値の平均をとった価格を線で結んだインジケーターが、移動平均線ってことです。
チャートで確認してみましょう。
下図は、20日移動平均線です。
20日移動平均線であれば毎日、前日の終値が確定するたびに移動平均線は更新されていきます。
簡単ですね。
さて、なぜこのような簡単なことをおさらいしたかというと、これが分からなければ、次の項目「移動平均線と大衆心理」が理解できないからです。
移動平均線と大衆心理
移動平均線がどのように、描写されているかは理解して頂けたと思います。
さて、ここからが本題です。
ローソク足の終値とは、ローソク足が確定したときの値です。
終値はローソク足の期間の投資家たちの売買の結果です。
つまり、終値は、ローソク足の期間の正しい評価と判断できます。
ということは、投資家たちの売買の正しい評価を平均して描写したものが、移動平均線ということになります。
これにより、移動平均線と価格の位置から、様々な情報や、大衆心理を知ることができます。
20日移動平均線を例に解説していきます。
20日移動平均線より上にローソク足があるときは、
・過去20日間で買い方が儲かり、売り方が損をしていることがひと目で分かります。
・買い方が優勢であることを確認したトレーダーが、続いて買いで仕掛けてくる可能性があります。
⇒買いサイン②③
・しかし、あまりにも平均より乖離したポイントでは、利確の反対売買が入ります。
⇒売りサイン⑧
その後、20日移動平均線より下にローソク足が割り込むと、
・過去20日間で売り方が儲かり、買い方が損をしていることになります。
・今までの買い方は、ポジションを決済して、ポジションを売り払い、さらに売りが加速します。
⇒売りサイン⑤
いかがでしょうか?
今まで、このように移動平均線を見ていたでしょうか?
なぜ、移動平均線というインジケーターが効果的なのか?
それは、移動平均線は、投資家たちの売買の平均であり、そこに注目している投資家たちがたくさんいるからです。
そして、そこに大衆心理が生まれるからです。
その大衆心理から、買いが加速したり、売りが加速したりすることによって、移動平均線が効果的に機能するんです。
このように、移動平均線を見ることができれば、随分と相場観が養われます。
移動平均線のベストな設定は何日設定?
『グランビルの法則と大衆心理はよく分かったが、移動平均線のベストな期間設定はあるのか?』
移動平均線を使い始めると当然ぶちあたる疑問ですね。
答えは、『あなたの好み』
移動平均線を煮詰めていくと、どのパラメーターを設定しても、所詮、移動平均線なんです。
『そりゃそうだ!』と思えた方は、随分と歴が長く、移動平均線がどのようなものなのかを理解されている方でしょう。
とはいうものの、初心者の方が闇雲に適当な数値を設定しても使えないのも移動平均線なんですよね。
メジャーな期間設定は、ある程度ありますので、参考にしてください。
5MA、10MA、20MA、25MA、50MA、75MA、100MA、200MA
MAとはMoving Average(移動平均線)の略です。
が、よく使われる移動平均線の期間設定になります。
実際のチャートからグランビルの法則を確認してみる
最後に、実際のチャートで、グランビルの法則を確認してみましょう。
まずは、もう一度、【グランビルの法則8つのサイン】を画像で確認してみましょう。
上図を参考に、チャートでグランビルの売買サインを確認してみます。
上手く機能していますね。
是非、チャートを開いてご自身の目で、移動平均線とローソク足を追いかけてください。
MT4であれば、【F12】ボタンを押すとチャートが1本ずつ移動します。
1本ずつ移動しながら、是非、グランビルの法則と大衆心理による売り買いを確認してください。
それだけで、相場力はグンとあがります!
まとめ
『グランビルの法則|8つの売買サイン』だけで勝てるほど、相場は甘くはありません。
グランビルの法則の売買サインにも、もちろんダマシはあります。
そのダマシをいかに排除していくのか?それこそが、手法というものです。
しかし、それでも、なぜ『グランビルの法則』を知る必要があるのか?
冒頭でも記述していますが、『グランビルの法則』を知って移動平均線を活用しているトレーダーと、何も知らずになんとなく手法で使うから、という理由だけで移動平均線を活用しているトレーダーでは、相場観に雲泥の差が生まれるからです。
『グランビルの法則』は、ただのサインや手法ではなく、法則を知り、移動平均線を使ってチャートを眺めることで、あなた独自の相場観が生まれます。
それこそが、裁量に必要な感覚なんです。
明日、移動平均線の見方と付き合い方が変わっていれば、トレードレベルが上がった証拠ですね!